【コラム】インドネシアにおける新型コロナウイルスの感染対策や水際対策について

これまでもインドネシアにおける新型コロナウイルスについてのコラムはいくつかご紹介してきましたが、今回はインドネシアにおける新型ウイルスの感染対策と水際対策を中心にご紹介します。

 

インドネシアにおける新型コロナウイルス感染状況の推移

インドネシアにおける2021年3月〜8月の、新型コロナウイルス陽性者数の推移は下図の通りです。

出典:Data books Tren Kasus Positif Covid-19 Bulanan di を基に弊社作成(閲覧日:2021年9月18日)Indonesia
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2021/09/03/kasus-positif-covid-19-bulanan-ri-turun-45-pada-agustus-2021

インドネシアにおける新型コロナウイルス陽性者数は、3月〜5月は横ばい傾向にありましたが、7月になると一気に拡大し、7月の陽性者は120万人に及びました。

8月には陽性者数は7月と比較し減少しましたが、死亡者数に関しては7月が35,394人だったのに対し、8月のそれは37,330人と増加していることが分かっています。

 

また、インドネシアはASEAN諸国の中で最も多く、新型コロナウイルス感染による死亡者数を記録し更にその勢いは拡大の一途を辿っていると言えます。

今回のコラムは未だ厳しい状況が続いているインドネシアの新型コロナウイルス感染拡大の収束に向けた感染対策に焦点をあてました。

参考WEBサイト:https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2021/09/03/kasus-positif-covid-19-bulanan-ri-turun-45-pada-agustus-2021

 

インドネシアにおける新型コロナウイルス感染対策

インドネシア保健省は、新型コロナウイルスの感染予防対策として以下のガイドラインを公式で発表しています。

(1) 健康的な生活習慣、衛生の維持
(2) マスクの着用(二重マスクを推奨)
(3) ソーシャルディスタンスを保つ
(4) 医療施設の増設
(5) 新型コロナウイルスについて適切な情報を得る
(6) 症状が出たら医師に相談する
(7) 州を跨ぐ移動を避ける
(8) 海外旅行希望者には警戒を求める

インドネシアの感染予防のガイドラインについては、日本と同じような感染対策が多くみられることが分かります。

また、インドネシアの人口の約9割を占めるイスラム教において、宗教上アルコールの接種が禁止されているため、一般的に手指の消毒に使用されているアルコール消毒も利用していませんでした。

しかし、災害管理センターの会長により飲料として使用しない緊急時の消毒用のアルコールについては、ハラル(許されているもの)であると位置づけられ、感染対策として使用するように呼びかけられています。

 

また、インドネシアにおける感染対策として、感染者が多いジャワ州とバリ州において9月13日まで活動制限が行われていました。

活動制限の内容については、以下の通りです。

・飲食店における飲食時間の制限(60分間)同屋外スペースでも従業員、来店客に接触確認アプリ(pedulilindungi)によるスクリーニング実施

・ジャカルタ首都特別州、西ジャワ州バンドン市、東ジャワ州スラバヤ市を対象としている飲食店では60分の飲食時間制限に加え店内飲食の収容率を50%以内に制限

・一部観光施設の試験的使用許可にあたり同従業員や観光客に接触確認アプリ(pedulilindungi)によるスクリーニングと、保健省が定める健康プロトコル順守を要件とする。

飲食店における制限は、日本と同様にインドネシアでも行われており、また接触確認アプリを活用することで徐々に観光施設の利用も再開されています。

参考WEBサイト:https://www.sehatq.com/artikel/5-cara-mencegah-penyebaran-virus-korona-yang-disarankan-kemenkes-ri
https://www.cnnindonesia.com/nasional/20200310170601-20-482190/muhammadiyah-tak-masalah-alkohol-jadi-antiseptik-cegah-corona
https://www.id.emb-japan.go.jp/oshirase21_174.html

 

インドネシアにおける新型コロナウイルスに感染した場合の流れと病床使用率

インドネシアにおいて、感染を疑う症状が出ている場合や新型コロナウイルスに感染した場合、以下のような流れとなります。

<感染を疑う症状または濃厚接触者となった場合>

医療機関に電話で相談

医療機関の指示に従い必要であれば、PCR検査を実施

PCR検査で陽性の場合は自主隔離
濃厚接触者は、陰性の場合でも陽性者と接触した日から14日間は自主隔離が必要

<陽性となった場合>

症状に応じて自宅、ホテル、病院にて療養又は治療を行う

発症から10日間経過後、症状がなくなって3日間経過後に日常の生活に戻ることが可能
日本と同じようにまずは直接病院へ行くのではなく、少しでも接触の機会を減らすため医療機関へ電話で問い合わせるよう呼びかけられています。

また、保健所のホームページに新型コロナウイルスのホットラインの電話番号が記載され、そこからも新型コロナウイルスについての相談を行うことが可能です。

インドネシアにおける病床使用率は2021年6月始めに90%に達していましたが、8月になると35%にまで減少しました。

しかし、地域別にみるとバリ州(74%)、中部スラウェシ州(63%)、アチェ州(62%)など病床使用率が60%を超えている地域もあります。

インドネシア全体でみると病床使用率は減少していますが、新型コロナウイルスの感染者数は依然として多いため、インドネシアの保健大臣は感染対策の強化を国民に呼びかけています。

参考WEBサイト:https://smartcity.jakarta.go.id/blog/758/covid-19-varian-delta-dan-hal-hal-yang-harus-kamu-perhatikan
https://nasional.kontan.co.id/news/update-bor-rumah-sakit-corona-indonesia-sabtu-218-turun-jadi-35-secara-nasional?page=1

 

インドネシアにおける水際対策

現在、インドネシアへ入国できるのは、滞在許可(ITAS)、定住許可(ITAP)を持っている人のみとなり、それ以外の人は原則入国できません。

また、新規査証の発給も一時停止されており、観光目的での査証発行は行われていない状況です。

入国の際、一部の例外を除き外国人はワクチン接種が2回完了したことを示す証明書の提示が義務付けられています。

また、インドネシア入国後空港にてPCR検査を行い、陰性の場合は政府指定隔離ホテルでの8日間の隔離が行われます。そして隔離7日目にPCR検査を再度行い、陰性の場合は隔離終了となります。

参考WEBサイト:https://www.id.emb-japan.go.jp/info20_20j_nyukokuFAQ.html
https://www.id.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

 

一時は新型コロナウイルスの感染爆発が起きていたインドネシアですが、感染対策の効果によるものか、現在は徐々に感染者が減ってきています。

しかし、日本と比較すると衛生環境が整っていない場所が多いインドネシアにおいて今後の新型コロナウイルスの動向については不安が残ります。

日本においてもインドネシアにおいても、新型コロナウイルス感染拡大が一刻も早く収束し、国内でも、他国との間でも制限なくビジネスができる日々が早く来ることを祈るばかりです。

 

弊社では様々な分野でインドネシア進出のサポートや、調査などを行なっております。

セミナーの開催や講師派遣なども行っておりますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。

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