【コラム】インドネシアにおける新型コロナウイルス感染拡大下での外出自粛と購買行動の変化

インドネシアでは新型コロナウイルス感染拡大防止のため外出自粛の措置が取られています。

首都ジャカルタ州を始め様々地域で導入された「大規模な社会的規制(PSBB)」では、休校や在宅勤務措置、宗教活動の自粛など、外出を自粛するための要綱が定められ、コロナ下においてインドネシアの人々は外出を控えるようになりました。

参考コラム:

 

では、インドネシアでは実際にどのくらいの人が外出自粛をし、またその結果、購買行動にどのような変化がもたらされたのでしょうか?

 

外出自粛

インドネシアでは上述の「大規模な社会的規制」(PSBB)」によって、 “職業の休止”も規制の対象となっており、医療や食品、軍、金融関係など指定された分野以外の職業はこの対象となるため、多くの企業が在宅勤務・自宅待機の措置を取っています。

それに伴い、多数の人が公共交通機関(Gojekなどのオンライン交通を含む)などの利用を控える傾向にあることが分かりました。

新型コロナウイルス感染拡大下でも、「公共交通機関を普段通り利用する」と回答した12.73%のインドネシア人のうち、約3割の人は、公共の場において、他人と2mほどの距離を保って生活をする『ソーシャルディスタンス』について、「未だ実施したことがない」と回答しています。

公共交通機関を利用すると答えた、残りの32.16%の人は時々ソーシャルディスタンスを実施、38.11%の人はいつもソーシャルディスタンスを実施していると回答しました。

では、インドネシアの人々は、外出自粛の効果についてどのように考えているのでしょうか?


多くの回答者が、外出自粛はウイルスの感染拡大防止に効果があると回答しています。

また、性別で見ると、男性は多くが「効果がある」と回答する傾向があったのに対し、女性の方が「とても効果がある」と回答する傾向にありました。

 

購買行動の変化

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために外出自粛要請が出される中、インドネシア人の過半数は支出が増加傾向にあるようです。


コロナ下で支出が増加したと回答した人の支出の増加率は以下の通りです。

回答者の44%が、以前よりも26~50%増加したと回答しています。

BPSによると、回答者全体の51%が家計に占める食費の割合が増加したと回答しており、これは、“自宅で自炊をし、健康が良いものを摂取して免疫を高めましょう”というインドネシア政府の呼びかけが少なからず影響しているとのことです。

インドネシアでは、効果が立証されていないものの、生姜やはちみつなどの食品が免疫を高め、新型コロナウイルスの感染防止に効果があるとして需要が高まっています。

参考コラム:

 

一方、コロナ下で支出が減少したと回答した人の支出の減少率は以下の通りでした。

約3割近い回答者が、通常時と比較して約50-100%支出が減少しているという結果となっています。

 

生活必需品の需要の増加とオンラインショッピングの活用

インドネシアでは、外出自粛規制に伴い、以下のように様々な項目での消費が増加しています。

インドネシアでは外出自粛要請により生活必需品の需要が高まっています。

インドネシアのとある小売店は、生活必需品の需要は通常より50%ほども増加していると述べています。

以前のように気軽には外出ができない状態のため、オンラインショッピングの利用が増加し、BPSの調査結果によると回答者の9割がオンラインショッピングを活用している結果となりました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響による利用状況の変化は以下の通りです。

出典:インドネシア統計庁(BPS)、「新型コロナウイルスの影響に関する社会統計調査結果2020」より弊社作成(閲覧日:2020年6月11日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/06/01/669cb2e8646787e52dd171c4/hasil-survei-sosial-demografi-dampak-covid-19-2020.html

 

回答者の約3割が以前よりもオンラインショッピングの利用が増加したと回答しています。

オンラインショッピングの利用が減少したと回答した28%のうち、55%はコロナの影響で収入が減少したと回答しています。

また、BPSの調査によると、オンラインショップを利用していると回答したミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた人を指す)のうち、54%が女性でした。

ミレニアル世代の女性の45%が、自身と家族の健康を守るために外出を控え、自宅待機していると回答しており、BPSはこの傾向がミレニアル世代の女性が男性よりもオンラインショッピングを活用している背景にあると分析しています。

ベビーブーム世代(1946-1964年頃生まれた人を指す)はコロナ下において最もオンラインショッピングの利用率が増加した世代でしたが、全体的な利用頻度や量でみるとミレニアル世代が最もオンラインショッピングを利用しています。

インドネシアにおけるコロナ下でのオンラインショッピングの利用が増加している背景には、食料品の購入の増加が挙げられます。

2020年4月には、回答者全体の46%が自宅での食料品の消費増によってオンラインショッピングの利用が増加したと回答しました。

コロナ下での外出自粛に伴い、世界的に家庭での料理や食事が増加する傾向にありますが、インドネシアも例外ではありません。

食材など原材料のみでなく、ファストフードなどの調理済み食品の需要も増加しています。

実際、弊社が現地で運営するフードデリバリーサービス店舗であるクラウドキッチンも、以前と比較して4、5月は売上が200~400%程増加しており、引き続き在宅勤務の措置を取る企業は多くあると予測されるため、フードデリバリーサービスの需要はこの先も継続して高いままと考えております。

弊社は、インドネシアの最新状況に関するセミナーの実施や、オンラインでの調査代行などを承っております。ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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