【コラム】2021年のレバラン期間中のインドネシアの人々の行動の変化
インドネシアは、2021年5月12日より5日間ほど、断食明けの大祭であるレバラン休暇でした。
今年もインドネシア国内では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、昨年に引き続き帰省禁止令が出されました。
それでもレバラン期間中に約150万人が帰省をしたと言われており、レバラン明けよりインドネシア国内では新規感染者の増加傾向が続いています。
7月12日時点では、インドネシア国内の新型コロナウイルス新規感染者数は1日4万人を超えました。
イスラム教徒にとって、ラマダン・レバラン休暇は年に一度の大切なイベントであり、世界で最もイスラム教徒人口の多いインドネシアでは、ラマダン・レバラン期間中の人々の消費行動が国の経済に大きな影響を与えます。
インドネシアにおける今年のレバランは、どのような行動の変化があったのでしょうか?
ホテルの稼働率、インターネット通信量、Eコマースの利用といった観点からインドネシアの人々のレバラン中の行動について解説します。
ホテルの稼働率
2021年は新型コロナ感染拡大防止策として、昨年に引き続き今年も帰省禁止令が出されました。
レバラン中は、日本のお正月のようにインドネシアでは多くの人々が故郷に帰省したり、旅行に出かけたりします。
今年は地元には帰省ができないですが、レバランはインドネシアで最も大きい連休で、1年に一度の大切な期間です。
今年は、居住エリアの近辺でステイケーションを楽しんだ人々も多かったようで、例えばリアウ諸島州のホテル稼働率は、レバラン前は10%だったのが、レバラン休暇中は80%にまで上昇しました。
出典:databoks、「Okupansi Hotel di Sejumlah Provinsi Meningkat saat Libur Lebaran2021(2021年レバラン中の各州でのホテル稼働率」より弊社作成(閲覧日:2021年7月13日)
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2021/05/19/okupansi-hotel-di-sejumlah-provinsi-meningkat-saat-libur-lebaran-2021
その他、ジャカルタやランプンなど、様々な州でレバラン期間中のホテル稼働率が上昇してしました。
今年のレバラン期間中は帰省禁止とされましたが、観光地の訪問は特に規制がなされなかったため、休暇初日から各観光地には多くの人が押し寄せました。
特に人気の観光地については大混雑となったため、ジャカルタのアンチョールやラグナン動物園、西ジャワの各観光地などで、休暇の途中から急遽一時閉鎖が決定されました。
インターネット、通信量の増加
インドネシアの通信会社のTri Indonesia、Telkomsel、及びIndosatは、昨年のレバランの時期と比較してデータが増量していると発表しました。
Tri Indonesiaは、モバイルゲームのインターネット利用が昨年のレバラン期間中と比較して150%増加したと述べています。
特に使用されているゲームアプリはPUBGMobileやMobile Legendsなどのゲームアプリでした。更に、ビデオストリーミングの通信量も大幅に増加しており、YouTubeとNetflixのアプリの使用量は、昨年のレバラン期間と比較して30%増加しているそうです。
また、Telkomselは、今年のレバラン期間は昨年のレバラン期間と比較してトラフィック量が39%増加、ビデオストリーミングサービスが53%増加、Telkomselが提供するビデオ会議サービスは410%の利用増があったと述べています。その他、Telkomsel利用者のモバイルゲーム、ブラウジング、SNSの使用量は、昨年のレバラン期間中と比較して今年のレバラン期間にはそれぞれ約81%、36%、7%増加しています。
Indosatは、トラフィック全体が10%、モバイルゲームは90%、SMSやビデオ通話サービスは21%、ビデオやミュージックストリーミングサービスは1%増加したと発表しました。
参考WEBサイト:https://katadata.co.id/yuliawati/digital/60a39dc7bc8a1/larangan-mudik-lebaran-trafik-internet-melonjak-hingga-150
https://www.tek.id/tek/trafik-3-indonesia-dan-indosat-ooredoo-naik-saat-lebaran-b2c2Y9kZf
これらのモバイルゲームや動画視聴サイトの利用増は、いずれもレバラン期間中の帰省(Mudik)禁止令により、多くの人が自宅で休暇を過ごしたためと見られています。
Eコマースの需要増、決済増加
インドネシアの物流会社のJ&T Express、Paxel、Ninja Xpressは、今年のラマダン期間中に商品配送量が最大40%増加したと発表しました。
これは、そもそもインドネシアのEC利用が毎年増加傾向であることに加え、ラマダン期間中は毎年、通常時と比べるとECからの商品配送が増加傾向にあること、更に今年はラマダン・レバラン期間中の帰省禁止が背景にあると言われています。
今年は、帰省禁止であったこと、コロナ禍で自由に外出ができなかったことから、よく売れた商品にも変化があったようです。
例えば、ECサイトのShopeeでは、今年のラマダン期間中は、お土産・プレゼント類が通常の3倍以上の売上を記録したようです。
その他、イスラム教徒の礼服や、子供服の売上が増加したと発表しています。
また、Tokopediaは、ヒジャブ(ムスリムの女性が頭部に巻くスカーフ)、礼拝用のアイテム、食品の3つのカテゴリーで取引量が増加し、ヒジャブや礼拝用のアイテムは売上が通常の約2倍、食品は通常の約5倍にも増加したと発表しています。
インドネシアの物流市場の収益は2024年までは増加傾向と見られており、収益は2020年には2,209億ドル、2024年には3,003億ドルに増加すると予測されています。
参考WEBサイト:https://katadata.co.id/desysetyowati/digital/6098fa4fc060e/transaksi-logistik-jt-paxel-ninja-naik-hingga-40-berkat-e-commerce
インドネシア進出の際には、宗教やレバランなど、インドネシア独自の文化を理解する必要があります。
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