【コラム】インドネシアのコーヒー事情とコロナの影響

すでにご存じの方も多いかと思いますが、インドネシアでは世界的に見てもコーヒーの生産量が多い国であり、農業分野におけるインドネシア国内の主力製品の一つにもなっています。

過去のコラムにて、インドネシアのコーヒー生産の歴史や主力となるコーヒー豆の種類についてご紹介いたしましたが、今回のコラムでは、インドネシア国内のコーヒー豆生産量や消費量の推移、コロナの影響などについてご紹介いたします。

参考コラム:

 

インドネシア国内のコーヒー豆の生産量や消費量

冒頭部分に記載の通り、インドネシアは世界で第3位のコーヒー生産国となっています。

 

出典:国際連合食糧農業機関(FAO)WEBサイトより弊社作成(閲覧日:8月24日)
http://www.fao.org/home/en/

出典:インドネシア農業省、”Buku Outlook Komoditas Perkebunan Kopi 2019(コーヒー生産の見通し2019)“より弊社作成(閲覧日:2020年8月24日)
http://epublikasi.setjen.pertanian.go.id/arsip-outlook/75-outlook-perkebunan/696-outlook-kopi-2019

 

インドネシア農業省の報告によると、今後インドネシアのコーヒー生産量は年平均1.2%増加していく見込みとなっています。

また、インドネシア国内でコーヒーの生産量が多い上位5州は以下の通りです。

南スマトラ州ランプン州北スマトラ州アチェ特別州東ジャワ州

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、“Statistik Kopi Indonesia 2018 (インドネシアのコーヒー統計2018)”より弊社作成(閲覧日:2020年8月24日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/12/06/b5e163624c20870bb3d6443a/statistik-kopi-indonesia-2018.html

 

インドネシア国内では南スマトラ州がコーヒーの生産量が最も多く、生産量は2018年時点180,000トン以上/年になります。また、インドネシア国内のコーヒー生産量は、この上位5州のコーヒー生産量が全体の約70%を占めています。

形態別でみると、インドネシア国内ではほとんどが小農園業の農家によってコーヒーが生産されており、2018年時点ではその割合は96%以上を占めています。

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、“Statistik Kopi Indonesia 2018 (インドネシアのコーヒー統計2018)”より弊社作成(閲覧日:2020年8月24日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/12/06/b5e163624c20870bb3d6443a/statistik-kopi-indonesia-2018.html

 

形態別並びに品種別でみたインドネシア国内のコーヒー生産量は以下の通りです。

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、“Statistik Kopi Indonesia 2018 (インドネシアのコーヒー統計2018)”より弊社作成(閲覧日:2020年8月24日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/12/06/b5e163624c20870bb3d6443a/statistik-kopi-indonesia-2018.html

出典:インドネシア農業省、”Buku Outlook Komoditas Perkebunan Kopi 2019(コーヒー生産の見通し2019)“より弊社作成(閲覧日:2020年8月24日)
http://epublikasi.setjen.pertanian.go.id/arsip-outlook/75-outlook-perkebunan/696-outlook-kopi-2019

 

インドネシア全体のコーヒー生産量を見ると少々伸び悩んでいる状況ではありますが、ロブスタ種に比べアラビカ種の生産量が徐々に増加していることが分かります。

インドネシア国内のコーヒーの価格の推移は以下の通りです。

出典:インドネシア農業省、”Buku Outlook Komoditas Perkebunan Kopi 2019(コーヒー生産の見通し2019)“より弊社作成(閲覧日:2020年8月24日)
http://epublikasi.setjen.pertanian.go.id/arsip-outlook/75-outlook-perkebunan/696-outlook-kopi-2019

 

上記の通り、インドネシアのコーヒーの価格は上昇傾向にあり、年平均でおおよそ7%前後で上昇しています。特に2016年から2017年にかけては25.18%も価格が上昇しました。

では、インドネシア人のコーヒーの消費量はどのくらいなのでしょうか?

出典:インドネシア農業省、”Buku Outlook Komoditas Perkebunan Kopi 2019(コーヒー生産の見通し2019)“より弊社作成(閲覧日:2020年8月24日)
http://epublikasi.setjen.pertanian.go.id/arsip-outlook/75-outlook-perkebunan/696-outlook-kopi-2019

インドネシアの家庭では、一般的に粉末状のパウダーコーヒーが広く普及していますが、近年はその消費量は減少傾向にあり、減少率の割合は年平均でおおよそ1.95%程度です。

2002年時点ではインドネシア人一人当たりの消費量が1.298kg/人だったのが、2018年には0.801kg/人にまで減少いています。特に2014年から2015年にかけては大幅に減少し、2014年時点で消費量平均1.347kg/人だったのが、2015年には0.896kg/人になり、33.51%もの減少が見受けられました。

一方、近年インドネシアの家庭ではインスタントコーヒーが徐々に普及してきており、消費量は年平均約3.09%増加しています。

冒頭部分でも述べましたが、近年はインドネシア国内でコーヒーがブームになりつつあり、コーヒーショップが多く見受けられるようになりました。

また、従来インドネシアの人々の間では“Ngopi(コーヒーする)”という文化があります。

イスラム教徒が国民の約9割を占めるとも言われているインドネシアでは、日本のようにアルコール飲料を飲みながら人と集まる、いわゆる“飲み会”のような文化はありません。

代わりに、インドネシアの人々はカフェなどでコーヒーや紅茶を味わいながら人との集まりを楽しむのです。

 

コロナの影響を受けるコーヒー産業

世界各国で新型コロナウイルス感染者が確認され、経済への打撃を大きく受ける中、インドネシアも例外ではありません。

 

インドネシアのコーヒー産業は、外出自粛に伴うカフェの営業停止などにより、国外への輸出入が減少しており、2020年1月から5月までのコーヒー豆並びにコーヒー加工品の総輸出額は昨年の同時期と比較して12.2%減少し、輸入は35.17%減少しました。

同時に、インドネシア国内のコーヒーの価格も下がっており、2020年6月時点で、アラビカ種の価格は前年6月と比較して7.6%減少、ロブスタ種の価格は13.24%減少しました。

参考WEBサイト:

 

インドネシア国内では、ジャカルタなど様々な州、都市において人々の移動や外出などを規制する「大規模な社会的規制(PSBB)」により、飲食店は時短営業や営業停止を余儀なくされたため、一時的にコーヒーの消費量も減少しました。

しかしながら、人々が外出やカフェでの飲食ができないなか、インドネシアではテイクアウトやデリバリーの需要が急激高まり、特に在宅勤務に切り替わった企業なども多かったことから、自宅で楽しめるテイクアウト用やデリバリー用のコーヒー関連製品の人気が非常に高まりました。

ECサイトでもインスタントコーヒーなどの売上が非常に伸びています。

インドネシア持続可能なコーヒープラットフォーム(SCOPI)会長は、インドネシア国内の生産量の増加率に比べて消費量の増加率が多く、年々生産量に占める国内でのコーヒー消費量の割合が増加しているため、今後コーヒーの生産が停滞した場合、コーヒーの輸入に頼らざるを得ない状況が発生する可能性も指摘しています。

 

弊社では、インドネシアの最新状況に関するセミナーの実施や、オンラインでの調査代行などを承っております。

ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

参考コラム:

 

株式会社インドネシア総合研究所
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Tel: 03-5302-1260

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