【コラム】インドネシアのチョコレート事情
過去コラムでも紹介していますが、インドネシアは世界第三位のカカオ生産量を誇っています。
過去コラム:
一方で、インドネシア産カカオの日本への輸入量は、117トン(2019年)にとどまっています。
これは、日本が輸入するカカオ豆全体のわずか0.3%ほどです。また、チョコレート菓子となると、その割合はさらに小さくなります。
最も多い中国からの輸入量が約3600トンであるのに対し、インドネシアからのチョコレート菓子の輸入量は約12トンと、日本の輸入量全体の約0.04%しかありません。
インドネシアのチョコレートは、日本での知名度はそれほど高くないというのが現状でしょう。
今回のコラムでは、そんなインドネシアのチョコレート事情についてご紹介したいと思います。
参考Webサイト:http://www.chocolate-cocoa.com/statistics/
インドネシア国内のチョコレート消費動向
まず、インドネシアにおけるチョコレートの消費量について見てみます。
インドネシアにおけるカカオの年間消費量は、2015年のデータでは一人当たり0.5kgだったそうです。
日本の年間チョコレート消費量が2.19kg/人(2018年)であるのに比べると、4分の1以下となっています。
とはいえ、インドネシアのスーパーやミニマートなどに行けば、様々なメーカーのチョコレートを購入することができます。
板チョコはもちろん、ナッツやドライフルーツの入ったチョコレートバー、さらにはオレンジやドリアンといったフレーバーのチョコレートまであらゆる商品が並んでいます。
このような光景からは、チョコレートはインドネシアでも人気が高いことがうかがえます。
近年、インドネシアのチョコレートの消費量は上昇傾向にあるようです。Cadbury社によると、インドネシアにおける同社のチョコレートの売り上げは、2016年から2019年までの3年間で36%上昇しているとのことです。
参考:http://www.gbgindonesia.com/en/agriculture/article/2016/overview_of_indonesia_s_cocoa_industry_lack_of_supply_still_hampers_growth_and_investment_11670.php
https://www.freemalaysiatoday.com/category/business/2019/11/19/robust-demand-for-chocolate-in-indonesia-candy-makers-report/?__cf_chl_jschl_tk__=pmd_uOMuaKkrsmn1BEkZK4IHkKhNlHF3stJbduhlgY0NSC8-1631359851-0-gqNtZGzNAnujcnBszQjR#
https://snapcart.global/indonesian-chocolate-consumption/
インドネシアで手軽に入手できるチョコレート菓子
スーパーなど、インドネシアのどこでも気軽に入手できるチョコレートといえば、シンガポールに本社をおくPT Petra(Delfi)の「Silver Queen」や、先程も言及したCadbury社のチョコレートなどがあげられます。
どちらも、ナッツやドライフルーツなど様々なフレーバーが楽しめます。
価格はサイズやフレーバーによって異なりますが、どちらも同程度の価格帯となっています。
その他に、クッキーやウエハース、ナッツなどをチョコでコーティングした菓子も数多くみられます。
たとえば、カラフルなコーティングがされたピーナッツ入りチョコレートの「CHA CHA」(PT Petra)などです。日本でもおなじみの「Pocky」(PT Glico Indonesia)や「Kit Kat」(Nestlé Indonesia)などもごく一般的に目にします。また、Mayora Indah社の「choki choki」のように、チョコレートとナッツをペースト状にした菓子もあります。
こうした菓子は比較的安価です。
以下の表で、インドネシアの大手ミニマートチェーン、Indomaretのオンラインストアにおける上記商品の価格をご紹介します。
表1:インドネシアの主要チョコレート菓子の価格
メーカー | 商品名 | 価格 (参考: KlikIndomaret 9/13閲覧 ) |
PT Petra | Delfi Coklat Milk (27g) | Rp.7,790 |
同 (55g) | Rp.14,290 | |
Silver Queen Chocolate Almond (28g) | Rp.8,400 | |
同(68g) | Rp.15,500 | |
Delfi Chocolate Cha Cha Peanut (25g) | Rp.4,500 | |
Cadbury | Chocolate Dairy Milk (30g) | Rp.8,200 |
同(65g) | Rp.15,000 | |
Mayora Indah | Choki Choki Chocolate (4x10g) | Rp.5,300 |
PT Glico Indonesia | Pocky (45g) | Rp.7,500 |
Nestlé Indonesia | Kit Kat Chocolate 2 Fingers Single (17g) | Rp.5,200 |
Kit Kat Chocolate 4 Fingers (35g) | Rp.10,100 |
参考Webサイト:https://www.klikindomaret.com/
インドネシアのご当地チョコレート
インドネシアでは、国産のカカオを使用したご当地チョコレートブランドもあります。
前述の大手メーカーのチョコレートに比べると価格は高くなりますが、それぞれに特色のある製品を販売しています。
代表的なものとして、以下のようなブランドがあります。
Cokelat Monggo(ジョグジャカルタ)
2001年にベルギー人ショコラティエによって立ち上げられたチョコレートブランドです。
現在では、インドネシア各地に支店を持つメジャーブランドとなっています。マンゴー、ジンジャー、ドリアン、唐辛子といったインドネシアらしいフレーバーを含む、幅広い商品展開をしています。
価格はRp.25,000/40g〜、Rp.49,000/80g〜です。
Webサイト:http://chocolatemonggo.com/
Pipiltin(ジャカルタ)
Pipiltinは、バリやアチェなどでとれたカカオ豆を使用し、最低限の材料でチョコレート本来の味を引き出したチョコレートを製造しています。また、生産者の利益を考え、サスティナビリティを重視しているチョコレートブランドです。
ジャカルタにある工場兼実店舗では、チョコレートの製造工程も見学できるようです。
Webサイト:https://pipiltincocoa.com/
Pipiltinについては、過去のアルビー日記でも紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。
過去コラム:
Soklat Inyong(プルオケルト)
中部ジャワの町プルオケルトのチョコレートブランドで、現地では土産店やスーパーなどでも入手できます。
価格はRp.15,000程度と、一般的なチョコレートとそう変わりません。ワヤン(伝統芸能の人形劇、ワヤン・クリで用いられる人形)のイラストが目印となっています。
GuSant(ブリタール)
GuSantは、東ジャワ州ブリタールの農園でとれたカカオを使用しています。ダークチョコレートやミルクチョコレートのほか、りんごやオレンジといったフルーツフレーバーのチョコレートも販売しています。カカオ80%のダークチョコレート(55g)がRp.16,500と、価格はお手頃です。
現地の観光施設「チョコレート村(Kampung Cokelat)」で販売しているほか、オンラインでも購入可能です。
Facebookページ:https://m.facebook.com/CoklatGusant/?ref=page_internal&mt_nav=0
Krakakoa(ジャカルタ)
カカオ農家の利益と環境保全を大切にしているブランドです。シングルオリジンのチョコレートがRp.40,000/50g〜と、高級チョコレートの部類であると言えるでしょう。
ですが、その味も確かで、2017年にはAOC(英国チョコレートアカデミー)賞を受賞しています。西ジャワを中心にインドネシア各地に店舗があり、近年はバリ島にも進出しているようです。
Webサイト:https://krakakoa.com/
Pod Cokelat(バリ)
2010年にバリで立ち上げられたチョコレートブランドです。カカオ農家から直接取引したカカオと植物性の原料のみを使ってチョコレートを製造しています。ドライフルーツやナッツ、ココアニブ入りのチョコレートが手に入ります。バリ島にある2店舗のほか、オンラインで購入可能で、価格はRp.29,000/45g〜です。
Webサイト:https://www.podchocolate.com/
参考:https://www.idntimes.com/food/dining-guide/andi-aris/10-cokelat-asli-indonesia-gak-kalah-dari-impor-1/10
https://food.detik.com/info-kuliner/d-3138720/inilah-6-brand-cokelat-lokal-khas-indonesia
https://www.kompas.com/food/read/2021/02/13/200930275/15-coklat-lokal-indonesia-ada-cokelat-monggo-dan-krakakoa?page=all
https://www.cnbcindonesia.com/entrepreneur/20190317174802-25-61114/nasib-mujur-petani-kakao-yang-terus-catatkan-cuan
インドネシアにおけるチョコレート産業:今後の展望
日本では、コロナ禍での外出自粛の影響で、オフィスなどでの間食としてのチョコレートの需要は減ったものの、家で楽しむ大袋入りのチョコレートや、健康志向の高まりから機能性を持ったチョコレート菓子の人気が高まっているようです。
インドネシアでも、近年健康に対する意識が向上していると言われています。今後の傾向として、インドネシアのチョコレート産業においても健康志向や機能性がキーワードになる可能性は大いにあるでしょう。
また、SDGsへの関心が高まっている昨今の情勢も合わせて鑑みると、原料にこだわりをもち、サスティナビリティを重視するご当地チョコレートには、今以上に付加価値が出るのではないでしょうか。
参考:http://anka-kashi.com/images/statistics/r02.pdf
https://diamond-rm.net/sales-promotion/86572/2/
関連コラム:
弊社では様々な分野でインドネシア進出のサポートや、調査などを行なっております。
セミナーの開催や講師派遣なども行っておりますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。
株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム