【コラム】インドネシアにおけるコロナ下での雇用状況と収入の変化
世界中で感染拡大が続く新型コロナウイルスですが、インドネシアでも感染拡大が続き、6月17日時点で感染者合計40,000人を超えました。
首都ジャカルタ州を始め様々なエリアで導入された「大規模な社会的規制(PSBB)」により、飲食店の屋内飲食の禁止や営業時間の短縮、商業施設などは営業休止、公共交通機関の運行制限などの措置が取られ、経済や雇用面でも打撃を受けています。
増える失業者と収入の減少
インドネシア中央統計庁(BPS)の調査結果によると、新型コロナウイルス感染拡大下におけるインドネシアの人々の就労状況は以下の通りです。
出典:インドネシア統計庁(BPS)、「新型コロナウイルスの影響に関する社会統計調査結果2020」より弊社作成(閲覧日:2020年6月18日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/06/01/669cb2e8646787e52dd171c4/hasil-survei-sosial-demografi-dampak-covid-19-2020.html
回答者の2.52%が新型コロナウイルス感染拡大の影響で失業しており、18.34%が失業してはいないものの一時的な自宅待機を行っている状況です。
失業率を男女別でみると、男性の失業率が3.18%、女性の失業率が1.87%となっています。
インドネシアでは新型コロナウイルス感染拡大により、現在300万人以上が失業したと報じられており、自宅待機も合わせるとその数は600万人以上にものぼると言われています。
最終学歴別に現在の勤務状況を見ると、以下のような結果となります。
出典:インドネシア統計庁(BPS)、「新型コロナウイルスの影響に関する社会統計調査結果2020」より弊社作成(閲覧日:2020年6月18日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/06/01/669cb2e8646787e52dd171c4/hasil-survei-sosial-demografi-dampak-covid-19-2020.html
学歴が高くなるほど在宅勤務の割合が多く、最終学歴が低くなるにつれて在宅勤務ができない職業についている割合が多い、もしくは通常通り出社の割合が多い結果となっています。
また、4割以上の回答者がコロナ下で収入が減少したと回答しました。
出典:インドネシア統計庁(BPS)、「新型コロナウイルスの影響に関する社会統計調査結果2020」より弊社作成(閲覧日:2020年6月18日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/06/01/669cb2e8646787e52dd171c4/hasil-survei-sosial-demografi-dampak-covid-19-2020.html
インドネシアでは新型コロナウイルス感染拡大によって廃業、倒産となった企業もありますが、従業員を一部のみ解雇して人員調整したり、従業員のシフトを調整して給与を削減ことによって生産コストを効率化してコロナ下での経営を続けている企業も少なくありません。
これにより、インドネシアの人々は収入が減少しています。
自宅待機をしていると回答した人の60.74%は収入が減少したと回答し、一方通常通り勤務を続いていると回答した人は35.78%がコロナの影響で収入が減少したと回答しました。
コロナ下で収入が減少したと回答した人を平均月収別でみると以下のような結果となります。
平均月収 | 1,800,000 ルピア以下 |
1,800,000 ~3,000,000 ルピア |
3,000,000 ~4,800,000 ルピア |
4,800.000 ~7,200,000 ルピア |
7,200,000 ルピア以上 |
コロナ下において収入が減少したと 回答した人の割合 |
70.53% | 46.77% | 37.19% | 31.67% | 30.34% |
月収が低くなるにつれ、コロナ下で収入が減少したと回答した人が多くなっていることが分かります。
コロナの打撃を受けた業界
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、様々な業界が打撃を受けました。
バリ島は世界中から多くの人々が集まる世界有数の観光地で、観光業で経済が成り立っているため、新型コロナウイルス感染者確認後は外国人の入国禁止措置などにより観光客が激減し、多くの人が職を失いました。
バリ島では現在、職を失った若者が農業を始めるなど、農業に注目が集まっています。
参考コラム:
インドネシア中央統計局(BPS)の調査によると、観光業の他、小売業・自動車製造業、交通・物流業、飲食・宿泊業なども新型コロナウイルス感染拡大によって大きな影響を受けています。
出典:インドネシア統計庁(BPS)、「新型コロナウイルスの影響に関する社会統計調査結果2020」より弊社作成(閲覧日:2020年6月18日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/06/01/669cb2e8646787e52dd171c4/hasil-survei-sosial-demografi-dampak-covid-19-2020.html
いずれの業界も、過半数が新型コロナウイルス感染拡大によって“収入が減少した”と回答しています。
インドネシアでは6月17日時点で新型コロナウイルス感染者数は減少の兆しが全く見られず、ジャカルタなどで導入された「大規模な社会的規制(PSBB)」の再導入が懸念されています。
現時点では約300万人が職がない状態であるが、インドネシア経済担当調整省の見解では、今後感染拡大が収束せず外出自粛要請が続く場合などは、失業者数は500万人を超える可能性があるとしており、感染者拡大を抑えながら経済活動と両立させることがインドネシアの喫緊の課題とされています。
弊社は、インドネシアの最新状況に関するセミナーの実施や、オンラインでの調査代行なども承っております。ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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