【コラム】インドネシアにおける2021年のラマダンからレバランにおける購買行動のトレンド

今年もインドネシアで、4月12日から5月12日の1ヶ月間、イスラム教の宗教行事であるラマダン(断食月)が例年通り実施されました。5月12日からは、レバラン(断食明けの大祭)となっています。

ラマダンの実施月はイスラム暦によって毎年異なりますが、毎年ラマダン(断食月)からレバラン(断食明けの大祭)にかけてインドネシア国内で購買活動が高まりますが、今年は新型コロナウイルスの影響で通常よりオンラインでの購買が高まることが予想されています。

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今回のコラムでは、今年のインドネシアのラマダンからレバランにおけるオンラインでの購買活動や企業の取り組みについてご紹介していきます。

 

インドネシアにおけるオンラインショッピング利用割合の増加

ラマダン期間を含む2021年4月1日〜4月25日の間、インドネシアでオンラインショッピングの利用率が3倍に増加したことがインドネシアの調査会社Continuum Data Indonesiaによって明らかになりました。

これは、新型コロナウイルスの影響により一部地域では引き続き社会活動が制限されていること、更にラマダン期間中のショッピングの需要が後押ししていることが理由として挙げられます。

インドネシアでは、外出制限により自由に外で買い物ができなくなり、オンラインショッピングで購入するという選択を取る人が増えていることが分かります。

参考:https://www.liputan6.com/bisnis/read/4548642/tren-belanja-online-meningkat-3-kali-lipat-di-awal-ramadan-2021

 

オンラインでの購買活動が活発化する商品について

インドネシアにおいて、今年のラマダンからレバラン期間にオンラインでの購買活動が活発化すると予想される商品は以下3つです。

 

国内旅行、宿泊施設

今年も新型コロナウイルス感染拡大防止策として、インドネシア政府によってレバランの帰省(ムディック)が禁止されていますが、帰省が禁止されていた去年においてもラマダンからレバラン期間は通常時(ラマダンやレバラン以外の期間)より旅行関連や宿泊施設の購買活動が活発化しました。

新型コロナウイルス拡大以前のラマダンからレバラン期間と比較すると、去年のインドネシア国内の旅行・宿泊関連予約などの需要は、前年比で最大で約54%減少していますが、他の商品と比較するとそれでもなお、購買活動が活発化する商品であると予想されています。

 

家電製品(主にメディア)

新型コロナウイルスの影響により、昨年よりインドネシア国内では在宅勤務を行う人が増えたため、在宅勤務用の家電製品、関連機器を購入する人が増え、2020年は需要が約46%も増加しました。今年も引き続き在宅勤務を行う人も多く、在宅勤務を充実させるための家電の需要は引き続き高いと予想されています。

また、外での娯楽が制限されているため家の中の娯楽としてメディアを楽しむためにメディアプレイヤーの需要も増えると予想されています。

 

健康食品・サプリメント関連

ラマダン期間中は食事ができる時間が限られているため、通常時よりも食事への関心が高まっており、同様に栄養や食事のとり方などに気を付ける人も多くいるようです。今年は更に新型コロナウイルス感染も懸念されるため、ビタミンなどのサプリメント、ナツメヤシシロップなど健康食品の需要が高まると予想されています。

インドネシアは昨年新型コロナウイルス感染拡大が始まって以降、サプリメントを始め、しょうがやにんにくなど、一般的に健康に良いと言われている食材も需要が高まりました。

ラマダンからレバラン期間が終わった後も、インドネシア国内でワクチンが行き渡るまでは、引き続きサプリメントや健康関連の製品の需要は高くなりそうです。

参考:https://powercommerce.asia/perilaku-belanja-online-di-bulan-ramadhan/

 

フードデリバリーサービスによる注文の増加

インドネシアでは、オンラインショッピング利用割合の増加に加え、GrabFoodやGoFoodなどのアプリケーションを介したフードデリバリーサービスによる食品の注文量が去年のラマダン時期と比べ20%増加すると予想されています。

ラマダン期間中は、日が落ちると家族や友人と食事をとるのが一般的ですが、去年に引き続き今年も新型コロナウイルスの影響で外食が難しいため、フードデリバリーサービスの需要が増えると考えられています。

ラマダンからレバランにかけての商品の注文殺到を懸念し、GrabFoodでは2日前から注文を受け付けるサービスが導入されています。

コロナ禍におけるラマダンが2度目となるため、企業側もコロナ禍に併せた工夫を行っていることが分かります。

参考:https://teknologi.bisnis.com/read/20210507/266/1391797/ramadan-2021-order-makanan-daring-diprediksi-naik-20-persen
参考:https://teknologi.bisnis.com/read/20210507/266/1391741/ini-cara-grab-antisipasi-lonjakan-pesanan-makanan-saat-ramadan?utm_source=Desktop&utm_medium=Artikel&utm_campaign=BacaJuga_1

インドネシアにおける小売市場の取り組み

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、去年のインドネシアにおけるFMCG(日用消費財)市場の売り上げは過去最悪の収益を経験したと言われています。

インドネシア大手小売会社のアルファマートの社長であるAnggara Hans Prawira氏は、2020年のFMCG市場は5.9%縮小したと述べています。

通常購買活動が高まるラマダン期間中に、移動制限や外出制限で人々の購買意欲が低下したこともFMCG市場の縮小の要因の一つです。

今年は、去年の経験を踏まえアルファマートは新しい取り組みを行なっています。

引用:ShopeePay公式サイトより

アルファマートは、ShopeePayと連携しラマダン期間中限定で上図のようなプロモーションを行いました。

プロモーションの具体的な内容としては、アルファマートでの買い物の支払い時にShopeePayを利用すると割引が適応されるというものです。

最大70%割引される商品もあり、また砂糖、お茶、小麦、米、油などの生活必需品の購入も可能です。

また、Rp 20,000以上送金でキャッシュバックが返ってくるというキャンペーンも同時に展開されました。

インドネシアにおいてオンラインショッピングの利用が増加する中で、小売業界も需要を増やすため新しい取り組みを行なっていることが分かります。

参考:https://newssetup.kontan.co.id/news/industri-fmcg-mengalami-kontraksi-sebesar-59-sepanjang-tahun-2020
参考:https://beritajatim.com/ekbis/3-promo-spesial-di-puncak-shopeepay-big-ramadan-deals-besok-bikin-heboh/

ソーシャルメディアで話題のトピック

ラマダン期間中に、ソーシャルメディアで話題となったトピックとして、”レバラン用の服”のオンラインショッピングが挙げられます。更にレバラン用の服について話題とした人の割合は、ソーシャルメディア利用者全体の26%を占めていることが分かっています。

インドネシアのイスラム教徒は、レバランのお祝いに備えてレバラン用の新しい服をデパートなどへ買いにいくことが一般的です。

現在は新型コロナウイルスの影響で外出が制限されているため、オンラインで衣服を購入することに関心が高まっているようです。

参考:https://www.liputan6.com/bisnis/read/4548642/tren-belanja-online-meningkat-3-kali-lipat-di-awal-ramadan-2021

 

インドネシアへの進出、投資をご検討される際は、このようなインドネシアの文化慣習を知ることが大切です。

弊社では、インドネシアの文化に関するセミナー、市場調査などを行っておりますので、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
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