【コラム】インドネシアの公共の場と公共交通機関でのコロナ対策実施状況
インドネシアでは、ジャカルタなどの様々な地域で人々の移動や外出を規制する「大規模な社会的規制(PSBB)」が4月以降適用され、多くの人が不要不急の外出自粛を与儀なくされました。
その後は徐々にPSBBも緩和され、インドネシアの人々は「新しい生活様式」を適用しながら元通りの生活を営み始め、街はコロナ禍以前の様子とほとんど変わりないと感じる場所も多く見受けられる状態です。
先日のコラムでは、インドネシア人個人レベルでのコロナ対策実施状況についてご紹介しましたが、今回はインドネシアの公共の場や公共交通機関でのコロナ対策実施状況についてご紹介します。
人々の外出と移動
移動や外出自粛要請が緩和されていた今年9月上旬時点では、インドネシアの各地で移動・外出自粛が要請されていたときと比較して外出頻度が増加したと回答した人は全体の24.63%でした。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Perilaku Masyarakat Di Masa Pandemi Covid-19「Covid-19感染拡大の中でのインドネシア国民の行動」より弊社作成(閲覧日:2020年10月19日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/09/28/f376dc33cfcdeec4a514f09c/perilaku-masyarakat-di-masa-pandemi-covid-19.html
また、以前より多く外出していると回答した人の外出の目的は、多くが出勤のためで、かなり少数派ではありますが旅行やレジャーと答えた回答者も一部いました。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Perilaku Masyarakat Di Masa Pandemi Covid-19「Covid-19感染拡大の中でのインドネシア国民の行動」より弊社作成(閲覧日:2020年10月19日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/09/28/f376dc33cfcdeec4a514f09c/perilaku-masyarakat-di-masa-pandemi-covid-19.html
年齢別でみると、年齢層が高くなればなるほど、外出を控える人が多く、若年層ほどPSBB解除後により頻繁に外出をしていることが分かります。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Perilaku Masyarakat Di Masa Pandemi Covid-19「Covid-19感染拡大の中でのインドネシア国民の行動」より弊社作成(閲覧日:2020年10月19日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/09/28/f376dc33cfcdeec4a514f09c/perilaku-masyarakat-di-masa-pandemi-covid-19.html
公共の場でのコロナ対策
上述の通り、PSBB緩和後、“新しい生活様式”を適用しながら徐々に以前の日常が戻ってきている状態ですが、インドネシアの公共の場ではどのくらいコロナ対策が行われているのでしょうか?
以下はインドネシアの人々に、実際に訪れた公共の場でどのくらいのコロナ対策が実施されているかを質問した結果です。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Perilaku Masyarakat Di Masa Pandemi Covid-19「Covid-19感染拡大の中でのインドネシア国民の行動」より弊社作成(閲覧日:2020年10月19日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/09/28/f376dc33cfcdeec4a514f09c/perilaku-masyarakat-di-masa-pandemi-covid-19.html
いずれの公共の場でも、マスクの着用が義務付けられていると回答した人は80%以上でした。
一方、対策が不十分な場所として、宗教施設並びに伝統市場や露天商が最もコロナ対策が実施されていない公共の場として選択されており、特に伝統市場や露天商では、マスクの着用以外のソーシャルディスタンスや手洗い、体温測定を実施していたと回答した人は50%程度、もしくはそれ以下という結果となりました。
「コロナ対策が全くされていなかった場所はどこか」という質問に対しても、特に伝統市場という回答が多く、コロナ対策についてはまだまだ改善の余地があることが分かります。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Perilaku Masyarakat Di Masa Pandemi Covid-19「Covid-19感染拡大の中でのインドネシア国民の行動」より弊社作成(閲覧日:2020年10月19日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/09/28/f376dc33cfcdeec4a514f09c/perilaku-masyarakat-di-masa-pandemi-covid-19.html
PSBBが緩和された後に、インドネシアのいくつかの伝統市場ではクラスター(集団感染)が発生したことでニュースにもなりましたが、伝統市場はインドネシアの人々の生活の一部であり、多くの人が頻繁に利用するからこそコロナ対策の実施は急務と言えるでしょう。
公共交通機関の利用
では、公共交通機関の利用状況はどのように変化したでしょうか。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Perilaku Masyarakat Di Masa Pandemi Covid-19「Covid-19感染拡大の中でのインドネシア国民の行動」より弊社作成(閲覧日:2020年10月19日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/09/28/f376dc33cfcdeec4a514f09c/perilaku-masyarakat-di-masa-pandemi-covid-19.html
9月に実施された調査で、過去1か月に公共交通機関を利用したと回答した人は13.49%に留まりました。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Perilaku Masyarakat Di Masa Pandemi Covid-19「Covid-19感染拡大の中でのインドネシア国民の行動」より弊社作成(閲覧日:2020年10月19日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/09/28/f376dc33cfcdeec4a514f09c/perilaku-masyarakat-di-masa-pandemi-covid-19.html
過去1か月で利用した公共交通機関として最も挙げられたのはアンコットでした。
また、それぞれの公共交通機関でどのくらいコロナ対策が実施されているか回答者の状況は以下の通りです。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Perilaku Masyarakat Di Masa Pandemi Covid-19「Covid-19感染拡大の中でのインドネシア国民の行動」より弊社作成(閲覧日:2020年10月19日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/09/28/f376dc33cfcdeec4a514f09c/perilaku-masyarakat-di-masa-pandemi-covid-19.html
回答者の90%以上が、公共交通機関において乗客はマスクを着用していると回答しました。
乗客数が比較的車内の空間が広いバスやアンコットの運転手では、マスクの着用率が若干下がる傾向にあることが分かります。
公共交通機関でのソーシャルディスタンスの実施はまだまだ浸透率が高いとはいえず、MRTでソーシャルディスタンスが実施されていると回答した人の割合は約70%で、バスやアンコットでソーシャルディスタンスが実施されていると回答した人は50%に満たない結果となりました。
また、タクシーやGojekなどのバイクタクシーは運転手と乗客の距離が近いですが、それでもアクリル板の設置など対策をしていると回答した人は約半数程度でした。
首都ジャカルタでは、PSBB緩和以降もコロナ感染者が増加し続け、医療機関がひっ迫しているという理由から9月14日より再度PSBBの規制を強化しましたが、病床利用率が再度減少傾向にあるという理由から、10月12日からの2週間はPSBBの再緩和期間となっています。
現在弊社では、コロナ禍に対応してオンライン調査代行やヒアリング代行を承っております。
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参考コラム:
株式会社インドネシア総合研究所
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