【コラム】インドネシアにおける男女の比較から分かるインドネシアの男女平等についての現状

2020年にインドネシアで行われた人口調査により、インドネシアにおける男性と女性の人口の割合が発表されました。

この人口調査により、男性人口は1億3666万人(総人口の50.58%)、女性人口は1億3354万人(総人口の49.42%)とインドネシアにおいて男性の割合が若干多いことが明らかになりました。

また、インドネシアにおいて教育機関のリーダーは女性が多く女性のリーダーも活躍していますが、男女格差を測るジェンダーギャップ指数は世界各国の中で101位とまだ男女平等において改善の余地があると言えます。

参考:https://www.kompas.com/edu/read/2020/08/15/205859271/kemendikbud-kesetaraan-gender-nyatanya-lulusan-sma-dan-s1-banyak-perempuan?page=all

参考:https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202105/202105_05.html

今回のコラムでは、インドネシアにおける健康・教育・世帯別における男女の割合の比較からみえてくるインドネシアの男女平等の現状についてご紹介していきます。

参考: https://nasional.kontan.co.id/news/inilah-daerah-dengan-penduduk-pria-dan-wanita-terbanyak-di-indonesia-1#:~:text=Jumlah%20penduduk%20laki%2Dlaki%20hasil,jumlah%20133%2C54%20juta%20jiwa.&text=Artinya%2C%20terdapat%20101%20pria%20untuk%20setiap%20100%20perempuan.

インドネシアにおける人口ピラミッド

下図はインドネシアにおける人口ピラミットです。

出典:Perempuan dan laki-laki di Indonesia 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月13日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/17/ff4b8c5cccd3b72fe889a5ae/perempuan-dan-laki-laki-di-indonesia-2019.html

 

インドネシアにおける男女の割合について、どの年齢層でも大幅な割合差がある年齢層はないことが分かります。

また、男女ともに人口ピラミッドで一番割合が多いのは、5歳〜9歳の年齢層であることが分かります。

男女ともに今後を担っていく若者が多くまた同じ割合いることはインドネシアにとって追い風であると言えます。

 

インドネシアにおける男女の健康状態についての比較

2019年3月に中央統計局によって行われた調査において、過去1ヶ月の間に体調不良を訴えた割合は男性より女性の方が多かったことが明らかになりました。

調査対象の男性の中で、過去1ヶ月に間に体調不良を訴えた割合は30.66%だったのに対し、女性の中で体調不良を訴えた割合は、34.08%でした。

また、体調不良により仕事や学校生活に支障が出ている割合も男性より女性の方が多いことが分かっています。

また、中央統計局によって行われた同調査において過去1ヶ月の間で体調不良で病院にいった割合も、過去1年間で入院した割合も男性より女性の方が約2%多いことが明らかになっています。

この割合は単純に、体調不良になる女性の割合が多いということに加え女性の方が男性より痛みに敏感であったり、女性ホルモンによる影響もあるようです。

参考: https://sains.kompas.com/read/2017/09/06/160700123/5-perbedaan-pria-dan-wanita-soal-kesehatan?page=all

インドネシアにおける男女の教育についての比較

下図は小学生(7歳〜12歳)、中学生(13歳〜15歳)、高校生(16歳〜18歳)におけるインドネシアでの男女の就学の割合です。

出典:Perempuan dan laki-laki di Indonesia 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月13日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/17/ff4b8c5cccd3b72fe889a5ae/perempuan-dan-laki-laki-di-indonesia-2019.html

出典:Perempuan dan laki-laki di Indonesia 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月13日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/17/ff4b8c5cccd3b72fe889a5ae/perempuan-dan-laki-laki-di-indonesia-2019.html

出典:Perempuan dan laki-laki di Indonesia 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月13日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/17/ff4b8c5cccd3b72fe889a5ae/perempuan-dan-laki-laki-di-indonesia-2019.html

 

上図から、小学生から高校にかけて就学の割合は男女で殆ど変わらないことが分かります。

また、どの年齢層においても女子生徒の方が就学の割合高いことが分かります。

下図は15歳以上の学生のうち、学校を中退した生徒の男女別の割合です。

出典:Perempuan dan laki-laki di Indonesia 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月13日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/17/ff4b8c5cccd3b72fe889a5ae/perempuan-dan-laki-laki-di-indonesia-2019.html

 

早く結婚したり、家の手伝いが必要となり、中退する女子生徒がおり男子生徒より女子生徒の方が中退の割合が高くなっています。

インドネシアの教育文化省は小学校〜高校までの就学において女性の割合が高いことから、男女平等が保たれている状態であると述べていますが、中退の割合を見ると女子生徒の割合が多くまだ完全に平等が保たれていないことが現状であるとも言えます。

関連コラム:

参考:https://www.kompas.com/edu/read/2020/08/15/205859271/kemendikbud-kesetaraan-gender-nyatanya-lulusan-sma-dan-s1-banyak-perempuan?page=all

 

インドネシアにおける結婚や世帯主の男女の割合ついて

インドネシアにおける、2019年時点の初婚の平均年齢は、女性が20.6歳、男性が24.8歳と、女性の方が若くして結婚する傾向にあります。

また現在の日本においては女性が29.4歳で男性が31.1歳という数字からみると、インドネシアにおける初婚の年齢は男女ともに日本と比べ非常に早いことが分かります。

参考: https://www.mwed.jp/articles/11353/#:~:text=%E5%88%9D%E5%A9%9A%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E3%81%AF,%E6%AD%B3%E3%80%81%E4%B8%8A%E6%98%87%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

下図はインドネシアにおける世帯主の男女比です。

出典:Perempuan dan laki-laki di Indonesia 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月13日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/17/ff4b8c5cccd3b72fe889a5ae/perempuan-dan-laki-laki-di-indonesia-2019.html

 

上図から、インドネシアにおいて世帯主の男女比は圧倒的に男性が多いことが分かります。

インドネシアにおいて女性が世帯主になる要因として夫との離婚や死別が多く、経済的に困窮している世帯が多いことが明らかになっています。

参考: https://mediaindonesia.com/opini/356355/pemberdayaan-perempuan-kepala-keluarga

下図はインターネットへのアクセスの男女別の割合です。

出典:Kementerian PPPA: Tingkat Akses Internet Perempuan di Indonesia Lebih Rendah dari Laki-lakiより弊社作成(閲覧日:2021年6月13日)
https://nasional.kompas.com/read/2021/05/20/17145351/kementerian-pppa-tingkat-akses-internet-perempuan-di-indonesia-lebih-rendah?page=all

 

インドネシアにおけるインターネットへのアクセスについて、男性の方が女性よりアクセス率が高く、性別の違いにより情報の格差が生まれてしまっていることが分かります。

女性エンパワーメント・児童保護省(Kementerian Pemberdayaan Perempuan dan Perlindungan Anak) によると、インドネシア国内の男女でインターネットアクセスの割合に差が出ている理由としては、まだまだインドネシア国内で理系=男性、文系=女性というステレオタイプのイメージが持たれていることも多く、科学技術分野における女性の教育・進出に改善の余地があることや、ビジネス面においてもテクノロジー活用の余地がまだまだあることなどが挙げられています。

インドネシアでは、大企業と比較すると中小企業で代表を務める女性が多く、また分野としてはファッション、料理、工芸関係が多いという統計が発表されており、今後オンラインでのマーケティングやECの活用などを積極的に行うことで女性の経済的な可能性も最大化していくことが課題であると述べられていま
す。

 

インドネシアにおける男女の労働格差

インドネシアにおいて女性労働者の平均賃金は245万ルピア/月なのに対し、男性労働者の平均賃金は317万ルピア/月と、女性労働者より約72万ルピア高いことが分かっています。

また、労働参加率について女性労働者は51.89%なのに対し、男性労働者は83.13%と約30%高いことが分かっています。

インドネシアの財務省は、男女の労働格差は2006年以降改善傾向にあると発表していますが、数字で見ると依然として格差が残っていること分かります。

参考:https://www.cnbcindonesia.com/news/20200701182828-4-169536/kementerian-keuangan-ungkap-masalah-gender-dan-ekonomi-di-ri

インドネシアにおける男女の政治においての格差

議会における女性議員の割合について、2018年から2019年にかけて2.4%の割合減少し、2019年時点で女性議員は全体の17.4%となっています。

また、管理職の立場にある女性議員は全体のわずか0.02%と非常に少ない数字となっています。

インドネシアの政治において、一見女性リーダーが多く活躍しているような印象を受けますが、男女平等の実現はまだまだ課題があることが分かります。

参考:https://www.cnbcindonesia.com/news/20200701182828-4-169536/kementerian-keuangan-ungkap-masalah-gender-dan-ekonomi-di-ri

 

データで見ると、インドネシアにおいて教育面では男女の平等が整ってきていますが、労働面や政治の世界での男女の平等についてまだまだ課題があることが分かりました。

 

弊社では様々な分野でインドネシア進出のサポートや、調査などを行なっております。

セミナーの開催や講師派遣なども行っておりますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
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