【コラム】インドネシアのコーヒー事情

インドネシアのコーヒー生産量はブラジル、ベトナムに次いで世界第3位です。
近年、ジャカルタをはじめとする都市ではカフェブームで、オシャレで美味しいコーヒーを飲めるカフェが多くなるなど、インドネシア国内でのコーヒー消費量も増加しています。
本記事では、インドネシアのコーヒー生産の歴史と有名なコーヒーについて、お話しします。
インドネシアにおけるコーヒー生産の歴史
①コーヒーは、オランダから持ち込まれた
インドネシアのコーヒー生産の起源は、オランダ植民地時代に遡ります。
オランダ東インド会社は、本国に輸出するために強制栽培制度を開始し、1830年代にはジャワ島でコーヒーの樹が栽培されるようになりました。
その後、オランダ東インド会社撤退後も、コーヒー栽培は拡大を続けていましたが、1860年代~1880年代にかけてアジア地域に広がったサビ病の被害により、インドネシアのコーヒー生産は一時衰退します。
② ロブスタ種の導入により生産量が拡大
そこで、それまで栽培されていたアラビカ種から、病害に強いロブスタ種のコーヒー樹が栽培されるようになりました。
ロブスタ種の導入によって、インドネシアのコーヒー栽培や生産量は回復、拡大に向かいます。
現在、インドネシア産コーヒーの90%がロブスタ種です。
一方で、ロブスタ種よりも味や香りの優れたアラビカ種の中には、「マンデリンコーヒー」や「トラジャコーヒー」など、海外からも人気のあるブランドコーヒーに成長した品種もあります。
インドネシア産の有名なコーヒー
①マンデリンコーヒー
スマトラ島で栽培されている、酸味が少なく苦みとコクのあるコーヒーです。
名前の由来は「マンデリン族」という民族の名前であると言われています。
マンデリンの産地には、世界で最も深い湖である「トバ湖」がありますが、この周辺で栽培されたコーヒーはさらに特別で「マンデリン・トバコ」と呼ばれています。
マンデリンコーヒーはその苦みが特徴的であり、カフェオレにもよく合います。
②トラジャコーヒー
スラウェシ島で生産されているコーヒーで、植民地時代にはオランダ王室御用達としてオランダの貴族にも親しまれていました。
香りがとてもよく、苦み、酸味、甘みといった味のバランスがとれているため、コーヒーが苦手な人でも飲みやすいと言われています。
第二次世界大戦で一時は生産が停止してしまいましたが、日本の老舗企業「キーコーヒー」の援助で復活に成功し、その名を広めるに至ります。
日本との縁の深いコーヒーです。
③ ルアックコーヒー(別名:コピルアック)
「世界一高級」と言われ、その独特な採取法が有名なコーヒーです。
「産地」ではなく採取元である動物「ルアック」の名前から「ルアックコーヒー」と名付けられました。
ルアックとは「ジャコウネコ」のことで、「ルアックコーヒー」はコーヒーの実を食べるジャコウネコのフンから未消化の実を採取して作られます。
ジャコウネコは良質なコーヒーの実だけを判別して食べ、食べた実を腸内で発酵させますので、美味しいコーヒーができあがるというわけです。
アラビカ種のものですと、日本では100gで8,000円が相場と言われていますが、インドネシアでは2,000円~3,000円程度、もしくはそれ以下でも買うことができます。,
<おまけ>インドネシア流コーヒーの飲み方
インドネシアでコーヒーを飲むと、下に粉が溜まっていて驚いたという経験をされた方も多いのではないでしょうか。
インドネシアでは、コーヒーの粉を直接マグカップに入れてお湯を注ぎ、しっかり混ぜてから飲みます。
数分待つと粉が沈みますので、そっとうわずみをすするように飲むと美味しく召し上がることができます。
コーヒーの粉が見えてきたら、それ以上飲むのをやめます。飲めないことはないですが、口の中が粉だらけになりザラザラします。
いかがでしたでしょうか?
インドネシアは200年近く前からコーヒー栽培が行われる、コーヒーの生産大国です。
近年では経済発展も手伝ってカフェブームが起こっており、おしゃれなパッケージのコーヒー豆も多く売り出されています。
これからの動向に益々目が離せませんね。
株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260