【コラム】新型コロナウイルスが与えるインドネシアの農業への影響
インドネシアにおいても、新型コロナウィルスは社会生活のあらゆる側面に影響を与えていますが、農業も例外ではなく、例えば観葉植物の栽培農家は大変な打撃を受けています。
今回のコラムでは、農業への影響と弊社の取り組みについて、ご紹介します。
新型コロナウィルスの感染拡大による農業への影響
感染の拡大を抑制するため、インドネシアでも移動が制限されることにより、農業資材(種子、肥料、農薬)及び農産物の移動も制限されることとなり、 一部の市場では品不足が発生して野菜の値段が高騰している場合もあります。
特にインドネシアでは、長距離の移動を伴う農産物の供
給能力が限られており、輸入農作物の供給体制も脆弱で
す。
また、首都ジャカルタ近郊の観葉植物の産地としては、バンドンとスカブミが挙げられますが、移動制限の影響により、こうした非食用作物の需要は急落し、生産農家は大き
な打撃を受けています。
もちろん、移動制限下においても食用作物の需要はありますから、観葉植物農家が一時的に又は恒久的に野菜栽培を取り入れることで、現在の状況への適応を模索する動きが出ています。
農業セクターは、新型コロナウィルスのようなグローバルな危機に際しても、日常的な需要に対応している限りは存続できるセクターです。
また、新規作物の栽培に関しても、栽培サイクルの早いものであれば、準備から3カ月で出荷可能なものもあり、柔軟な対応が比較的容易です。
また、現在の状況では輸入農作物の流通量が減少しているため、野菜や果物、その他換金しやすい作物の地域需要を満たすチャンスでもあります。
以上のような状況を受けて、西ジャワ州スカブミの観葉植物生産農家のうちのいくつかは、「ネギ」に着目して、現在の苦境を乗り越えようと動き始めました。
弊社は、困窮する農家を支援するため、ネギ農家への投資資金を投資家から集め、困窮する農家にネギ栽培への転換を促し、収益を分け合うプロフィットシェア・プログラムの実験を始めました。
なぜネギなのか?
実は、ネギはインドネシアでも非常に一般的な作物です。
また、以下のような特徴があることから、転換作物に適しています。
下記の通り、ネギの市場価格は、安定的なペースでの上昇を続けています。
出典: インドネシア中央統計庁(BPS)、Agricultural Indicators 2018 より弊社作成(閲覧日:2020年5月15日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/12/05/a40a215961d9132c25302881/indikator-pertanian-2018.html
また、何よりも注目すべきネギの特徴としては、栽培サイクルが短いことです。
そのため、すぐに市場に出せるというメリットが挙げられます。
ネギは日本と同様にそのまま食べるだけでなく、調味料的な使い方もできるなど、インドネシアにおける需要は安定して高いと言えます。
害虫にも強く、栽培が比較的簡単であるという点も、転換を容易にする要因です。
本プログラムを始め、インドネシアの農業や投資についてご興味のある方は、お気軽に弊社までお問い合わせください。
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