【コラム】インドネシアで使用されている言語について

インドネシアで定められている公用語はインドネシア語で、インドネシア全土で使用されています。

また、公用語のインドネシア語に加え地域ごとに地方言語が多数存在し、その数は800言語を超えると言われています。

今回のコラムではインドネシアで使用されている言語についてご紹介します。

参考WEBサイト:https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2021/05/14/papua-punya-bahasa-daerah-terbanyak-di-indonesia

インドネシアの公用語インドネシア語の歴史

インドネシアの公用語であるインドネシア語のルーツは、7世紀から東南アジアの国々で使用されていたマレー語から由来しています。

そのため、インドネシア語とマレー語には似た表現が多数存在しています。

インドネシア語が国家の言語として認められるきっかけとなったのは、1928年10月28日に開催された第二回インドネシア青年会議の際に宣誓された「一つの国家、一つの民族、一つの言語による民族の統一」を謳う青年の誓いです。

一つの言語=インドネシア語を指し、この青年の誓いによりインドネシア語は民族の言語としての地位を得ました。

そして、1945年8月18日のインドネシア独立宣言後、現在使用されているインドネシア語が国家の言語として定められました。

1945年に定められた憲法第36条にも「国の言語はインドネシア語である」と示されています。

また、2019年にジョコウィドド大統領により制定された大統領令第63号では、インドネシア語の使用義務についての定めがあり、国内外での公式スピーチにおいて、インドネシア語を使用することが義務付けられています。

参考WEBサイト: https://www.kompas.com/skola/read/2019/12/25/150000269/bahasa-indonesia-sejarah-dan-perkembangannya?page=all
https://kantorbahasabengkulu.kemdikbud.go.id/sekilas-tentang-sejarah-bahasa-indonesia/

インドネシアで話されている言語について

インドネシアでは公用語のインドネシア語の他にも多くの地方言語が話されています。

それらインドネシアの地方言語の数は800以上と言われており、州の枠を越え地域ごとに複数の地方言語が存在しています。

地方言語数が一番多いとされている地域はパプアで、パプア州内だけでも326もの言語が存在していると言われています。

以下は、数ある地方言語の中で、話者数が多いインドネシアの地方言語の上位5つです。

 

ジャワ語

インドネシアで一番話者数が多い地方言語で、主に、中部ジャワ州、東ジャワ州の住人によって話されています。

敬語表現があり、普通語〜上級丁寧語の5段階に分けられているのもこの言語の特徴です。

 

スンダ語

ジャワ語に続きインドネシアにおいて2番目に話者数が多い地方言語で、主に、西ジャワ州、バンテン州、中部ジャワの東側の住人によって話されています。

ジャワ語程普通後〜上級丁寧語等の段階に分けられてはいませんが、ジャワ語同様敬語表現はあります。

 

マドゥラ語

ジャワ語、マレー語、ブギス語、中国語など様々な言語から影響を受けている言語です。

そのため、ジャワ語やマレー語などと似た表現も多くあります。

主に、マドゥラ島、東ジャワの北(ポロボリンゴ周辺の地域)の住人によって話されている言語です。

 

ミナンカバウ語(ミナン語)

西スマトラ州、リアウ州西部等のミナンカバウの住人によって話されている言語で、オーストロン科のマレー語・ポリネシア語の一つです。

インドネシア語に若干似ている部分もあり、地方言語の中では割と習得しやすい言語でもあります。

 

ムシ語

ミナンカバウ語と同様に、オーストロネシア語科に属す言語で、南スマトラ州にあるムシ川沿いの住人によって話されている言語です。

その他にも北スマトラ州のアチェで使用されているアチェ語やバリ州やロンボク州で使用されているバリ語などインドネシアの地方言語は多岐に渡ります。

参考WEBサイト: https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2021/05/14/papua-punya-bahasa-daerah-terbanyak-di-indonesia
https://www.beritabaik.id/read?editorialSlug=indonesia-baik&slug=1550738276522-ini-8-bahasa-daerah-yang-paling-banyak-digunakan-di-indonesia
https://backpackerjakarta.com/10-bahasa-daerah-yang-paling-banyak-digunakan-di-indonesia/

 

インドネシアにおける地方言語の例

インドネシアの地方言語をいくつか紹介させて頂きましたが、実際に使用されている「単語」はどのように異なるのでしょうか。「ありがとう」という言葉を例に比較していきます。

インドネシア語:Terima kasih(テリマカシ)
ジャワ語:Matur suwun(マトゥルスウゥン)
スンダ語:Hatur nuhun(ハトゥルヌフン)
マドゥラ語:Sakalangkong(サカランコン)
ミナンカバウ語:Tarimo kasih(タリモカシ)
ムシ語:Mokaseh(モカセ)

ミナンカバウ語は、インドネシア語に近いですがそれ以外の地方言語はインドネシア語と全く違うことが分かります。

上記の「ありがとう」のような誰もが使う日常的な単語でもインドネシアの地方言語は公用語のインドネシア語とは全く違う言語で、日本でいう地域毎の「方言」以上にその地方の人々にしか分からない言語でもあります。

また、これら地方言語はインドネシアにおける民族ごとの文化の象徴とされています。

参考WEBサイト:https://catatanpringadi.com/bahasa-daerah-terima-kasih/

インドネシアにおける地方言語の持続可能生

インドネシアの地方言語は、同じ種類の言語が使用されている地域において、地域の人同士で会話をする際に使用されています。

地域の違う人々が会話をするときは公用語であるインドネシア語で会話を使用します。

近年、インドネシアでは地方を出て都市部に暮らす若者が増え、地方言語を話す機会が減っているため、衰退の危機にある地方言語も多数存在しています。

地方言語の衰退は、その地域の文化の衰退の危機となりうるため、インドネシアの教育文化省は、地方言語の持続を促すために以下のような方針を打ち出しています。

・現地の地方言語で出版物を発行する
・家庭内では地方言語を使用する
・地方言語を保存できる演劇や詩などのイベントを開催する
・親が子供と話す際は地方言語でのコミュニケーションを図る

このように、インドネシア教育文化省はできるだけ地方言語を利用し、地方言語や地方の文化を守ることを呼びかけています。

一人でも多くの若者がそれぞれの地方言語の使用を持続することが地方言語衰退、ひいては地方文化の衰退の危機を救うと言えるのではないでしょうか。

参考WEBサイト:https://badanbahasa.kemdikbud.go.id/lamanbahasa/content/pelindungan-bahasa-daerah-dalam-kerangka-kebijakan-nasional-kebahasaan

 

今回のコラムでは、インドネシアで使用されている言語についてご紹介しました。

インドネシアにはインドネシア語以外に様々な地方言語があり、「それぞれの地域によって話されている言語が全く異なること」と「インドネシア国家がそれら地方言語を地方文化と共に守っていこうという姿勢」が分かりました。

インドネシアに行かれる際、インドネシア語を覚える事と同時に、訪問する地域の言語を少しでも覚えておくと、より現地の方との親近感が生まれビジネスが好転するチャンスが生まれるかもしれません。

 

弊社では様々な分野でインドネシア進出のサポートや、調査などを行なっております。

セミナーの開催や講師派遣なども行っておりますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。

 

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