【コラム】インドネシアのムスリムファッション
近年、カラフルでファッショナブルなイスラーム女性(ムスリム女性)の服装が世界的に話題となっています。
人口の約9割がイスラーム教徒であるインドネシアも例外ではなく、ムスリムファッションはインドネシア人女性の心を掴んでいます。
ユニクロ社も、2016年からムスリムファッションに参入し、現在では海外の店舗だけでなく、日本の店舗でも商品が陳列されているを見かけるようになりました。
今回は、インドネシアにおけるムスリムファッションやトレンドについて、紹介いたします。
あの、頭にかぶっている布は何?名前は?
「ムスリムファッション」と聞くと、女性が頭につけている布を思い浮かべる方も多いと思います。
ムスリムの女性は、肌の露出を制限されていますので、髪やうなじを隠すために頭を布で覆っています。
また、「あの布のことをインドネシア語でなんというのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
あの布は、インドネシアでは「クルドゥン(Kerudung)」「ジルバブ(Jilbab)」「ヒジャブ(Hijab)」と様々な呼ばれ方をしています。
語源や生地の長さなど、実際はやや異なるようですが、現在、この3語はほとんど混同して使われています。
ということで、どの単語を使っても同じものを指しており、どれを使っても間違いではありません。
(実際に、元JKT48の仲川遥香さんがムスリムファッションをされた際、ネット上ではその1枚の写真に対して、上記3つの単語が使われていました。)
いつからインドネシア女性はヴェールを被るようになったの?
インドネシアでムスリム女性たちがヴェールを着用し始めたのは1990年代ごろのことと、実はそれほど昔のことではありません。
30年以上前からインドネシアを知っているという方々からは、「知り合いが次々にヴェールを身に着けるようになって、当時は驚いた」という話をよく聞きます。
90年代のインドネシアでは、スハルト政権のイスラーム勢力の囲い込みや、世界的なイスラームの拡大を受け、イスラームが社会に深く浸透していった時期でした。
そういったイスラームの波を受け、インドネシアのムスリム女性たちは次第にヴェールの着用を始めたのです。
ファッションとしてのヴェール
2000年代に入ってから、インドネシアではムスリムファッションが大人気となり、髪や肌を隠しながらおしゃれを楽しむ、という風潮が生まれました。
この頃にムスリムファッションのブランドや雑誌が次々とでき、様々なスタイルが作られます。
「インスタントジルバブ(Jilbab Instan)」という頭からすっぽりと被るだけで着用できるジルバブも、この時に誕生しました。
ムスリムファッションインフルエンサー
ムスリムファッションの世界にも、インスタグラムで沢山のフォロワーを持つインフルエンサーがいます。
以下、インドネシアの有名な「ムスリムインフルエンサー」の方を一部ご紹介します。
ディアン・プランギ(Dian Pelangi)
インダ―・ナダ・プスピタ(Indah Nada Puspita)
ディアン・サフィラ(Dian Safira)
リア・ミランダ(Ria Miranda)
ムスリムファッション産業に対する政府の期待
インドネシア政府はムスリムファッションに大きな期待をかけ、クリエイティブ産業と位置づけて支援を行っています。
世界の人口の4人に1人がイスラム教徒になると言われている現在、ムスリムファッション産業には大きな経済効果が期待されています。
インドネシア政府は、2020年までにインドネシアが世界的なムスリムファッションの中心地になることを目標にしています。
今後もインドネシアのムスリムファッション産業の成長が見逃せません。
株式会社インドネシア総合研究所
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