【コラム】インドネシアの移動図書館について
写真:「Wikimedia Commons」https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bookmobile_Surabaya_Indonesia.JPG
2012年のユネスコの発表によると、インドネシアで読書に関心を持っている人は1,000人に1人だけだそうです。
実際に、インドネシアでは全国各地に様々な図書館がありますが、図書館に本を借りに来る人の数はまだまだ少ないと感じます。
そんな中、インドネシアで注目を集めているのが移動図書館です。
今回はインドネシアの移動図書館についてご紹介します。
インドネシアにおける図書館の数
インドネシアにおける図書館の数は合計で154,358件、国立図書館はジャカルタに1件あります。
インドネシア全国各図書館のカテゴリーと件数
インドネシア全国の図書館の数
出典:「Perpustakaan Nasional Republik Indonesia」 http://kelembagaan.perpusnas.go.id
移動図書館
自動車を用いた移動図書館プログラムは、2003年からインドネシア政府により実施されています。
開始から2017年までの間、インドネシア全国(州、県、市)には合計708台の移動図書館が配布されました。
写真:Sakurai Midori
政府が提供する移動図書館以外にも、個人や財団によって管理される他の形の移動図書館もあります。
ここでは、インドネシアにあるユニークな移動図書館をいくつかご紹介いたします。
1.馬の移動図書館
馬の移動図書館は2015年初頭から始まりました。
リドワン・スルリ(Ridwan Sururi)氏は個人でこの取り組みを開始し、中部ジャワ、プルバリンガのセラン村で毎週月曜日から木曜日まで村を回り読書推進活動を行っています。
図書館として使われる馬は、100冊程度の本を運びます。
子供が興味を持ってもらいやすくするために馬の図書館にしたそうです。
写真:「KUDA PUSTAKA」http://kudapustaka.blogspot.com/
2.オートバイ図書館
スゲン・ハルヨノ(Sugeng Haryono)氏は2014年初頭に、スマトラ島南ランプンでオートバイ図書館を開始しました。
オートバイ図書館では通常120冊程の本を運んでいます。
彼は「読む、借りる、無料」というシステムを実践しています。
オートバイ図書館は子供だけでなく、若者、大人(特に主婦)にも人気があります。
写真:「Bernas.id」https://www.bernas.id/
3.カヌー図書館
2015年以来、カヌー図書館は西スラウェシ州、ポレワリ・マンダール県にてムハンマド・リドワン・アリムッディン(Muhammad Ridwan Alimuddin)氏によって開始されました。
このカヌー図書館はスラウェシ州南部、中央部、西部にも広がりました。
カヌー図書館では遠隔地の子供たちのための小説、漫画、学校の教科書など約4,000冊の本を所有しています。
写真:「perahupustaka」https://perahupustaka.com/
特に、図書館の少ない地方などではこのような移動図書館は、子供たちが読書に興味を持つために非常に貴重かつ重要な機会となるでしょう。
このような移動図書館にまつわる昨今の様々な取り組みは、インドネシアの人々の読書への関心を高めることができると期待されています。
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