【コラム】ICT教育に力を入れるインドネシア

2018年にインドネシア教育省が、学校への情報通信技術の導入援助を全国的に行うという新たな施策を始めました。

その背景には、ICT教育がまだあまり普及していないという、インドネシアの現状があります。

今回は、インドネシアにおけるICT教育についてご説明します。

 

ICT教育とは

インターネットやタブレット、デジタルコンテンツといった情報通信技術を用いた教育のことをさします。

社会のITへのニーズがどんどん高まる中で、教育分野へのITの導入は欠かせません。

インドネシア政府は、ICT教育の積極的な導入により質の高い教育を子供たちに提供し、更に教師のレベルを高めていく方針です。

 

インドネシアのICT教育は成長途中

インドネシアの現状として、ICT教育は発展途上と言えるでしょう。

インドネシア統計局によると、インドネシアの学生のコンピュータ使用率は15人に一人の割合で、またICT分野の資格を有している教師の割合も教師全体の10%ほどに留まっています。

インドネシアのICT教育はまだまだ改善の余地がありそうです。

Badan Pusat Statistik “Penggunaan dan Pemanfaatan Teknologi Informasi dan Komunikasi (P2TIK) Sektor Pendidikan 2018”
(インドネシア統計局 “2018年教育分野における情報通信技術の活用の統計”)
https://www.bps.go.id/publication/2018/12/24/27971845a9d616341333d103/penggunaan-dan-pemanfaatan-
teknologi-informasi-dan-komunikasi–p2tik–sektor-
pendidikan-2018.html

 

インドネシア教育省はICT教育を推進

インドネシア教育省は、情報通信技術局を通じて、ICT設備援助を全国10地域の学校で行うことを2018年の9月に発表しました。

教育文化省は、3T(terdepan/最も進んでいる, tertinggal/取り残されている, dan terluar/最外部)のいずれかを満たす地域を支援の対象とし、ジャカルタ、メダン、マタラム、クパン、ポンティアナック、マカッサル、アンボン、トゥルナテ、マノクワリ、ジャヤプラの計10地域が選定されました。

ジャカルタでは512校中82校の支援が決定しています。これらの学校には、タブレットなどの機器やインターネット通信が提供されます。

インドネシア教育省は、2015~2018年にインターネット通信に関する支援を受けられた学校は1,472件のみであり、2019年の間にはインドネシア全体でインターネット通信に関する支援が受けられる学校を計4,000校にすることを目標にしていると述べています。

インドネシアは島しょ国であり、ジャカルタなどの都市部とそれ以外の地域との格差が問題となっていますが、このICTを用いた学習システムの普及により、都市部とそれ以外で同じ質の教育が受けられるようになることも期待されています。

出典:Kementerian pendidikan dan kebudayaan “Kemendikbud BerikanBantuan Perangkat TIK kepada Sekolah Daerah 3T
(教育文化省 “教育文化賞“が最先端、(生徒が)最多、最大の地域の学校にICT“設備を援助)/(閲覧日:2019年8月27日)
https://www.kemdikbud.go.id/main/blog/2018/09/kemendikbud-berikan-bantuan-perangkat-tik-kepada-sekolah-daerah-3t

 

社会のITへのニーズの高まり

インドネシアは今、生活の様々な場面でテクノロジーの発達が見られ、IT技術を融合した金融市場、通称FinTechも活発化しています。

Fintech Singaporeによると、インドネシアにおける2017年のFinTech総投資額は1億7700万USドル(約195億円)とされています。

出典:Fin Tech Singapore :FinTech Indonesia Report 2018
http://fintechnews.sg/20712/indonesia/fintech-indonesia-report-2018/

 

インドネシアのFinTechについては、以前こちらの記事でご紹介しましたので、ぜひ併せてご覧ください。

ただ、ニーズが高まっていても、依然としてインドネシアのICTが発展途上段階にあることは否定できません。国際電気通信連合の作成するICT(情報通信技術)開発指標では、インドネシアは176位中111位と遅れを取っています。

2017年ICT(情報通信技術)国際指標ランキング

順位 国名 ポイント
アイスランド 8.98
韓国 8.85
スウェーデン 8.74
10 日本  8.43
… 
111 インドネシア 4.33
176 エリトリア   0.96

 

出典:ICT Development Index(ICT開発指標)より弊社作成(閲覧日:2019年8月27日)
http://www.itu.int/net4/itu-d/idi/2017/index.html

 

今後さらにインドネシアの情報通信産業が発達していくためにも、教育分野がIT化されていくことは必要不可欠でしょう。

ICT成長途上のインドネシアでは、ある産業内の企業の勢力図や関連する法律が、これから起こるICTの発展とともに目まぐるしく変化していくことが予想されます。

弊社には、インドネシアの事情に精通する日本人スタッフと、日本語や日本の文化を理解したインドネシア人スタッフがおります。お気軽にご相談ください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次