【コラム】インドネシアにおけるPPKM下と緊急PPKM下での人々の行動の変化 Part2
インドネシア国内では、今年のレバラン(断食明けの大祭)休暇が終わった6月以降、新型コロナウイルスの新規感染者数が急拡大し、7月にジャワ島内の州とバリにおいて、緊急PPKM(PPKM=小規模活動規制)が導入されました。
2021年8月31日現在、新規感染者数は徐々に減少し、一時期は1日56,000人を超えたのが、1日当たり10,000~20,000人程度となっていますが、緊急PPKM期間の適用期間は当初7月3日~20日の予定だったのが8月30日まで延長され、更に9月6日まで延長されました。
先日、弊社のコラムにて、緊急PPKMが発令され以前の6月の「PPKM宣言」下と7月の「緊急PPKM宣言下」でのインドネシアの人々の行動の違いについてご紹介いたしましたが、本コラムはPart2として、PPKM下でのインドネシアの人々の行動の変化について更なる情報をご紹介いたします。
PPKMについてはこちらのコラムをご覧ください。
本コラムの出典は全て以下のインドネシア中央統計局(BPS)からとなります。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Perilaku Masyarakat Pada MasaPPKM Darurat,Hasil Survei Perilaku Masyarakat pada Masa Pandemi Covid-19,
Periode 13-20 Juli 2021(2021年PPKM Darurat期間中7月13日-20日の間のコロナ禍での人々の行動に関する調査)より弊社作成(閲覧日:2021年8月31日)
https://www.bps.go.id/publication/2021/08/02/29234b08faa4910dee5279af/perilaku-masyarakat-pada-masa-ppkm-
darurat–hasil-survei-perilaku-masyarakat–pada-masa-pandemi-covid-19–periode-13-20-juli-2021.html
PPKM下での心境や他者への感情
以下は、今回の調査回答者が7月に緊急PPKMが発令されたことを受け、どのように感じているか回答しグラフです。
30~40%近くの人々が、何らかの心理的ストレスを抱えていることが分かりますが、特に緊急PPKMが発令されたジャワ・バリ以外に居住している人と比較し、実際に緊急PPKM下にあるジャワとバリ在住の回答者の方が、何らかの心理的ストレスを抱える回答者が多くなっています。
新型コロナウイルスが感染拡大し、「新しい生活様式」が適用され始めてから1年以上たちますが、約1年前のBPS(インドネシア中央統計局)の調査では、インドネシアでは約70~80%程度の人々が手洗い、三密を避けるなどの対策を、90%以上の人々がマスク着用を行うなど、日々コロナ対策を実施していることが明らかになりました。
参考コラム:
以下は、自分の周りにコロナ対策をしていない人がいた場合にインドネシアの人々が抱いている感情を表したグラフです。
約90%近くの人々が、コロナ対策をしていない人に対して嫌な感情を抱いていることが分かります。
また、以下のグラフは、コロナ対策をしていない人に対して実際どのようなアクションを起こすかを表したグラフです。
70%以上の回答者が、注意する、地域の担当者に報告するなど、何らかのアクションを起こすことが分かりました。
上記2つのグラフから、インドネシアの人々のコロナ対策に対する一定の意識の高さがあることが伺えます。
新型コロナウイルスのワクチン接種状況
インドネシア政府は、2021年8月時点で、最終的なインドネシア国内の新型コロナウイルスのワクチン接種完了者の目標数を2億800万人と定めています。
インドネシアでは多くの人々がワクチン接種をしている一方で、ワクチン接種に積極的でない人が一定数いるのも現状です。新型コロナウイルスのワクチン接種が開始される前は、「ワクチンがハラルかどうか」が大きな議論となりました。
インドネシアでは国民の9割程度がイスラム教徒であり、体内に摂取できる“ハラル”なものと、酒や豚など禁忌とされる“ハラム”が存在します。
特に、アストラゼネカ社製のワクチンに豚由来の成分が含まれていることが判明した際には大きな騒動となりましたが、インドネシアのハラル認証機関であるMUI(インドネシア・ウラマ評議会)が「緊急時には使用しても問題ない」と声明を出しました。
以下は、今回BPSが実施した調査において、それぞれワクチン接種者、未接種者が、接種した理由と接種していない理由をグラフで表したものです。
回答者の割合としては、ワクチンを接種していない人よりも接種が完了した人の方が多いですが、ワクチンを接種していない人の理由は様々挙げられています。
ワクチンを接種していない理由として、「受けたくない、副作用が心配」「ワクチンの効果を信じていない」と回答した人が20%おり、インドネシア政府としては今後ワクチンの効果を広め、国内のワクチン接種率を上げていくことを課題としています。
2021年8月時点でのインドネシアにおけるワクチン接種の最新状況については、こちらのコラムをご覧ください。
また、以下はカテゴリー別で見たワクチンを接種していない理由の割合です。
どのカテゴリーも若干の差はあるものの、大体20%前後の人々が「副作用が心配/効果に懐疑的」と回答していることが分かります。
新型コロナウイルスに感染が疑われた際の対応
では、実際に新型コロナウイルスに感染が疑われた際、人々はどのような対応を行っているのでしょうか?
以下は、感染が疑われた際に報告すべき窓口にきちんと報告した人の割合です。
インドネシア全体でみると、新型コロナウイルスへの感染が疑われた場合80%以上人が地域の窓口に報告をしており、特に緊急PPKMが適用されているジャワ・バリでは90%近くの人が報告をしています。
一方、ジャワ・バリ以外では、感染が疑われた際報告する人の割合が80%以下となっており、この点については今後更なる改善が必要とされています。
以下は、新型コロナウイルスに関して相談ができる地域の窓口があることを知っているかどうか知識を問う質問です。
こちらも、インドネシア全体でみると過半数以上の人々が、新型コロナウイルスについて相談・報告すべき窓口を知っており、特に緊急PPKM下のジャワ・バリでは70%近い高い割合となっていますが、ジャワ・バリ以外の地域ではまだ半数程度と数値が低いことが分かります。
以下は、新型コロナウイルス感染が疑われた際に窓口に報告しなかった人が、報告すべき窓口があることを知っていたかどうかについて回答したグラフです。
感染が疑われても報告をしなかった人のうち、報告すべき窓口があることを知らない、もしくは窓口はないと回答した人は全体の60%以上となりました。まだ窓口の存在を把握していない人々に窓口の存在を周知していく活動が必要と考えられる一方、感染が疑われており、窓口の存在を知っているにも関わらずアクションを起こさなかった人々が40%近くもおり、今後感染が疑われた人が適切なアクションを取るよう促していくことも大きな課題となってくると考えられます。
新型コロナウイルスに関連する過去のコラムはこちらをご覧ください。
現在インドネシアの新規感染者数は、ピーク時と比較すると徐々に減少はしつつありますが、まだまだ厳しい状況が続いています。
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