【コラム】インドネシア人の食費は一体どのくらいか?
インドネシアでは昨今の経済成長により中間層が増加し、インドネシア人一人一人の購買力が上がることにより消費が拡大しています。
当コラムでは、インドネシアの食に関する様々なコラムをアップしてまいりましたが、実際にインドネシア人一人当たりの食費は一体どのくらいなのでしょうか?
今回のコラムでは、インドネシア人の食費についてご紹介いたします。
インドネシアと言っても、ジャカルタのような大都市と農村部では差異があります。まず、都市部と農村部で比較した場合の、1カ月当たりの支出のうちの食費の割合は以下の通りです。
出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Pengeluaran Untuk Konsumsi Penduduk Indonesia 2018「インドネシア人の消費と支出 2018」 より弊社作成
(閲覧日:2020年2月17日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/06/28/5353a318520b45aa07520076/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia–september-2018.html
都市部では、食費よりも食費以外の支出が多いのに対し、農村部は食費の割合が食費以外の割合よりも多いことが分かります。
BPSの調査結果によると、インドネシア全体で見た場合のインドネシア人一人当たりの食費の平均はRp 556,899ですが、都市部の食費平均はRp 620,962、一方農村部の食費平均はRp 479, 557と少々開きがあります。
インドネシアにおける調査では、階層分類方法としてしばしば”Quintile(インドネシア語:Kuintil)”という単語が用いられますが、Quintileはインドネシアの全ての階層を以下のように5等分します。
・Quintile 2…貧困層
・Quintile 3…中間層
・Quintile 4…上位中間層
・Quintile 5…富裕層
上記のような分類方法で所得別に見た場合、各階層の食費の割合は以下のようになります。
出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Pengeluaran Untuk Konsumsi Penduduk Indonesia 2018「インドネシア人の消費と支出 2018」 より弊社作成
(閲覧日:2020年2月17日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/06/28/5353a318520b45aa07520076/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia–september-2018.html
上述の通り、Quintile1は貧困層、Quintile5は富裕層ですが、所得が増えるにつれ一人当たりの1か月全体の支出における食費の割合が少なくなってくることが分かります。
また、富裕層とされるQuintile5以外は、食費以外の支出よりも食費の支出の方が多くなっています。
インドネシア人は多数が1カ月の支出のうち食費が約半分を占めているということが分かりましたが、更に細かく分類すると食費の中でも一体どのような項目に出費をしているのでしょうか?
食費の内訳を細かく分類すると以下の通りとなっています。
インドネシア人一人当たり/1か月の支出における食費の各項目の内訳(2018年)/地域別
No | 項目 | 都市部 | 農村部 | インドネシア全体 |
1 | 穀物類 | 4.5 | 8.73 | 5.95 |
2 | 芋類 | 0.37 | 0.75 | 0.50 |
3 | 魚介類(魚、エビ、イカ、貝類) | 3.46 | 4.61 | 3.85 |
4 | 肉 | 2.1 | 1.95 | 2.05 |
5 | 卵と牛乳 | 2.94 | 2.72 | 2.86 |
6 | 野菜 | 3.00 | 4.53 | 3.53 |
7 | ナッツ類 | 0.89 | 1.23 | 1.00 |
8 | 果物 | 2.52 | 2.56 | 2.53 |
9 | オイル・ココナッツ | 0.98 | 1.63 | 1.2 |
10 | 飲料 | 1.23 | 2.09 | 1.53 |
11 | スパイス類 | 0.83 | 1.19 | 0.96 |
12 | その他 | 0.81 | 1.11 | 0.91 |
13 | 加工済み調理食品 | 17.56 | 15.39 | 16.82 |
14 | タバコ | 4.79 | 7.79 | 5.82 |
合計 | 45.98 | 56.28 | 49.51 |
(単位:%)
出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Pengeluaran Untuk Konsumsi Penduduk Indonesia 2018「インドネシア人の消費と支出 2018」 より弊社作成
(閲覧日:2020年2月17日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/06/28/5353a318520b45aa07520076/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia–september-2018.html
都市部と比較すると農村部では一人当たりの穀物類に対する出費は倍近い数字となっており、またタバコへの出費も都市部より農村部の方が約1.6倍ほど多くなっています。
加工済み調理食品は、農村部よりも都市部の方が数字が高くなっています。
では、階層別でみてみるとどのような内訳となるのでしょうか?
インドネシア人一人当たり/1か月の支出における食費の各項目の内訳(2018年)/階層別
No | 項目 | Quintil1 | Quintil2 | Quintil3 | Quintil4 | Quintil5 |
1 | 穀物類 | 22.42 | 16.69 | 13.60 | 11.20 | 7.43 |
2 | 芋類 | 1.25 | 0.97 | 1.02 | 1.08 | 0.92 |
3 | 魚介類(魚、エビ、イカ、貝類) | 6.69 | 7.48 | 7.89 | 8.01 | 7.97 |
4 | 肉 | 2.39 | 3.05 | 3.52 | 4.05 | 5.33 |
5 | 卵と牛乳 | 4.50 | 4.79 | 5.17 | 5.66 | 6.86 |
6 | 野菜 | 8.78 | 8.27 | 7.84 | 7.22 | 5.86 |
7 | ナッツ類 | 2.86 | 2.48 | 2.24 | 2.02 | 1.55 |
8 | 果物 | 3.30 | 3.87 | 4.32 | 5.06 | 6.47 |
9 | オイル・ココナッ ツ |
3.49 | 3.08 | 2.72 | 2.39 | 1.80 |
10 | 飲料 | 4.42 | 3.76 | 3.39 | 3.04 | 2.37 |
11 | スパイス類 | 2.32 | 2.27 | 2.08 | 1.94 | 1.63 |
12 | その他 | 2.06 | 2.01 | 1.99 | 1.91 | 1.59 |
13 | 加工済み調理食品 | 25.39 | 28.91 | 30.95 | 33.16 | 40.08 |
14 | タバコ | 10.12 | 12.38 | 13.27 | 13.28 | 10.14 |
(単位:%)
出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Pengeluaran Untuk Konsumsi Penduduk Indonesia 2018
「インドネシア人の消費と支出 2018」 より弊社作成(閲覧日:2020年2月17日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/06/28/5353a318520b45aa07520076/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia–september-2018.html
階層別で見た場合、穀物類や野菜類、飲料への出費の割合は、階層が上がるにつれ減少していることが分かります。
一方、肉、卵や牛乳、果物、加工済み調理食品などは、階層が上がるにつれて出費の割合は上昇しています。
食費を100%として見た場合のそれぞれの項目の内訳は以下の通りとなります。
出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Pengeluaran Untuk Konsumsi Penduduk Indonesia 2018
「インドネシア人の消費と支出 2018」 より弊社作成(閲覧日:2020年2月17日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/06/28/5353a318520b45aa07520076/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia–september-2018.html
“その他”の項目には、野菜(7.12%)、卵と牛乳(5.78%)、果物(5.12%)、油とココナッツ(2.43%)、スパイス(1.93%)、豆類(2.03%)などが含まれます。
インドネシア人一人当たりの食費の内訳としては、外食を含む“加工調理済み食品及び飲料”が最も多いことがわかります。
割合としては食費全体の30%前後となり、特に都市部では約40%近くが”加工調理済み食品及び飲料”が占めていることが分かります。
インドネシア人は外食志向で、貧困層から富裕層まで外食が一般的な文化として根付いています。
そのため、“加工調理済み食品及び飲料”が食費の中で一番割合が多い傾向となっているのです。
インドネシアの外食文化やファストフード事情については、過去に公開したこちらのコラムをご参照ください。
また、インドネシアではタバコも食費として集計されます。
インドネシアでは特に成人男性の喫煙率が約8割近くと非常に高いのが現状ですが、都市部では食費に占めるタバコの割合が“加工調理済み食品及び飲料”に次ぎ多く、穀物類よりも割合が多いのも特徴的と言えるでしょう。
いかがでしょうか?
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