【コラム】インドネシアにおけるコロナ禍でのECのトレンドと緊急PPKMの影響

インドネシアでは近年ECの増加が利用しつつありますが、昨年の新型コロナウイルス感染拡大によって更にインドネシアの人々の生活にEC利用が浸透するようになりました。

Hootsuiteが発行したレポートDigital2021によると、インドネシアのインターネットユーザーの87.1%が、2020年の間に様々な製品を購入しています。

以下は、ECの利用に関連する16歳から64歳のインドネシアの人々の行動です。

出典:Hoosuit, DIGITAL 2021 : INDONESIAより弊社作成(閲覧日:2021年7月30日)
https://datareportal.com/reports/digital-2021-indonesia

 

インドネシアにおいて最もECサイトを利用する年齢層としては、45-54歳の層が多くなっています。

出典:Hoosuit, DIGITAL 2021 : INDONESIAより弊社作成(閲覧日:2021年7月30日)
https://datareportal.com/reports/digital-2021-indonesia

 

また、Hoosuiteのレポートによると、インドネシアにおいてコロナ禍でオンラインで最も購入された製品カテゴリーは、食品、美容グッズ、パーソナルケア、ファッション、電子機器、家具、ビデオゲーム、おもちゃなどです。

インドネシア銀行によると、2021年3月の電子マネー取引額は21.4兆ルピアで、前年同月比で42.6%増加しています。

また、2021年3月の取引件数は前年同月比より42.47%増加し、5億5360万件となりました。

これらのトランザクションには、電気代や水道代などの支払い、クレジットカード決済、ビデオストリーミングサービスの契約、交通手段の手配など、様々なサービスが含まれますが、インドネシア銀行はインドネシア国内のトランザクションは現在も継続して増加していると述べています。

更に、今年6月のレバラン以降、インドネシア国内におけるコロナ感染者が急増したことによる小規模行動制限(PPKM )の規制強化(PPKM Darurat:緊急PPKM)によって、再度オンラインショッピングやデリバリーフードの需要が高まっています。

 

関連コラム:

 

ECサイトのShopBackは、今年5月のインドネシアにおける平均的なトランザクションと比較した場合、PPKM再強化後最初の週(2021年7月5日~11日)のShopBack加盟店のトランザクションは特に増加したと発表しています。

カテゴリー別でみると、健康カテゴリーのトランザクションは3倍程度、生活必需品や電子機器及びエンターテイメント関係のカテゴリーは全て2倍程度増加しています。

以下、各カテゴリーのトランザクションの変動についての概要です。

 

健康カテゴリー

緊急PPKM適用の2週間程前から、インドネシアでは医療検査機器や医療補助器具のオンライン購入が増加し始めており、緊急PPKM実施期間中に増加のピークとなりました。

インドネシアにおける酸素濃度計の購入は以前の350倍にまで増加しています。

緊急PPKMの1週間前には、手指消毒剤の購入は通常の13倍、はちみつは10倍、ハーブは5倍にトランザクションが増加しました。

また、免疫を高めるためのサプリメントのトランザクションは14倍、ユーカリ油は7倍、ビタミンCは54倍に増加しています。

ShopBackによると、新型コロナウイルスのパンデミック初期にあたる2020年4月頃には、このカテゴリーではハーブ関連製品のみが3倍増加しています。

この健康カテゴリーを見ると、健康を維持するための国民の意識、危機感が高まっていることが分かります。

新型コロナウイルスに感染しないよう免疫力を高めるための製品のみでなく、体調が悪化した際に対応ができるよう医療補助機器も需要が伸びています。

 

家庭用生活必需品

生活必需品カテゴリーは、緊急PPKMの2週間前にトランザクションが増加し、緊急PPKM期間中にトランザクションがピークで以前の2倍となりました。

また、ShopBackは、緊急PPKMの3週間前から、eコマースの公式食料品店からのトランザクションが4倍に増加したことを記録したことも発表しています。

増加している製品の種類は、毎日消費される製品、ウイルスの拡散を防ぐための衛生および衛星製品、ベビー用品の3つに分けられ、緊急PPKM期間の2週間前から、バスソープ、ベビー用おむつ、牛乳、野菜・果物、住居用洗剤のトランザクションが伸び始め、PPKMのピーク時には手指消毒剤と米が最も多く取引されました。

電化製品

緊急PPKMの導入により、在宅勤務要請、外出自粛要請が強化されたため、人々は自宅でより快適に過ごすための製品を求めるようになりました。

緊急PPKM導入の3週間前、空気清浄機のトランザクションが増加し始め、緊急PPKM期間中には最大8倍トランザクションが増加しました。

その他、スタンドミキサーは198倍、炊飯器は62倍、アイロンは55倍のトランザクション増加となりました。

それ以外の家庭用電化製品も急速に取引が増加しています。

更にDIYツールなどもトランザクションが3倍増加しています。

ShopBackはまた、緊急PPKM導入の2週間前にエンターテイメント関係、家庭用品、生活用品の製品のトランザクションが増加し、ピーク時にはこれらの購入が2倍に増加したことを指摘しています。

緊急PPKM導入の1週間前、他の電子製品のトランザクションは2倍に増加し、スマートデバイスは29倍に増加しました。携帯電話やタブレットの購入も1.4倍に増加しています。

これは、インドネシアでは新学期が7月から始まることも関連していると考えられます。

ShopBackは、デジタル製品が1.26倍に増加し、インターネットの必要性が非常に高まっていることを指摘しています。

また、自宅で過ごす時間が増えたことからインドネシアの人々の読書に対する消費者の関心も高まったと述べました。

緊急PPKM実施期間中に文学及び小説の購入が19倍にも増加しています。

2020年4月時点では、ゲーム製品が通常比の5倍の売上増を記録しましたが、今回の緊急PPKM実施期間中にはゲーム関連製品のトランザクションの増加は見られていません。

インドネシアでは、家庭内で快適な雰囲気を作りたいという消費者の欲求が高まっており、ShopBackは更に今後もこのような製品の取引は増加すると予測しています。

また、今回コロナ禍で多くの人がECを利用し、生活に浸透したことで、アフターコロナも継続してインドネシアの多くの人がECを利用すると考えられます。

参考WEBサイト:
https://money.kompas.com/read/2021/06/24/111700226/tren-belanja-online-selama-pandemi-barang-apa-yang-banyak-dibeli-masyarakat-https://pressrelease.kontan.co.id/release/dampak-ppkm-darurat-juli-2021-pada-belanja-online-produk-apa-saja-yang-laris-manis?page=all
https://katadata.co.id/desysetyowati/digital/610128e6b4b19/daftar-produk-yang-laris-saat-ppkm-penjualan-oximeter-naik-34900

 

弊社では様々な分野でインドネシア進出のサポートや、調査などを行なっております。
セミナーの開催や講師派遣なども行っておりますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。

関連コラム:

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次