【コラム】インドネシアの牛乳事情
日本では、牛乳は健康によい飲料として人々の生活に広く浸透しています。
ではインドネシアではどのような状況でしょうか?実はインドネシアでは牛乳の消費量が低いと言われており、東南アジアの中でも消費量が最も少なくなっています。
本記事では、インドネシアの牛乳、生乳に関する情報をご紹介します。
インドネシア人の牛乳消費量
アメリカ合衆国農業省 海外統計局によると、2016年時点で一人当たり年間約14.3lしか消費をしていません。ASEANの他国と比較すると、マレーシア50.9l、タイ33.7l、フィリピン22.1lとなっており、インドネシアの牛乳消費量は他国より低い数値となっています。
出典:USDA Foreign Agricultural Service, “Indonesia 2016 Dairy and products Annual Report”(閲覧日:2019年5月10日)
https://gain.fas.usda.gov/Recent%20GAIN%20Publications/Dairy%20and%20Products%20 Annual_Jakarta_Indonesia_10-17-2016.pdf
また、牛乳の価格については、1L当たり9,000ルピア程度で販売されています。インドネシアの物価や収入から鑑みると、あまり低価なものではありません。
そのため、牛乳は贅沢品と考えるインドネシアの人もまだまだ多く存在します。
インドネシア国内の生乳の生産状況
インドネシア農業省の2016年の報告によると、インドネシアにおける乳牛頭数は年々増加傾向にありますが、2015年における国内の生乳生産量は835,100tでした。
しかし国内の総需要合計は3,838,215tとされており、わずか約22%しか国内生産で賄えておらず、残りの約78%は海外からの輸入で補っているのが現状です。
(出典:http://ditjenpkh.pertanian.go.id/userfiles/File/Buku_Statistik_2017_(ebook).pdf?time=1505127443012)
酪農産業が盛んな地域とサプライチェーン
インドネシアで酪農産業が盛んな地域はどこなのでしょうか?
実はインドネシアにおける生乳の生産はほとんどジャワ島に集中しています。
出典:インドネシア農業省「Outlook Susu 2017」より弊社作成(閲覧:2019年5月8日)
http://epublikasi.setjen.pertanian.go.id/arsip-outlook/70-outlook-peternakan/538-outlook-susu
出典:インドネシア中央統計局、「Produksi Susu Segar menurut Provinsi, 2009-2018(2009-2018年における生乳の
州別生産量」より弊社作成(閲覧:2019年5月8日) https://www.bps.go.id/linkTableDinamis/view/id/1083
インドネシアで生産されている生乳は約95%がジャワ島内で生産されています。インドネシアで酪農産業が盛んな地域は、西ジャワ州、中部ジャワ州、ジョグジャカルタ特別州、東ジャワ州などです。
そのほかは、西スマトラ州や南スラウェシ州などでも生産がおこなわれています。
インドネシアの酪農産業のサプライチェーンは以下の図の通りです。
インドネシアでは3~4頭のみを飼育する小規模な酪農家が多く、個別にメーカーと取引をするのが難しいため、小規模酪農農家は協同組合を設立し、メーカーと取引しています。
生乳は要冷蔵での保管が必要なため、他島への流通は冷蔵管理が難しく、脱脂粉乳などの乳飲料の流通がメインとなっています。インドネシアにおいて、ジャワ島で生産された生乳の他島への輸送は大きな課題と言えるでしょう。
いかがでしょうか?
インドネシア政府としては、今後インドネシア国内の生乳の生産量を増やし、2020年には国内需要の40%をインドネシア国内で生産された生乳で賄いたいと考えており、今後様々な取り組みがなされることが予測されます。
弊社は、インドネシアの乳製品業界への視察手配の実績がございます。
また、調査は市場動向を把握するために非常に重要な要素となります。
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