【コラム】インドネシアの識字率と教育格差

インドネシア政府は教育開発目標として、初頭教育及び中等教育への参加率の増加や、中退率の低下、地域やコミュニティ、特に経済状況や性別、都市部と農村部における教育格差の解消を目標に掲げています。
その中でも「識字率」は、文字の読み書きができる人の割合を指し、特定の地域の教育水準を測る一つの目安として用いられますが、識字率で見た場合のインドネシアの地域格差、男女差はどのようなものなのでしょうか?
以下は、インドネシアにおけるカテゴリー別の15歳以上の識字率です。
2018年における15歳以上のインドネシア人の識字率
属性 | 年齢層 | |||
15-24歳 | 15-59歳 | 15歳以上 | ||
合計 | 99.71% | 98.07% | 95.66% | |
エリア | 都市部 | 99.93% | 99.18% | 97.56% |
農村部 | 99.42% | 96.67% | 93.30% | |
性別 | 男性 | 99.72% | 98.70% | 97.33% |
女性 | 99.70% | 97.44% | 93.99% | |
障がいの有無 | 無し | 99.77% | 98.19% | 96.34% |
有り | 93.21% | 91.04% | 76.67% |
出典:BPS(インドネシア中央統計庁)、「Statistik Pendidikan 2018」より弊社作成(閲覧日:2020年1月15日)
https://www.bps.go.id/publication/2018/12/06/a65b526c119ce8f799e5ea63/statistik-pendidikan-2018.html
地域や性別、障がいの有無で、識字率に差が表れていることが分かります。特に、障がいがあるインドネシア人の識字率は最も低い数字となっています。
以下、地域別、男女別で詳しくみていきましょう。
地域別の識字率
地域別でみると識字率は以下の通りとなります。(代表エリアのみ抜粋)
州 | 都市部 | 農村部 |
ジャカルタ州 | 99.72% | – |
西ジャワ州 | 98.73% | 97.76% |
中部ジャワ州 | 95.28% | 91.52% |
東ジャワ州 | 96.23% | 88.12% |
西ヌサトゥンガラ州 | 89.84% | 85.28% |
パプア州 | 98.33% | 68.05% |
インドネシア全体 | 97.56% | 93.30% |
出典:BPS(インドネシア中央統計庁)、「Statistik Pendidikan 2018」より弊社作成(閲覧日:2020年1月15日)
https://www.bps.go.id/publication/2018/12/06/a65b526c119ce8f799e5ea63/statistik-pendidikan-2018.html
インドネシアの都市部のみでみると、西ヌサトゥンガラ州以外は識字率が90%を超え、多くが99%以上ですが、農村部でみると識字率80%台となる州も多く、パプア州は唯一の60%台となっています。
インドネシアの州別識字率
出典:BPS, Statistik Pendidikan 2018
緑の地域は識字率100%、黄色の地域は式辞率90~99%、赤色の地域は識字率90%未満を表しますが、ほとんどの州が識字率90%以上である中、パプア州のみ識字率が90%未満となっていることがわかります。
地域別でみた男女差
また、地域格差だけでなく、男女差があることも以下の表から分かります。
州 | 男性 | 女性 |
ジャカルタ州 | 99.89% | 99.55% |
西ジャワ州 | 99.14% | 97.81% |
中部ジャワ州 | 96.32% | 90.68% |
東ジャワ州 | 94.99% | 88.85% |
西ヌサトゥンガラ州 | 91.86% | 83.42% |
パプア州 | 81.69% | 71.26% |
インドネシア全体 | 97.33% | 93.99% |
出典:BPS(インドネシア中央統計庁)、「Statistik Pendidikan 2018」より弊社作成(閲覧日:2020年1月15日)
https://www.bps.go.id/publication/2018/12/06/a65b526c119ce8f799e5ea63/statistik-pendidikan-2018.html
総じて男性よりも女性の方が識字率が低い結果となっています。
その他、識字率だけでなく、最終学歴も地域格差があり、都市部よりも農村部の方が最終学歴が低い傾向にあります。
また、以下のコラムでもご紹介しましたが、パプア州は未就学児がインドネシア国内で最も多い州でもあります。
参考:
インドネシアは子供人口が多いこと、経済発展が著しくインドネシア人の経済力がアップしていることなどから、インドネシアにおける教育ビジネスは魅力的な市場として注目を集めています。
しかしながら、上記のような地域格差、男女格差だけでなく、教員の質の確保や、そもそものインフラ整備の遅れによる地域間の開発格差、生活水準の違いなど、多くの課題が存在します。
弊社はインドネシアの学校への調査などを行った実績がありますので、インドネシアの学校・学習状況などについてご興味がある方はお気軽にご連絡ください
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