【コラム】インドネシアにおける幸福度について

人々の幸せの度合いを表す指標として、「幸福度」という言葉を一度は耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
この幸福度はどのような基準で計測され、世界の中でのインドネシアはどのような位置付けになっているのでしょうか。
今回のコラムではインドネシアにおける幸福度についてご紹介していきます。

世界幸福度報告

世界幸福度報告とは、国連機関により発行されている幸福度についての報告で世界150カ国以上の国や地域について、幸福度を数値化しているものです。
そしてこの報告書では世界の幸福度がランキング形式となり示されています。

この報告の中で幸福度を図る基準は以下の通りです。

  1. 一人あたりの国内総生産(GDP)
  2. 社会保障制度などの社会支援
  3. 健康寿命
  4. 人生の選択自由度
  5. 他者への寛容さ
  6. 国への信頼度(腐敗を感じる程度)

元々国連機関は、幸福度を図る指数として国内総生産(GDP)のみを基準にしていましたが、幸福度をGDPだけでは測れない問題が発生し、基準が追加されました。
「人生の自由度」や「他社への寛容さ」という項目が加わっている点から見ると、この指標で定義されている幸福度は経済的な側面だけではなく、人々の精神面も加味されたものであることが分かります。

[ 参考WEBサイト:https://kotobank.jp/word/%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E5%BA%A6%E5%A0%B1%E5%91%8A-2433874 ]

世界幸福度ランキング(2021年)について

以下は2021年の世界幸福度ランキングです。
ランキングの中にあるスコアは前述の幸福度を図る基準において、自身の生活の満足度が0〜10までのどの段階にあるかを質問して集計した数値です。

ランキング スコア
1位 フィンランド 7.809
2位 デンマーク 7.646
3位 スイス 7.560
4位 アイスランド 7.504
5位 ノルウェー 7.488
62位 日本 5.871
84位 インドネシア 5.286

[ 参考WEBサイト:https://graphics.reuters.com/LIFE-CAREER-LJA/0100B0CQ0S3/index.html ]

上図より、1位はフィンランドで1位〜5位に北欧が集中していることが分かります。

フィンランドは3年連続1位に輝いており、その理由として社会制度が手厚い点やジェンダー平等が浸透している点などが挙げられます。

一方、日本は62位と1位のスコアと比較すると約2ポイントも低いことが分かります。
インドネシアは84位となり、調査対象となっている150カ国中の中間点より後順位となっていますが、1年前との比較では2つ順位を上げています。

また、他の東南アジアの国々と比較すると、フィリピン(61位)、ベトナム(79位)、マレーシア(81位)の方がインドネシアより高い順位に位置しています。
インドネシアの一人当たりGDPはこれら3か国との比較ではマレーシアに次ぐ2番目ではありますが、これらの国より幸福度が低位にあるのは経済面とは別の基準での満足度が低いことが要因でしょう。

[ 参考WEBサイト:https://www.pikiran-rakyat.com/nasional/pr-011658251/world-happiness-index-kebahagiaan-orang-indonesia-meningkat-selama-pandemi-covid-19
https://datacommons.org/place/country/IDN?utm_medium=explore&mprop=amount&popt=EconomicActivity&cpv=activitySource%2CGrossDomesticProduction&hl=ja ]

インドネシア国内における地域別幸福度

続いてインドネシア国内における地域間の幸福度の違いについて見ていきましょう。
以下はインドネシアの中央統制局(BPS)が行なった幸福度調査の中で、幸福度の高い5地域と幸福度の低い5地域です。

幸福度の高い5地域(2021年)

順位 地域
1位 北マルク
2位 北カリマンタン
3位 マルク
4位 ジャンビ
5位 北スラウェシ

幸福度の低い5地域(2021年)

順位 地域
1位 バンテン
2位 ベンクル
3位 パプア
4位 ヌサトゥンガラ
5位 西ジャワ

出典:Hapiness Index by Province 2014-2021(インドネシア地域ごとの幸福度調査)より弊社作成(2022年1月24日)

上図よりインドネシアにおいて幸福度の高い地域の中に、首都であるジャカルタ首都特別州や、大都市が幸福度の高い地域に含まれていないことがわかります。
大都市は経済が発展している事から幸福度が高そうにも思われがちですが、人々の人間関係が希薄である等、精神面での低い満足度が幸福度の低下に繋がってしまっているのではないしょうか。

首都のあるジャカルタ首都特別州が34州中27位と国内地域の中でもそこに住む人々の幸福度が低いというこの事実は残念なことです。

[ 参考WEBサイト:https://www.cnnindonesia.com/nasional/20211231192643-20-741217/survei-bps-indeks-kebahagiaan-warga-jakarta-turun ]

高いGDPの成長率から経済面は急成長を遂げているインドネシアは国民の幸福度については世界の国々との比較では低位にあることが分かりました。
この幸福度を改善させ、インドネシアの人々が生活に満足するような国造りには、社会保障の改善、健康面での改善、自由に選択できる社会のしくみ作りなど国の制度面を様々な角度からの改善していく事が課題です。

また、大きなビルが立ち並び先進国に劣らない経済発展をしている首都ジャカルタ、ここにはインドネシアの各地から経済的な富を求めて多くの人々が集まっています。
この「大都市ジャカルタ」が経済発展に合わせて住人の幸福度を上げるには、古き良きインドネシアの寛容さや人とのつながりを大切にすることを忘れないようにする必要があるのではないでしょうか。

ジャカルタをはじめインドネシアの経済を牽引しているこれら大都市が、住人に幸福感を感じさせる都市づくりができれば、インドネシアはもっと魅力のある国に成長することができるのではないかと思います。

今回のコラムで述べた「人々の幸福度」という観点では最近順位を落としている日本と同様、単なる経済規模のみならずSDG’sへの積極的な取組み等、持続的に国民の幸福度を向上させる国造りが期待されるところです。

弊社では、インドネシアにおける調査、インドネシア進出のサポートの他、インドネシアビジネスを通じた皆様のSDG’s推進を後押しする活動のご案内等、様々な分野で支援を行なっております。
是非ご相談をお待ちしております。

株式会社インドネシア総合研究所
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Tel: 03-5302-1260

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