【コラム】インドネシアにおけるウイルス感染予防の取り組み状況について
今年3月2日にインドネシアで初めて新型コロナウイルス感染者が確認されて以来、感染者は増加の一途をたどり、6月9日時点ですでに感染者累計30,000人を超えています。
感染拡大を防ぐため、全世界ではマスクの着用、手洗いや消毒液の利用、外出自粛や他人との距離を保つソーシャルディスタンスなど対策が呼びかけられ、インドネシアでもこれらの取り組みが政府に呼びかけにより広く普及しました。
その他、外出制限や宗教活動の制限なども行われています。
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その他、工場やオフィスでの勤務人数の調整や商業施設や観光施設の閉鎖などが実施されていますが、インドネシアにおける新型コロナウイルス感染者数はまだ増加が続いています。
では、インドネシアではどれくらいの人が新型コロナウイルス感染拡大のための対策を行っているのでしょうか?
ソーシャルディスタンス
ソーシャルディスタンス(社会的距離)は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大により広まった新たな生活様式の一つでしょう。
インドネシアでも、ウイルス感染拡大防止のため、人との距離を最低2M開けるよう呼びかけられていますが、実際にソーシャルディスタンスを知っている人、実施している人はどのくらいいるのでしょうか?
インドネシア中央統計庁(BPS)の調査結果によると、8割前後の人がソーシャルディスタンスについて知っており、日々の生活で実施していることが分かりました。
男女別で比べると、ソーシャルディスタンスについて知っている人の割合は、女性が88%、男性が85%で、ソーシャルディスタンスを実施している人の割合は女性が77%、男性が67%と、いずれも女性の方が数字が高くなる傾向にあるようです。
手洗いの実施/手指消毒剤の利用
こまめな手洗いは手指を衛生的な状態に保ち、手を媒介した新型コロナウイルスの拡散を防ぎます。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、インドネシア政府は人々にこまめな手洗いを呼びかけました。
インドネシアで、石鹸で手洗いをする人、手指消毒剤を利用する人の割合は以下の通りです。
インドネシアでは過半数の人が、石鹸で手を洗う/手指消毒剤を利用すると回答しました。
しかし、インドネシア国内では、いつでもどこでも水や石鹸を見つけられるわけではありません。
水と石鹸で手洗いをするのが難しい場合は、消毒液の利用も効果的とされています。
また、男女で比較すると、こまめに石鹸で手を洗うと回答した女性は84.61%、男性は75.74%でした。
更に、それぞれ石鹸で手を洗う頻度別に、新型コロナウイルスの感染がどの程度心配かを尋ねたところを、以下のような結果となりました。
石鹸で手を洗わないと答えた人のうち、約9割近い人が新型コロナウイルスへの感染が心配と答えており、手を洗うことの重要性がまだ認知されていないこと、衛生教育が行き届いていないこと、更には上述の通り水や石鹸がすぐ使えない環境にいることなどが課題として挙げられるでしょう。
また、男性と女性の間では、以下のような差が見られました。
女性 | 男性 | |
心配/とても心配 | 52.00% | 44.67% |
少し心配 | 40.08% | 43.92% |
心配ではない | 7.93% | 11.41% |
インドネシア中央統計庁(BPS)の分析によると、女性は男性より新型コロナウイルスへの感染を心配する傾向にあるため、男性よりもこまめに石鹸で手洗いをする傾向にあるということが分かりました。
マスクの着用
インドネシアでは日本ほどはマスクの着用は一般的ではなく、主に都市部に住む人々やバイクを利用する人が屋外で排気ガス対策のためなどに着用していましたが、今回の新型コロナウイルスの感染者拡大により、一部買い占めや価格の高騰なども起こりました。
インドネシア人の外出時のマスクの着用状況は以下の通りです。
10人のうち8人にはマスクを着用しているという結果となりました。
男女別でみると、マスクを常に着用すると答えた人は、女性が88.5%、男性は77.18%となり、こちらも男性の方が女性よりもウイルス感染対策を行う人の割合が多い結果となりました。
外出自粛
外出自粛は、インドネシア政府より国民に対し広く呼びかけられ、ジャカルタなど複数のエリアなどでは「大規模な社会的規制(PSBB)」によって罰則の対象にもなりました。
実際に、インドネシアの人は、コロナウイルスに対してどのように感じているのでしょうか。
出展:インドネシア統計庁(BPS)、「新型コロナウイルスの影響に関する社会統計調査結果2020」より弊社作成(閲覧日:2020年6月9日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/06/01/669cb2e8646787e52dd171c4/hasil-survei-sosial-demografi-dampak-covid-19-2020.html
多くの回答者は、インドネシアのメディアや地震と家族の健康、外出など様々な面で懸念していることが分かりました。
一方、回答者の68%は「2020年5月から7月には新型コロナウイルスは終息するであろう」と楽観的な考えであることも明らかになりました。
4月初めに「大規模な社会的規制(PSBB)」を導入したジャカルタは、6月を移行期間とし、引き続き外出自粛要請やソーシャルディスタンスなどの取り組みを行う一方で、飲食店や商業施設の営業を段階的に許可するなど、徐々に経済活動を再開させ、規制を緩和していく段取りが進められています。
学校も予定通り7月には始業・再開する予定であることをインドネシア教育文化省が発表しています。
しかし、まだまだインドネシア国内では感染者数が増加を続ける中、感染第2波への懸念も高まっています。経済活動を再開するには時期尚早という声も多く挙がっており、感染拡大防止の取り組みを行いながらどのように経済活動を元通りにするのかが、両立をさせることは可能なのか、課題として注目が集まっています。
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