【コラム】インドネシアにおけるクラウドキッチンビジネスの展開と商圏の把握について
インドネシアでは、現在飲食スペースを構えずにデリバリーサービスのみで飲食ビジネスを展開する【クラウドキッチン】という形態が非常に注目を集めています。
慢性的な渋滞が続くジャカルタなどの都市部を中心に、GoFoodやGrabFoodといったフードデリバリーサービスはインドネシアの人々の間で重宝されており、また、出店者側も飲食スペースを持たないため、初期投資が抑えられるなどのメリットがあることから注目を集めています。
参考コラム:
クラウドキッチンを運営する際に重要となるポイントのひとつに「商圏」の把握があります。
商圏とは、対象顧客が店舗からどれほどの範囲まで存在するかを地図上で示したもので、飲食事業やショッピングモールの立地調査などで頻繁に利用します。
例えば、ショッピングモールの場合は、建設予定地から車や徒歩で各方角に向かって30分~1時間ほど移動した際に到達できる範囲を調査し、渋滞の影響なども考慮して商圏を把握します。
クラウドキッチンにおいても商圏を把握することで次の店舗候補地の判別や既存事業の拡張などに有効活用することができます。
▲商圏調査のサンプル画像(弊社作成)
※上の図はあくまでサンプルであり、実際の情報を地図にしたものではありません
弊社がインドネシアで運営するクラウドキッチンでは来店した配達バイクドライバーに対して住所を特定しない形での聞き取り調査を実施し、その調査結果をもとに商圏の分析を行っています。
上図は弊社のクラウドキッチンのある店舗での商圏のサンプルで、この場合は最大でも半径9.3kmの範囲内の顧客が販売対象であることがわかります。
▲商圏調査のサンプル画像(弊社作成)
※上の図はあくまでサンプルであり、実際の情報を地図にしたものではありません
また、さらに詳細な調査を行うとユーザーの約86%が半径3.7km以内の範囲から注文しているという結果が出ました。
この結果からジャカルタ市内で商圏が重複しないように類似ブランドを展開する場合、理論上は300店舗もの展開が可能と考えられます。
また、GoFoodやGrabFoodが実施したユーザー調査では1-2km程度が最適な商圏と見積もられていますが、実際は欲しい商品を購入するために3kmまでは手を伸ばすことがあるといった分析を行うことも可能です。
▲聞き取り調査の様子 (弊社撮影)
このようにクラウドキッチンの適切な商圏を把握することにより、住宅街や大きな駅など商圏内の特徴的な要素を抽出し、次の店舗候補地の選定に役立てることができます。
また、注文履歴など、ユーザーの趣向に関する情報を管理することでクロスマーケティングと呼ばれる手法を行うことができます。この手法では、同じ商圏で次に販売するべきブランドを決定することも可能です。
さらに、長期的には、把握した商圏にて直接営業を行うことで、GrabFoodやGoFoodなどのプラットフォームを用いないケータリングビジネスへの展開なども見込めると弊社では考えております。
弊社はクラウドキッチンの事業企画・運営だけでなく、各種業種の市場調査や、飲食事業の運営の実績があり、クラウドキッチンの商圏把握はこれらの経験を活用した独自の手法となっております。
クラウドキッチン事業にご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
また、インドネシアにおけるクラウドキッチンビジネスについては、以下のコラムも併せてご覧ください。
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