【コラム】インドネシアのコロナ対策である社会制限“PSBB”と活動制限“PPKM”の違いとは
インドネシアでは、今年6月より新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、7月15日時点では1日当たりの新規感染者数が56,000人を超えました。
医療機関もひっ迫しており、日本国内でもインドネシアでのコロナ感染者急拡大と医療崩壊について様々なメディアが報じています。
昨年、新型コロナウイルスがインドネシアで拡大し始めたころはインドネシア政府によって大規模社会制限(PSBB)が制定・導入され、今年2月頃からは市・県レベルで規則を定める小規模行政単位の行動制限(PPKM)に変更されています。またその後、市・県レベルから更に細かい地区(RT)レベルで規則を定めるPPKM Mikro(PPKMマイクロ)や、ここ数週間の感染拡大を受けて緊急PPKM(PPKM Darurat)も導入されています。
本コラムでは、PSBBとPPKMの違いについてご紹介いたします。
PSBB
・意味:大規模社会制限(Pembatasan Sosial Berskala Besar)
・規制:Peraturan Pemerintah Nomor 21 Tahun 2020(政令2020年21号)
・エリア:特定の地域
・適用条件:
– 感染者数並びに死亡者数の増加
– 他の地域や国での症例数の増加との関連性
・実装内容:
– 職場や学校の閉鎖(在宅への切り替え)
– 公共場での活動の制限
– 交通手段の制限
– 礼拝所での活動の制限
– 社会的活動の制限
– ショッピングセンター/モールなど商業施設は、生活必需品を取り扱う店舗のみ営業可能
– 飲食店は店内飲食不可、デリバリー、テイクアウトのみ営業可能
– 建設現場は100%出勤可能
– 社会的活動は一時的に開催不可
– 交通手段は全て収容率が最大50%まで、自家用車やレンタカーも同様。オンラインバイクタクシー(GojekやGrabなど)は営業不可
PSBBについては過去のコラムも併せてご覧ください。
インドネシアでは、ジャカルタなどで2020年3月に導入され、今年2月頃まで規制を緩和しながら継続しておりましたが、今年2021年2月以降はPSBBをより緩和したPPKMが導入されています。
PPKM
・意味:小規模行政単位の行動制限(Pemberlakuan Pembatasan Kegiatan Masyarakat )
・規制:Menteri Dalam Negeri Nomor 1 Tahun 2021(内務大臣令2021年1号)
・エリア:市/県レベル
・適用条件:
– 死亡率が3%を越える
– 感染者数の割合が14%
– 回復率が82%以下
– 病院の隔離ベッドとICUの占有率が70%以上
・実装内容(特定のセクターにおける限定的な制限)
– 在宅勤務(WFH)率が75%、出社率が25%(エッセンシャルワーカーは100%出社可)
– 飲食店は収容率が最大25%まで
– 学習活動はオンラインで
– ショッピングセンター/モールの営業は夜19時まで
– 礼拝所は収容率が最大50%まで
PPKM mikro(PPKMマイクロ)
・出社:感染者が多いレッドゾーンは75%、その他は50%まで
・飲食店:収容率が最大25%までであれば店内飲食可能。営業時間は夜の20時まで
・建設関係:100%出勤可能
・礼拝所:レッドゾーンは閉鎖、その他のゾーンはコロナ対策を行った上で開放可
・社会的活動:一時的に開催不可
・交通手段:交通手段のキャパシティや運行時間は地方政府によって決定される
・結婚式:収容率が最大25%まで出席可、料理の提供は不可
・公共施設での活動について:レッドゾーンでは一時的に全て停止、その他のゾーンではコロナ対策を行った上で25%まで収容可
PPKM Darurat(緊急PPKM)
・出社:ノンエッセンシャルワーカーは100%
・飲食店:店内飲食は不可だが、デリバリー、テイクアウトは営業可
・建設関係:100%出勤可能
・礼拝所:一時的に全面閉鎖
・社会的活動:一時的に開催不可
・交通手段:コロナ対策を実施の上、収容率が70%まで上限で運行可
・結婚式:コロナ対策を実施の上、最大30人出席可能、施設内での飲食は不可、提供された料理の持ち帰りは可
・公共施設での活動:一時的に全て停止
・その他:長距離輸送の場合は、ワクチン接種証明書やPCR検査結果等書類が必要、外出時のマスク着用義務(フェイスシールド不可)
緊急PPKM(PPKM Darurat)についてはこちらのコラムも併せてご覧ください。
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