【コラム】インドネシアにおける犯罪情勢について

現在新型コロナウイルス感染拡大の影響で渡航が制限されていますが、平時はビジネス関係でジャカルタを訪問される日系企業の方の中には、インドネシアの治安について気にされる方も多くいらっしゃいます。

犯罪情勢は国の治安にも影響を及ぼしますが、現在インドネシアにおける犯罪情勢はどのようになっているのでしょうか。

今回のコラムでは、インドネシアにおける犯罪情勢についてご紹介していきます。

 

インドネシアにおける犯罪情勢について

犯罪情勢を測る指標として、総犯罪発生件数・犯罪率・犯罪間隔時間の3つの指標が挙げられます。

この3つの指標からインドネシアにおける犯罪情勢を見ていきます。

インドネシアにおける総犯罪発生件数

下図は2017年から2019年においてのインドネシアの総犯罪発生件数です。

出典:Statistik Kriminal 2020 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月21日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/17/0f2dfc46761281f68f11afb1/statistik-kriminal-2020.html

 

インドネシアにおける総犯罪発生件数は2017年から2019年にかけて減少傾向にあります。

また、日本における2019年の総犯罪発生件数(検挙数)は約29万件となっており、2019年におけるインドネシアの総犯罪発生件数は日本と比較しても少ないことが分かります。

参考:http://www.kensatsu.go.jp/hanzai_gaiyou/keihou.htm

インドネシアにおける犯罪率

犯罪率とは、10万人あたりの犯罪発生件数のことを言います。下図は2017年〜2019年においてのインドネシアの犯罪率です。

出典:Statistik Kriminal 2020 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月21日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/17/0f2dfc46761281f68f11afb1/statistik-kriminal-2020.html

 

インドネシアにおける犯罪率について、犯罪件数に比例し2017年から2019年にかけて減少傾向であることが分かります。

犯罪間隔頻度

犯罪間隔頻度とは、どのくらいの間隔で犯罪が起きているか表す指標です。

犯罪間隔頻度についても2017年から2019年にかけて減少傾向にあることが下表から分かります。

インドネシアにおける犯罪間隔頻度

犯罪頻度
2017年 1分33秒に1件
2018年 1分47秒に1件
2019年 1分57秒に1件

出典:Statistik Kriminal 2020 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月21日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/17/0f2dfc46761281f68f11afb1/statistik-kriminal-2020.html

 

インドネシアにおける2017年〜2019年総犯罪件数、犯罪率、犯罪頻度の減少から、インドネシアにおける犯罪情勢は良い傾向にあることが分かります。

 

インドネシアにおける地域別総犯罪件数

インドネシアにおいて、地域別の総犯罪件数は下図の通りです。

出典:Statistik Kriminal 2020 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月21日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/17/0f2dfc46761281f68f11afb1/statistik-kriminal-2020.html

 

1番多いのは、ジャカルタで次いで北スマトラ、東ジャワとなっています。

犯罪件数が多い地域は、メダン(北スマトラ)、スラバヤ(東ジャワ)と主要都市がある地域に集中していることが分かります。

また、皆様が訪問される機会が多いジャカルタで起きる犯罪のうち、最も発生件数が多いのは盗難で、バイクの盗難も多く見られます。

参考: https://tirto.id/jakarta-kota-dengan-9-kasus-pencurian-setiap-hari-dko5

インドネシアで多い犯罪の種類

出典:Statistik Kriminal 2020 2019より弊社作成(閲覧日:2021年6月21日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/17/0f2dfc46761281f68f11afb1/statistik-kriminal-2020.html

 

2018年にインドネシアで発生した犯罪の数で、一番多い犯罪は45.01%の割合を占める盗難になります。

2番目に多いのは15.3%の割合で賭博、次に薬物乱用、詐欺、暴行と続きます。

また、2011年から2018年にかけて盗難、賭博、薬物濫用、詐欺、暴行の割合は増加傾向にあることが分かっています。

 

新型コロナウイルスの影響で急増する犯罪率

インドネシアではコロナ禍で犯罪率が約11.8%増加したことが明らかになっています。

犯罪率が増加した原因としては、新型コロナウイルスにより人々の日々の活動範囲が制限されて日常の欲求が満たされなくなったことや、会社解雇となり生活に苦しくなった人が増えたこと挙げられます。

また、具体的に強盗、横領、自転車の盗難、麻薬所持、賭博の5つの犯罪が増加していることがインドネシア国家警察により明らかにされています。

参考:https://www.jpnn.com/news/data-mabes-polri-5-jenis-kejahatan-melonjak?page=2
参考:https://uai.ac.id/pakar-hukum-penyebab-kejahatan-meningkat-akibat-banyaknya-phk-di-tengah-pandemi-covid-19/

 

インドネシアにおいて、2019年までは犯罪情勢は落ち着いてきていたものの、新型コロナウイルスの影響により犯罪情勢に変化があることが分かりました。

インドネシア政府は、新型コロナウイルスの影響で所得が減った貧困層に対する食糧・日用品給付など行っていますが、犯罪率を減らしインドネシアにおける治安を守るためにも今後更なる対策が必要だと考えられます。

その他、外務省海外安全ホームページでは、各国の渡航注意レベルが更新されており、インドネシアは基本的には「レベル1 十分注意」に分類されますが、時々各地でデモや暴動、テロなどが起こると該当地域で「レベル2 不要不急の渡航注意」となることがありますので注意が必要です。

渡航の際には事前に確認しておくとよいでしょう。

外務省海外安全ホームページ:
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_002.html#ad-image-0

 

弊社では様々な分野でインドネシア進出のサポートや、調査などを行なっております。

インドネシアの現地情報をお知りになりたい方のためのセミナー開催や講師派遣なども行っておりますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
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