【コラム】インドネシアの水産業と水産物市場の動向と概要
インドネシアは、1万を超える島々により構成され、その全領域の70%は海水面であることからわかる通り、典型的な海洋国家です。
海洋資源を利用する諸産業の関係者にとってインドネシアは注目に値する国家であり、水産業に関して言えば、インドネシアは世界のトップ5に入る国に成長してきました。
現在の市場動向
インドネシア経済の中で、漁業セクターは雇用創出及び外貨獲得の観点から非常に重要な役割を果たしています。
水産物の輸出先上位5か国には日本も含まれていますが、日本への輸出額は、2019年に1億4,382万米ドル(全輸出の11.59%)に達しています。
インドネシアからの主要輸出水産物には様々な種類のものが含まれます。マグロ、サバ、カツオ、各種エビ、タコ等です。
インドネシアのマグロの漁獲量は世界のトップレベルにありますが、2017年にインドネシア政府が地域漁業管理機関(Regional Fisheries Management Organization)に提出した報告書によると、同年のインドネシアにおけるマグロ漁獲量は、646,000トンです。
ただし、この漁獲量はその前年に比較して減少しております。
同報告書では、インドネシアは全世界のマグロ漁獲量の16%を占めていると述べられています。
2020年4月、インドネシアの海洋漁業省は、インドネシアの水産物輸出において傑出しているのはエビ類であり、輸出額として4億6,624万米ドルに達していることをプレスリリースしました。
エビに続くのはマグロ・カツオ類であり、輸出額は1億7,663万米ドル、ナマズ・タコ類が1億3,194万米ドル、カニ類が1億532万米ドル、海藻類が5,375万米ドルとなっています。となっています。
出典:海洋漁業省
2020年前半の海産物輸出額が24億米ドルに達し、前年同期比6.9%の増加を記録した、と海洋漁業省が発表したことを受けて、新型コロナウィルス感染症の拡大状況下にはあるものの、インドネシアの漁業セクターは一種の楽観的空気に包まれました。
インドネシア中央統計局(BPS)の統計データによりますと、水産物の輸出額は2020年3月に4億2,771万米ドルを記録し、前月比6.34%の増加、前年同月比で3.92%の増加となりました。(下図参照)
出典 : インドネシア中央統計局 (Infographic made by Seafood-tip)
インドネシアからの水産物輸出額の増加は、少なくとも2020年前半に関しては、世界最大の水産物輸出大国の中国からの輸出が新型コロナウィルス感染症拡大の影響により制限されたことに起因しています。
従って、中国からの輸出が制限されている期間中はインドネシアからの輸出増加は、エビ類、マグロ・カツオ類の最大の市場である米国及びヨーロッパに差し向けられたものでした。
ビジネスチャンスはどこに?
パンデミック状況下においてほぼすべての経済活動が停滞する中で、食品加工業界は、この間水産物関連製品の生産を増加させてきました。
インドネシアにおいては、過去数年間にわたり水産物消費の増加傾向を示しています。
インドネシア海洋漁業省は、2019年の水産物の個人消費が年間一人当たり55.95㎏に達したと公表した際、2020年は年間一人当たり56.39㎏に、2024年には62.5㎏へと増加させることを目指すと述べています。
また、養殖される水産物の種類や盛んな地域も多様化しています。
種類としては、淡水魚、エビ以外の魚類、及びエビ類などです。
盛んな地域は、アチェ、ベンクール、北スマトラ、南スマトラ、ランプン、リアウ諸島、バンカ・ブリトゥン諸島、中部ジャワ、東ジャワ、西ジャワ、バリ、西ヌサトゥンガラ、南スラウェシ、西スラウェシ、中部スラウェシ、カリマンタンからマルクです。
最も消費されている魚類は?
インドネシア情報通信省が行った調査によりますと、インドネシアで人気の高い魚類は、マグロ・カツオ類、サバ、アンチョビ、ティラピア、ブダイ、サバヒー、メアジ、ナマズ等となっています。
魚類の消費を増やそうとする努力の中で、2004年以降海洋漁業省は、インドネシア全土を巻き込んだ「魚を食べよう」プログラムにおいて、キャンペーン活動、テレビでの宣伝、魚料理コンテスト等種々の活動を展開してきました。
増加傾向にある水産物の国内消費、パンデミック状況にも関わらず増加する輸出等、インドネシアの水産業には大きなビジネスチャンスが潜んでいると考えられます。
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参考
The Ministry of Marine Affairs and Fisheries (KKP). 2020. 2020, KKP TARGETKAN KONSUMSI IKAN 56,39 KG . Jakarta: KKP.
– Informatics, Ministry of Communication and. n.d. Konsumsi Ikan (Jenis Ikan Paling Banyak Dikonsumsi). Jakarta.
– KKP. 2020. Pandemi Covid-19, Estimasi Panen Perikanan Budidaya Capai 450 Ribu Ton Sepanjang
April Hingga Juni 2020 . Jakarta: KKP.
– KKP. 2020. TRIWULAN I 2020, NILAI EKSPOR PERIKANAN CAPAI USD1,24 MILIAR . Jakarta: KKP.
– Tip, Seafood. 2020. Members’ Trade Data Analysis: Indonesia Q1 2020 Summary.
https://seafood-tip.com/members-trade-data-analysis-indonesia-q1-2020-summary/
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