【コラム】インドネシアの農村協同組合「KUD」とは?
インドネシアには、KUD(Koperasi Unit Desa)と呼ばれ、インドネシア全域に配置されている農村共同組合があります。
今回はこのKUDについて、歴史や組織構造、事業内容などをご紹介します。
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歴史
KUDの歴史は古く、1963年にはすでに前身のKoperta(農業協同組合)が設立されていました。
Kopertaの当初の役割は主に収穫された農作物販売所としての機能のみでしたが、販売支援全般へと活動範囲が広がっていくに連れて、より大きな枠組みであるKUD(農村協同組合)へと徐々に移行していきました。
Kopertaから移行したKUDは、生産物の加工やマーケティングも直接的に援助するようになり、さらにローンの貸借や設備投資などまで包括的に農家の援助を行うようになりました。
1973年には各州に州単位のPusat KUD(KUDセンター)が設立され、1980年には全てのKUDを統括するInduk KUD(KUD本庁)が設立されました。
組織構造
▲KUDの組織図
インドネシア全土では合計9500箇所にKUDが設置されており、平均すると各州に約200箇所のKUDが存在することになります。
KUDによると、KUDに登録している世帯数は約1300万世帯で、人数に換算すると約6500万人にも及ぶと予想されます。
KUDは協同組合中小企業省(Kementerian Koperasi dan Usaha Kecil dan Menengah)の管轄下にあり、毎年開催されるKUD総会はKUDの経営方針を決定するだけでなく、「農業ビジネス国際会議」など重要な国際会議の場としても機能し、農業大臣や商業大臣など多くの政府関係者、大学教授等が積極的に議論に参加しています。
上述の通り、全ての州にはその州内のKUDを統括するPusat KUDが配置されており、さらにPusat KUDも含めた全てのKUDを統括するInduk KUDがジャカルタに配置されています。
国際的な取引に関しては Induk KUDが地方KUDと国際企業との間で結ばれる契約の管理などを代理しており、例えば中国とのキャッサバの大規模な取引では収穫物の管理などは地域のKUDが行い、契約や登録などはInduk KUDが行いました。
現在は日本、台湾、マレーシア、韓国などインドネシア国外にも支部を構えており、日本支部であるInduk KUD Japanは2012年に一般社団法人として設立されました。
事業内容
KUDは収穫物の販売だけではなく広い範囲の事業を展開しています。
例えば、KUDは工場設備を共同所有することで生産物の加工を小口から受注したり、新規の販売ルートを獲得したりなど、収穫物のマーケティング全般に携わっています。
さらに、マイクロファイナンスのライセンスを活かして金融業務も担い、少額ローンの貸借や設備投資の援助なども行なっています。これらの活動は農業という枠に留まらず、漁業や鉱業などの第一次産業全体に対して行われています。
現地の生産者に根付いた組織だからこそ可能な事業の展開に力を入れており、大手銀行ではできないような与信システム(例えば村の名簿に基づいて、所有する家畜や前年度の収穫量から信用を計算するなど)を積極的に取り入れています。
KUDによれば、今後はKUDの数の多さと特徴を活かした新しいプロジェクトも推進していくとのことでした。
弊社はInduk KUDや協同組合中小企業省などの機関ともコネクションがございます。
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