【コラム】成長を続けるインドネシアの映画産業
インドネシアでは、映画はとてもポピュラーな娯楽の一つです。
近年インドネシアの映画産業は成長を続けており、現地大手メディアKOMPASの調査では、2017年においてインドネシアの映画市場はアジア太平洋の中で最も可能性をもっていると評価されました。
インドネシアでは、スクリーン数、鑑賞者数ともに増加傾向にありますが、これは背景に2016年の映画産業の外資規制が100%に開放されたことが関係しています。
1960年代後半には、映画は共産党のプロパガンダとして利用されていましたが、その後民主化が進み、ジョコウィ大統領就任後には映画産業を発展させるために規制が緩和されました。
では、インドネシアの映画産業は具体的にどのような成長を遂げているのでしょうか?
インドネシアの映画鑑賞者数
インドネシア・クリエイティブ産業庁(BEKRAF)およびインドネシア中央統計庁(BPS)によると、インドネシア国内の映画鑑賞者数は2015年時点で約1500万人でしたが、2018年時点で約5200万人となり、今年は6000万人の動員を目指しています。
出典:Databoksより弊社作成(閲覧日:2019年10月4日)
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2019/02/25/bekraf-targetkan-penonton-bioskop-2019-tumbuh-15
映画館の数とスクリーンの数
規制の緩和により映画館数とスクリーン数も増加をしており、インドネシアにおけるスクリーン数は2018年時点で約1,600程度でしたが、2019年内にはスクリーン数は約2,000になる見込みだとされています。
2018年時点のインドネシア国内の映画館の数とスクリーン数は以下の通りです。
名前 | スクリーン数 | 映画数 |
Cineplex 21 | 1003 | 177 |
CGV Cinemas | 275 | 42 |
Cinemaxx | 203 | 41 |
Platinum | 28 | 7 |
New Star | 20 | 9 |
Movimax | 6 | 2 |
その他 | 46 | 16 |
出典:OPUS-Creative Economy Outlook 2019 より弊社作成(閲覧日:2019年10月4日)
https://www.bekraf.go.id/pustaka/page/89-opus-creative-economy-outlook-2019-indonesia-version
インドネシアの映画館は、Cinplex21, Cinemaxx, CGV Cinemasが大手3社となっています。
中でも、Cineplex21はインドネシアの劇場最大手で、1,000以上のスクリーンを有しています。
次いでCJ CGKは約300スクリーン、Cinemaxxは約200スクリーンを有し、残りの約50スクリーンは独立系の劇場となっています。
インドネシアで人気の映画とは?
では、インドネシアではどのような映画が観られているのでしょうか?
インドネシアでは、ハリウッド映画が非常に人気があります。
日本では、ハリウッド映画の公開が本国アメリカより何か月も遅れるということがよくありますが、インドネシアでは公開タイミングも早く、また回転が速いことも特徴的です。
一方でインドネシア映画も多く公開されています。
インドネシア中央統計庁(BPS)が公開している情報によると、インドネシアで公開されている映画のうち約40%がインドネシア映画でした。
インドネシアで公開された映画のジャンルの内訳は以下の通りです。(単位:%)
ジャンル | 2013 | 2014 | 2017 |
ドラマ | 16.28 | 20.86 | 24.02 |
コメディ | 10.99 | 9.10 | 10.75 |
スリラー | 11.83 | 7.07 | 9.44 |
ファンタジー | 6.21 | 10.05 | 9.06 |
アクション | 30.07 | 30.33 | 22.55 |
宗教関係 | 5.37 | 4.69 | – |
ホラー | 18.27 | 16.51 | 16.22 |
アニメ | – | – | 6.41 |
その他 | 0.98 | 1.4 | 1.5 |
合計 | 100(%) | 100(%) | 100(%) |
出典:BPS WEBサイトより弊社作成(閲覧日:2019年10月8日)
https://www.bps.go.id/dynamictable/2019/03/19/1603/persentase-judul-film-yang-ditayangkan-oleh-perusahaan-bioskop-menurut-genre-2013-2014-dan-2017-.html
また、2018年にインドネシアで最も鑑賞されたインドネシア映画は以下の通りです。
最も動員数が多かったインドネシア映画は「Dilan 1990」で、恋愛映画です。
また、2位と3位はホラー映画となりました。
インドネシアではホラー映画は非常に人気が高く、全体的に見ても、ホラー映画が多くランクインしていることが分かります。
弊社では、インドネシアの映画事情を始めとする市場や文化に関するセミナーの開催や、市場調査も承っております。また規制調査についても実績が多数ございますのでぜひお気軽にお問い合わせください。
過去にインドネシアの映画事情についてご紹介したコラムは以下をご参照ください。
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