【コラム】インドネシアにおける教育システム

明けましておめでとうございます。
2022年も従前と変わらず多くの企業様のお力になれますよう邁進して参ります。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

日本では間もなく冬休みが明け、小中高校新学期スタートの時期になって参りました。インドネシアでは学校教育制度はどの様になっているのでしょうか?

今回はインドネシアの教育制度について詳しく紹介いたします。

インドネシアの小中高生の総学生数は世界第4位で、世界の全体の3.9%を占めています。

また教育段階は幼児教育・基礎教育・中等教育・高等教育の4つの段階に分けられ、全て教育文化省(MoEC)と宗教省(MoRA)の2つの省のもとに集約・管理されています。

基礎教育から中等教育まで、即ち小中高校では1年生から12年生の5,310万人の生徒に対し、合わせて330万人の教師が教鞭をとっています。

教育文化省(MoEC)と宗教省(MoRA)それぞれを比較すると、学校数・生徒数ともに、教育文化省(MoEC)管轄のものが多くを占めていることが分かります。

ノンフォーマル教育()については上記2つの省に加え、内務省(MoHA)、官吏・官僚制改革省(KemenPANRB)、Kemendesa(村落・途上地域開発・移民省)、人間・文化開発調整省(Kemenko PMK)、国家開発計画省(BAPPENAS)とも連携が行われています。

※ノンフォーマル教育(Nonformal learning, NFE)
フォーマル教育(Formal learning, 学校教育)と異なり、固定されたカリキュラム、シラバス、教育機関認証、卒業認定などが存在しない等様々な学習状況についてのゆるい定義のこと。公民館や教育委員会等が主催する学級・講座、地域スポーツクラブ、ボーイスカウトやガールスカウト運動などが挙げられる。

(図:MoEC DAPODIK 2019; BPS, 2020; World Bank, 2020を基にインドネシア総合研究所作成)
https://documents1.worldbank.org/curated/en/968281574095251918/pdf/Overview.pdf

 

近代のインドネシア教育界の変遷と国家教育政策

独立後、1945年以降のスカルノ政権下では、国の防衛に重点を置いた国家体制の時代でした。更には1969年からのスハルト政権下では、共産主義が禁止されており、当期間は生徒よりも教師を主体とする教育体制が敷かれました。

しかし、1984年以降、政治・経済・社会の均衡の取れた安定を目指す理念の下、生徒主体の現在まで続く教育方針に舵が切られ、「教師はあくまでもそのサポート役・ファシリテーターであるべき」といった認識の変化が起こりました。

その後2013年以降、認知能力・人格・社会スキルのバランスの取れた教育を目指す方針に基づき、現在に至るまで教育文化省(MoEC)と宗教省(MoRA)の管轄のもと、カリキュラムが作成されています。

インドネシア政府は2000年代半ばから、教育改善のための大規模な政策改革として、教育予算を拡大し、群島全体への教育システムの普及に取り組み始めました。

2002年に改正されたインドネシア憲法では、国家予算の20%を教育分野に割り当てることを最低基準として、国家財政資金を以て教育分野の充実化を図りました。地方政府についても同様に教育予算の殆どが、インドネシア全土の州および県に割り当てられています。州・県政府は、これら予算を優先順位に基づいて教育分野への配分割合を決定しています。

2020年予算では、教育文化省は幼児教育から高等教育までの一般教育を対前年比増額し、75.7兆ルピア(教育予算全体の14%)を割り当てることが決定しました。

(図:大統領令第72/2020号「2020年国家予算改訂版」を基にインドネシア総合研究所作成)

一方で、政策による予算拡大で教育が広く普及し、学生数も増加した半面、実際の教育水準は依然として目標値を下回っているのが現状です。この状況を打開するために、教師の質の向上、学校運営・管理水準の向上、政府各部門の垣根を超えた連携の強化が課題となっています。

このインドネシアの多くの生徒達の教育水準向上に繋がるサービス提供には根強い需要が期待できます。

そして日本を含めた海外のノウハウやアイディアを持った企業にもインドネシネシアの小中高校生向けの教育関連サービス提供は高い魅力のあるビジネスであるといえるでしょう。

 

インドネシア総合研究所は皆さまのインドネシア進出やインドネシアビジネスをサポート致します。

インドネシアにおける教育ビジネスの他、各種ビジネスへの投資・参入にご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
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