【コラム】インドネシア企業のコロナ禍での事業面の対策と事業継続の見通し

インドネシアではコロナ感染拡大により経済にも大きな打撃を受けています。

コロナによって業績が悪化した企業もあれば、一方で外出規制などによりコロナ禍で需要が拡大した市場もありますが、それでもやはり多くの企業がコロナ禍で売り上げが減少、業績が悪化する傾向にあります。

参考コラム:

コロナ危機の対策として、インドネシアの多くの企業は雇用面で労働時間や出社人数を調整したりしていますが、その他にも従来とは異なる新しいサービス・商品の提供開始や事業の多角化など事業面での対策を行っています。

インドネシア中央統計局(BPS)の調査によると、インドネシアの企業のおよそ15%が、コロナ禍で事業の多角化を行っていると回答しました。

特に事業の多角化を行っている企業が多かった業界は以下の通りです。

加工業 21.97%
宿泊、飲食 19.88%
貿易、自動車修理 16.71%

また、インドネシアの企業全体の約5%の企業が、以前とは異なるサービスや商品の提供を行うなど、新たな分野での事業に切り替えを行っていることが分かりました。

 

コロナによる業績悪化もしくは需要増加への対応状況

過去のコラムでもご紹介いたしましたが、コロナ感染拡大防止のための外出自粛措置などで、インドネシアではeコマースの需要が伸びており、実際オンラインでの情報発信や取引の場として、インターネットを活用し始める現地企業がコロナ禍で増加しました。

参考コラム:

 

 

では、実際にどのくらいのインドネシアの企業がコロナ禍でインターネットを活用してビジネスを行っているのでしょうか?

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Analisis Hasil Survei Dampak COVID-19 terhadap Pelaku Usaha(企業へのCOVID-19の影響」
より弊社作成(閲覧日:2020年9月16日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/09/15/9efe2fbda7d674c09ffd0978/analisis-hasil-survei-dampak-covid-19-terhadap-pelaku-usaha.html

インドネシアでは、コロナ禍で5.76%の企業が新たにインターネットを活用し始めています。

そのうちおよそ半数程度の企業がコロナ以前よりインターネットを活用していますが、同等の割合の企業がコロナ禍でも依然インターネットを活用できていないということが分かりました。

実際、日本ではすぐインターネット検索で取得できる情報でも、インドネシアではインターネットでは情報が見つからず、電話での問い合わせなどでないと情報が取得できないということも珍しくありません。

現在インターネットを活用して事業を行っている企業の事業の多角化の状況は以下の通りです。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Analisis Hasil Survei Dampak COVID-19 terhadap Pelaku Usaha(企業へのCOVID-19の影響」
より弊社作成(閲覧日:2020年9月16日)

https://www.bps.go.id/publication/2020/09/15/9efe2fbda7d674c09ffd0978/analisis-hasil-survei-dampak-covid-19-terhadap-pelaku-usaha.html

 

以下の企業は、特にコロナ禍でインターネットの活用を開始した企業が多かった業界です。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Analisis Hasil Survei Dampak COVID-19 terhadap Pelaku Usaha(企業へのCOVID-19の影響」
より弊社作成(閲覧日:2020年9月16日)

https://www.bps.go.id/publication/2020/09/15/9efe2fbda7d674c09ffd0978/analisis-hasil-survei-dampak-covid-19-terhadap-pelaku-usaha.html

 

新型コロナウイルスのパンデミック前にすでにインターネットを活用していたインドネシアの企業は、パンデミック後にインターネットを新たに活用し始めた企業よりも平均1.14倍売上が多い結果が出ています。

インドネシアの行政区画で比較すると、市よりも県に所在地を置く企業の方が積極的にインターネットを活用していることが分かります。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Analisis Hasil Survei Dampak COVID-19 terhadap Pelaku Usaha(企業へのCOVID-19の影響」
より弊社作成(閲覧日:2020年9月16日)

https://www.bps.go.id/publication/2020/09/15/9efe2fbda7d674c09ffd0978/analisis-hasil-survei-dampak-covid-19-terhadap-pelaku-usaha.html

 

このように、インドネシアの企業は雇用面での調整の他、事業の多角化やインターネットの活用など様々な手段でコロナ危機に対する対策を行っていることが分かります。

しかし、それでもやはりインドネシア国内の経済的な打撃は大きく、更に首都ジャカルタでの「大規模な社会的規制(PSBB)」の延長により、経済面での更なる打撃が危惧されています。

インドネシアの企業はコロナ禍での事業継続についてどのように見ているのでしょうか。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Analisis Hasil Survei Dampak COVID-19 terhadap Pelaku Usaha(企業へのCOVID-19の影響」
より弊社作成(閲覧日:2020年9月16日)

https://www.bps.go.id/publication/2020/09/15/9efe2fbda7d674c09ffd0978/analisis-hasil-survei-dampak-covid-19-terhadap-pelaku-usaha.html

 

インドネシアの企業全体で見た場合、支援なしでの事業継続については半数以上が「わからない」と回答していますが、多角化を行なっている企業では半数以上の企業が、国や自治体からの支援が無かった場合、持ちこたえれられる期間は3か月以内と回答しています。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Analisis Hasil Survei Dampak COVID-19 terhadap Pelaku Usaha(企業へのCOVID-19の影響」
より弊社作成(閲覧日:2020年9月16日)

https://www.bps.go.id/publication/2020/09/15/9efe2fbda7d674c09ffd0978/analisis-hasil-survei-dampak-covid-19-terhadap-pelaku-usaha.html

 

国や自治体からどのような支援が必要か、という質問に対し、中小企業の約7割が“資金面での支援”と回答しており、一方大企業の回答で最も多かったのは“事業所の電気代の補助”でした。

インドネシアでは、対コロナの経済対策として指定業種の所得税無税化や一部法人税の猶予、その他景気刺激策なども導入されていますが、実際には発表された政策のうちで実際に実行されているのは全体の3割程度にとどまっていると言われています。

弊社では、コロナ禍でのオンラインヒアリング代行や調査を承っておりますので、ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次