【コラム】インドネシアの紙幣に印刷されている人物とは?(前半)

日本の紙幣と同様に、インドネシアの紙幣にもインドネシア史に名を残した偉人たちの顔が印刷されています。

日本の財務省は新たなデザインの紙幣を2024年から発行すると発表しましたが、実はインドネシア政府も2016年12月に紙幣のデザインを一新しました。

今回は、知っていると会話のきっかけになるかもしれない(?)新旧それぞれのルピア紙幣に載っている偉人たちについて、ご紹介します。

 

100.000ルピア紙幣

▲上が新版、下が旧版▼

まずは最高額面の100.000ルピア紙幣です。

新旧ともに変わらず、インドネシア共和国の建国の父として知られる初代大統領スカルノと初代副大統領モハマッド・ハッタが印刷されています。

オランダ領東インド時代に民族主義運動を指導し、スカルノはインドネシア国民党を結成するまで至りましたが、植民地政府の弾圧が強くなると2人とも逮捕され10年間弱もの間、流刑にされてしまいました。

第二次世界大戦が始まり、日本軍による軍政が始まると、2人は再び民族主義運動の先頭に立ち、日本の敗戦直後には2人で「インドネシア独立宣言」を署名しました。

オランダとの独立戦争でも主導的な役割を担い、ハーグ協定により独立したインドネシアの初代大統領・副大統領になりました。

名誉ある100.000ルピアのデザインは、背景や構図の変更などはありつつ1999年から20年間変わらずスカルノとハッタの2人であり、今後もここだけは変わらないのかもしれません。

インドネシアの玄関であるスカルノ・ハッタ国際空港の名前からもわかるように彼らはインドネシア国民から深く愛されている英雄なのです。

50.000ルピア紙幣

▲上が新版、下が旧版▼

スカルノ・ハッタ空港の話をしましたが、実は500.000ルピア紙幣に載っている偉人も、新旧どちらも空港の名前として採用されています。

旧紙幣はバリの英雄イ・グスティ・ングラ・ライで、インドネシア独立戦争の際にバリ島にてゲリラ戦を指揮した隊長です。

彼が独立戦争史において一際有名な理由は、最終的に玉砕を遂げたからです。

彼が率いる96名の部隊は迫り来るオランダ軍に対して真っ向から勝負に挑み、全員が戦死しました。

ングラ・ライが活躍したバリ島の国際空港は「ングラ・ライ国際空港」という名前で、大勢の観光客をインドネシアが誇るリゾート地に迎え入れています。

また、新紙幣の顔はジュアンダ・カルタウイジャヤで、インドネシア共和国最後の首相です。

彼の死後、現在に至るまでインドネシアでは首相という役職が生まれたことはなく、その結果、独裁政権時代にはさらに大きな権力が大統領の手に渡ることとなりました。

スラバヤにある国際空港は彼が建設を指示したため、「ジュアンダ国際空港」として親しまれています。

 

20.000ルピア紙幣

▲上が新版、下が旧版▼

旧20.000ルピア紙幣には、日本ではあまり知られていないオト・イスカンダル・ディ・ナタが載っていました。

彼はインドネシアの国務大臣として活躍したほか、ブディ・ウトモと呼ばれるジャワ島の民族主義団体に置いて様々な重要役職を歴任し、民族主義運動の片翼を担っ多ことで知られています。

しかし、インドネシアが独立を果たした年に暗殺され、遺体は行方不明になりました。

亡くなった後、1952年にインドネシアの国家英雄の称号を授かっています。

一方、新20.000ルピア紙幣には、スラウェシ島で初の知事を務めたサム・ラトゥランギが採用されました。

彼はインドネシア人として科学の博士号を取った最初の数人のうちの1人で、1919年に彼が設立した保険会社“Assurantie Maatschappij Indonesia”は公式文書で初めて”Indonesia”という単語が使用された例だという説もあります。

 

いかがでしょうか?

インドネシアの紙幣に印刷されている偉人たちは、多くがインドネシアの独立に関わり、また国民的英雄としての称号をもらっている人だということがわかります。

日本には4種類しか紙幣がありませんが、インドネシアではなんと7種類もあります。

後半では残りの4種類について、引き続き偉人たちの実績を遡っていきます。

弊社では、このようなインドネシアの基礎情報をご紹介するセミナーを承っております。

また、金融や決済の面でも、インドネシアの国営銀行や電子決済スタートアップとのネットワークもございます。

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株式会社インドネシア総合研究所
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