【CO2見える化レポート】①カーボンフットプリントの削減についてーインドネシアのPROPERプログラムの事例を踏まえて

今回より「CO2見える化レポート」と題し、数回にわたりインドネシアでも課題となっているCO2削減への取組みや現状の課題等について、シリーズとして皆様にお届け致します。

近年地球温暖化や気候変動に関するニュースを見聞きする機会が多く、日常的に地球環境の問題に関して意識する機会が増えていることと思います。
地球環境の問題は様々な要因から引き起こされておりますが、その要因の1つに温室効果ガス(CHG)の排出が挙げられます。2021年の二酸化炭素の排出は363億トンとなっており、過去最高の排出量となりました。

新型コロナウイルス禍からの経済の回復に伴い、二酸化炭素排出量の多い石炭の消費が急増したことが原因とみられています。今回のレポートでは、温室効果ガスの排出に関連して、カーボンフットプリントの削減とインドネシアの環境林業省のPROPERプログラムに関してご紹介いたします。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR08DPA0Y2A300C2000000/

カーボンフットプリントとは何か

カーボンフットプリントとは、英語を直訳すると「炭素の足跡」です。具体的には、商品やサービスの原材料調達から生産、流通そして廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算したもののことです。

温室効果ガスは二酸化炭素に限定されるものではありませんが、二酸化窒素やメタンなどの様々な温室効果ガスもすべて二酸化炭素として換算されます。そうすることにより、事業者と消費者のあいだで二酸化炭素削減に向けた行動への意識を共有することができます。企業は可視化された情報を用いることによって、サプライチェーンを構成する異なる企業間で協力して、さらなる二酸化炭素削減を推進し、同時に消費者がこの情報を用いて低炭素な商品・サービスを選ぶことを目論んだ指標です。

参考:https://www.cfp-japan.jp/about/
https://sustainablejapan.jp/2016/02/04/carbon-footprint/21073

インドネシアにおけるカーボンフットプリント削減への取り組み―PROPERプログラム

【インドネシアの年間の二酸化炭素排出量】

(出典:Our World In Data(元データ:Global Carbon Project「Global Carbon Budget 2021」)より取得)

上記のグラフはインドネシアの二酸化炭素排出量の推移を表しています。1960年代以降増加傾向が続いており、2020年の二酸化炭素排出量は5億8950万トンでした。

【燃料別インドネシアの二酸化炭素排出量】

(出典:Our World In Data(元データ:Global Carbon Budget 2021)より取得)

上のグラフはインドネシアの燃料別に二酸化炭素排出量実績を示したものです。インドネシアで使用されている燃料では石炭、石油、セメント、フレアリングの順で二酸化炭素を多く排出しています。使用燃料における石油と石炭の二酸化炭素排出量がほぼ同じである日本と比較すると、インドネシアでは二酸化炭素の排出量が多い石炭が主要な燃料であることがわかります。

参考:https://www.icos-cp.eu/science-and-impact/global-carbon-budget/2021

【PROPERプログラム】
インドネシアにおいても、二酸化炭素の排出量の削減は大きな課題となっており、2009年のCOP15では2020年までに温室効果ガス排出量を26%(自国の努力で)、41%(国際支援がある場合)削減することを掲げました。また、2016年には2030年までに当時の排出レベルから38%の削減を目標とするNDC文書を出しました。

このようにインドネシアでも排出量削減は喫緊の課題であり、環境林業省はPROPERプログラムを実施しています。PROPERプログラムとは、環境管理における企業の評価格付けのことです。PROPERプログラムの基盤は1995年に発足し、企業の水質汚濁対策を評価するプログラムを開始しました。

最高評価となるゴールドからグリーン、ブルー、ブルー・マイナス、レッド、レッドマイナス、ブラックに至る色付けによる評価制度を採用しています。当初は水質汚濁対策としてのプログラムでしたが、2002年には評価対象とする環境問題を拡大し、大気汚染、有害・有毒物質の廃棄物管理なども加えられました。

参加企業は本プログラムを通じて評価を受けることにより、環境への意識が高まっている消費者からのイメージアップを図ることができます。PROPERプログラムの他にも、課税などによって企業の排出量抑制を図る法律が2022年から施行されました。余剰の温室効果ガスの二酸化炭素換算量1kgあたりRp30のペナルティの税金が課されるようになりました。

参考:https://proper.menlhk.go.id/proper/kriteria
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07000456/indonesia_kankyo_seisaku.pdf


本コラムでは世界的な課題である二酸化炭素の排出課題の振り返りと、カーボンフットプリントについて、そしてインドネシアにおける二酸化炭素排出対策の事例に関してご紹介いたしました。

気候変動対策は世界共通の重要な課題であり、日本やインドネシアも例外ではありません。将来を見通して事業を行う場合には環境課題への対策は必須となります。

インドネシアにおいて事業を新たに開始されたい。或いはご検討されている事業者の皆様におかれましても、温室効果ガスの排出量削減の対策・法規制などを踏まえて事業を開始される事が重要です。

弊社インドネシア総合研究所はインドネシア全土に様々な業界、教育機関、政府機関等のネットワークを保持していることから多岐にわたる調査を得意としており、日々アップデートされる環境対策法規制やプログラムなどに関して、専門家などの意見や政府機関からの情報を取り入れながら調査することも可能です。

インドネシアにおいて新規事業をご検討の事業者の皆様、ぜひ弊社の調査サービスの活用をご検討ください。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-6804-6702

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