【コラム】弊社のクラウドキッチンの現状とその展望〜後編(展望)

前回のコラムでは弊社の運営しているクラウドキッチン「総研キッチン」の概要や、現状どういった進捗があり、どのような問題点が生じているのかについて説明させていただきました。今回のコラムでは、そこから一歩踏み込み、具体的にどのような発展を今後していくのかについてご説明させていただきます。

前編はこちらよりご覧ください。

 

クラウドキッチン事業はインドネシアにおける食の流通や消費行動に関する市場調査の結果をもとに設立された事業でしたが、今後は事業の拡大と自立に向けて分社化を進めていこうという動きが起きています。

具体的には、現在3つほど実施していこう(既に実施途中のものもあり)と模索しております。

 

販売商品の拡大

1つ目は販売商品の拡大です。

現在、総研キッチンでは調理済みプロダクトを販売しており、そのメインには唐揚げやアヤムゲプレックといった鶏肉料理が販売されています。「加工済み鶏肉」の販売が弊社のクラウドキッチンにおける大きな特徴となっています。

弊社が実施した「鶏の需要に関する市場調査(324名)」によると、回答者の43%の所得は500万インドネシアルピア/月未満であり、1家庭における世帯人数は4名が平均となっていました。

弊社のクラウドキッチンビジネスは、BOP層に向けたサービス提供を行う必要があると考えていますが、それだけでなく現在弊社の扱っているプロダクトの品質を鑑みると、中間層〜富裕層に向けてもサービス提供を行うことが可能であると考えられます。

弊社が他社と共同で行っている鶏肉品質維持システムにより、他の低価格のハイエンドスーパーマーケットと比較してより良い品質のものを提供しているこのアプローチを行うことができます。

ただ、そのためにはインドネシアの中間層〜富裕層についての詳細を知る必要があると考えています。

総研キッチンが「鶏肉」に焦点を置いてクラウドキッチンビジネスを行っている理由としては、以下の表やグラフから読み取れるように、インドネシアのどの家庭においても一定量の需要があることが挙げられます。

 

インドネシアにおける鶏肉の月間消費量とその価格

1世帯あたりの人数 1ヶ月あたりの鶏肉の需要 1kgあたりの鶏肉の予想価格
1 2kg Rp 31,000
2 6kg Rp 32,000
3 5.5kg Rp 32,500
4 5.2kg Rp 31,800
5 6.6kg Rp 34,400
6 6.3kg Rp 31,750

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本と比較してみるととてもわかりやすいのですが、総務省が実施している「家計調査」によれば日本における全国1人あたりの鶏肉の家計消費は538g/月(2021年1月のデータ)となっており、インドネシア国民がどれほど多くの鶏肉を消費しているのかがわかります。

参照;https://lin.alic.go.jp/alic/statis/dome/data2/i_pdf/1050a.pdf

 

また、弊社は「従来のクラウドキッチンを持続可能なストレージとクラウドキッチンへ」という目標を掲げており、それを達成するために従来のプロダクトに加えて、特に肉や米や砂糖など人間が生きていく上で必要不可欠なニーズを満たすためのコールドチェーンビジネスを実施していこうと考えています。

製造段階においては、1つの店舗でクラウドキッチンとコールド・ストレージのハイブリッド化に向けた活動を行っています。

従来のクラウドキッチンに加えて鶏肉製品を効率的な配送システムにより運送したり、高品質で低価格な保冷庫の提供を行なっていこうと考えています。

現在10店舗運営している総研キッチンですが、今後も店舗数を増やしていこうと考えています。

将来的には自社所有のクラウドキッチンだけでなく、他のキッチンにも販売する商品を卸していくことを模索しています。

今後店舗数を増やしていく上で、どういった立地が良いのか調査を行った結果、半径16 km圏内から注文され、その後のリピーターは82%の人が半径4.1km圏内から注文を行っていることがわかりました。

この結果を踏まえ、弊社は各クラウドキッチンの営業範囲を半径4~5km程度に調整し、ジャボデタベックに50~300店舗の出店を計画しています。

 

アプリケーションの開発

2つ目はアプリケーションの開発です。

 

1つ目の部分で鶏肉のビジネスについて触れさせていただきましたが、弊社では新しくオンラインアプリケーションを開発しようと計画しております。これにより、アプリ利用者はいつでもどこでも新鮮な鶏肉を注文することが可能となります。

また、システムで一本化することによりミスを減らすことができ、アプリケーションがあったほうが企業としてもやりやすい面が多いといった点から弊社ではアプリケーションの開発を行っています。

市場で鶏肉を買うことが多いインドネシアですが、それと比較しても楽に高品質な鶏肉を手に入れることが可能となり、需要も多く生まれるのではないかと推測できます。

  購入プロセス 移動 交渉&
支払い方法
デリバリー 品質
市場で
購入
 鶏肉を購入するにあたり、様々な質問をしなければならない。  市場に出向かなければならない。  現金支払い
(現金不足の場
合にはATMに
行かなくてはい
けない。)
 配達を追跡することができないため、配達予定時刻がわからない。  新鮮であるという確証はない。
 アプリで購入  既に商品の詳細がアプリ上に載っているため、プロセスは早くて簡単。 1. アプリを通じて受け取り場所を選択する
2. キャッシュレスで支払い
3. 配達を追跡することが可能
(直接配送が行われる)
4. 注文した商品が無事に玄関先(受け取り場所)に届く
冷蔵機能が充実しているため、新鮮さを保つことが可能な上、ハラール認証を受けた商品のみ
を販売するため、100%ハラールである。 

 

販売チャンネルの増加

総研キッチンは、現時点ではB-to-Cのみビジネスを行っているのですが、今後はB-to-CだけでなくB-to-Bのビジネスにも注力していきたいと考えています。

特に、B-to-Cに関しては、オンラインからオフラインにビジネス形態を切り替え、総研キッチンがある場所の周りに住んでいる家庭や企業にもアプローチを行うなど、あらゆる方向からアプローチを行うよう準備をしております。最終的な目標は、B-to-B-to-Cのビジネスを行おうと計画しています。

例えば、最近新たな取り組みとして、先日業務提携契約を締結したインドネシア現地のバス会社Pahala Kencana社が運営するジャカルタ発の長距離バス内にて、弊社のクラウドキッチンのお弁当を配布し始めました。

Pahala Kencana社との業務提携契約についてはこちら

 

こちらは軽食付きの長距離バスチケットで、ジャカルタから中部ジャワまで約300,000ルピアのチケットに、約10,000ルピアのお弁当代が含まれているため、乗客に毎回お弁当販売の営業をする必要はないのがメリットの一つです。

バスのチケットを購入した時点で自動的にお弁当の配布が決定となるため、1日当たりのお弁当の販売数が大口で確保可能となります。

現在は、Pahala Kencana社が運営するジャカルタ発の中部ジャワや東ジャワ行きの長距離バスに乗車する1日約100人程度の乗客に試験的にお弁当の配布を開始しましたが、現時点では乗客の方々よりお弁当がとてもおいしかったとご好評の声を頂いております。

↓弊社クラウドキッチンのお弁当をバス内で配布している様子

現在はまだ試験的な取り組みのため1日当たりの配布人数やバスの路線は限られていますが、今後ジャカルタからジャワ島内の各地に移動するその他のバスでもお弁当を配布し、更に鉄道や飛行機など交通系サービスとも提携することによって、更なる大口販売が可能となってまいります。

 

弊社では、今後さらに、クラウドキッチンに+αでどのような機能を付加することができるかを模索しています。弊社は既にデータやチームなど基盤が備わっておりますので、様々な取り組みを積極的に実施できると考えています。

引き続き、クラウドキッチンの最新情報についてはコラム形式で随時、ご紹介してまいります。ご興味をお持ちの方は是非お気軽にお問い合わせください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

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