【コラム】インドネシアにおける法務コンサルタントと弁護士、公証人と土地証書作成官、その違いは?

インドネシア進出を考えた時に、法的な問題はどこで誰に相談すれば良いか、検討はつきますか?

法律に関連する事柄は、特定の有資格者でないとできない内容も多く、資格の区分が国によって異なるために非常にわかりにくいですよね。

インドネシアの場合、有資格者の業務範囲の問題、とりわけ弁護士と法務コンサルタントの違い、公証人とPPAT(penjabat pembuat akta tanah)、直訳すると土地証書作成官)の違い、という問題が特に厄介で分かりにくいと思われますが、実はインドネシアではこの四つの職種には明確な区別があります。

この記事では、法務コンサルタントと弁護士の違い、公証人(ノタリス)とPPATの違い、彼らが取り扱う法的行為の種類についてご紹介いたします。

 

A. 法務コンサルタント
「法務コンサルタント」は、読んで字のごとく、法律に関連した助言を行う職種であり、訴訟に直接関連したサービス以外の法務関連事項を広く取り扱います。ただし、法務コンサルタントの業務範囲は、顧客に対して法的助言を与えることにとどまり、以下に述べるような(訴訟)弁護士の業務範囲とは異なります。

 

B. 弁護士(訴訟弁護士)

インドネシアでは、弁護士を規定する法律として「弁護士に関する法令2003年第18号」がありますが、同法令においては「Advokat」という単語が職名として使用されています。

英語のAdvocateと同様に、インドネシアの弁護士も裁判所の内外での法律関連サービスの提供が主な仕事になります。

弁護士による法律関連サービスには、法律相談、訴訟支援、法的権利行使、法的代理行為、訴訟における弁護等、法的権利を顧客の便益のために確保すること、それに関連する業務がすべて含まれます。

したがって、上記法令によって規定される弁護士の業務範囲は、法務コンサルタントのそれよりも遥かに広いと言うことができます。

弁護士として業務を実施するには、当局からの任命と営業許可を得て、弁護士として宣誓・就任する必要があります。弁護士に任命されるためには、法学の学位取得、弁護士試験に合格すること、法律事務所での2年間のインターンを完了することが
必要です。

弁護士は国家資格なので、地域による活動の制限はなく、バリ島での法的問題の処理をジャカルタの弁護士事務所に依頼することは理論的には可能です(ただし、地域固有の事情をよく理解した弁護士のほうが良い、という判断も問題によっては成
り立つでしょう)。

したがって、弁護士個々人の専門性はあるとしても、弁護士資格があれば、あらゆる法的分野に関連した業務、つまり、一人の弁護士が、詐欺、横領、窃盗などの刑事罰、刑事訴訟関連分野、麻薬、汚職、不法伐採などの特別法関連分野、民法・商法、行政法、国家行政法などあらゆる法的分野に関する業務を履行できます。

 

C. 土地証書作成官(PPAT)

職業としてのPPATを規定する法律としては、政令1998年第37号があり、土地証書を作成する官吏に適用される規則を定めています。同政令は1998年以降に何度か修正を施されています。

PPATの業務上の責任範囲としては、土地登記に関連する諸活動、つまり土地に関する権利及びマンションの区分所有権に関連する法的行為(権利の移転等)の証拠としての証書を準備し、当該法的行為によって、当該の土地に関する権利の変更を登記するための基礎とすることです。登記された権利の変更に帰着するのは、土地の売却、交換、贈与、(共有地など権利が共有されている土地の)共同使用権の登録、所有権の登記された土地への使用権・建設権の登録、担保の設定、担保権設定権限の付与などが含まれます。

弁護士とは異なり、PPATの資格は一つの州によって与えられるので、業務は同一州内に限定されています。したがって、ジャカルタ特別州における営業免許を持つPPATは、同州内の土地登記関連業務は実施できますが、それ以外での地域の業務はできません。ただし、PPATは公証人でもあるため、以下に述べるような公証人としての業務を実施することは可能です。

 

D. 公証人(ノタリス)

職業としての公証人を規定する法律としては、法律2004年第30号があります。同法は幾度かの修正を施されています。
公証人は、公正証書を準備・作成する権限を有する、公的な資格保有者です。公証人が持っている権限には以下のようなものが含まれます:署名(サイン)を認証すること、手書き書面の日付を決定すること、手書き書面を記録・保管すること、手書き書面原本を複写・保管し原本と複写との一致を検証・保証すること、公正証書に関する公的教育を行うこと、土地証書及び(株主総会等の)議事録を準備すること。

公証人の住所は県、または市に所在し、(PPATと同様に)その所在地を含む州が業務実施範囲となります。

 

上記の説明からわかる通り、各職種について以下のようにまとめることができます

 法律関連事項に関する(単純な)相談

法務コンサルタントに依頼

 法律関連事項

(例えば、契約書の起草、紛争の処理、行政機関に関連する問題の処理、訴訟における顧客の法的代理等の作業が必要な場合)

弁護士に依頼

 土地に関連する権利の登記

PPATに依頼

 (土地証書以外の)公正証書の作成

公証人(ノタリス)に依頼

 

個々の職位に関する説明は以上になります。

弊社は、インドネシア全土において、経験豊富な法務コンサルタント、弁護士、PPAT、公証人と連携して業務を実施することができます。

そのため、会社設立、許認可の取得、VISA等滞在許可、知的財産権に関連する事項(著作権、特許、ロゴあるいは商標の登録など)、その他の法律関連事項に関して、ワンストップで皆様のご相談に対応することが可能です。

お気軽にご相談ください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
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