【コラム】インドネシアの天然ゴム生産事情と用途

皆さんは天然ゴムがインドネシアから日本に多く輸入される産品であることをご存じでしょうか。2021年の農林水産省の資料によると、日本とインドネシアの貿易における農林水産物の輸入額の第1位は天然ゴムです。

ゴムには石油由来の合成ゴムとゴムの木から採取される樹液を加工して得られる天然ゴムがあります。この後者の天然ゴムの生産がインドネシアでは非常に盛んに行われています。

今回のコラムでは、タイヤや輪ゴムなどの日用品からコンベヤのベルトなどの産業用途に至るまで幅広く利用される天然ゴムのインドネシアでの生産事情から日本の輸入状況、その用途に関してご紹介したいと思います。

インドネシアにおけるゴムの木の栽培

ゴムを生成する木はいくつか種類がありますが、インドネシアで主に天然ゴム生産のために栽培されているゴムの木はパラゴムの木(Hevea brasiliensis)と呼ばれる品種です。このパラゴムの木はもともとブラジルや南米地域原産の植物で、インドネシアには20世紀初頭にイギリス人らによって持ち込まれ栽培が始まりました。

ゴムの木はおおよそ15-20メートルまで成長し、ゴムが採集できるようになるまでは7年かかり、その後樹齢30年までゴムが採集できます。ゴムの木は、一定の高温(26-32℃)での栽培が適しており、インドネシアのような熱帯の国では国土の広範囲で栽培ができるため、インドネシアの気候は正にゴムの木の大規模栽培に適しています。

参考WEBサイト:
https://www.prahu-hub.com/karet-indonesia-komoditas-yang-bermanfaat-bagi-dunia/
https://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/plaj/Labo/comparative/Pararubber.HTM

インドネシア中央統計局の統計資料によると、2020年のインドネシア全体のゴムの生産量は303万7348トンでした。インドネシア産のゴムの主な輸出相手国はアメリカ、中国、日本、インド、韓国です。また、インドネシア国内でゴム生産量が多い地域は以下の通りです。


(出典:「Statistik Karet Indonesia 2020」をもとに弊社作成)

上のグラフに記載の通り、ゴムの生産はスマトラ島とカリマンタン島に集中していることがわかります。これらの地域は熱帯雨林が生い茂る地域でもあり、木材などの他の天然資源にも恵まれた地域です。

参考WEBサイト:https://www.bps.go.id/publication/2021/11/30/bc85ddce5e674dc744b69abb/statistik-karet-indonesia-2020.html

日本の天然ゴム輸入状況

2020年の財務貿易統計によると、日本の天然ゴムの総輸入量は56万84トンで、主な輸入先はインドネシアとタイで96%を占め、インドネシア単体では69%となっています。他にはベトナム、ミャンマー、マレーシアなどのアジア諸国から輸入しています。日本における天然ゴムの用途の多くは自動車用のタイヤを中心に、産業用に使用されているものが多いです。

(出典:「2020年財務貿易統計」)より弊社作成)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500100&tstat=000001018079&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000001018080&result_back=1&cycle_facet=tclass1&tclass2val=0

参考WEBサイト:https://www.okasan-online.co.jp/tradeinfo/industry_trend/2019/0403/

天然ゴムの特性と主な用途


【天然ゴムの主な特性】
・低温に強い
・金属に接着しやすい
・加工および生産が容易
・絶縁性があり電気を通さない
・振動や音を吸収あるいは軽減させる

参考WEBサイト:http://www.balitteknologikaret.co.id/elementor-213/

【天然ゴムの用途】
天然ゴムには上記の特性があることから用途は非常にバラエティに富んでおり、産業用ではタイヤ(乗用車、バス、トラック、航空機)、防振ゴム、ベルト、ホース、免振ゴムなどの自動車部品や工業用部品、土木建築材料などに使用されています。ほかにも輪ゴムのような日用品、ボールなどのスポーツグッズ、ゴム手袋などの医療用品など日常に根差した物品にもこの天然ゴムが幅広く用いられています。ほかにも液状に加工したゴムからは接着剤なども製造されています。また、インドネシア国内では世界的な需要低下によるゴム価格の下落などから国内でのゴム活用法を試行錯誤しており、その1つとしてアスファルトにゴムを混ぜる「ゴムアスファルト」としての用途があります。ゴムアスファルトを使用することで道路の繰り返しの走行への耐久性強化や変形・溝への耐久性増加、インドネシア国内のゴム農家の余剰生産物の活用が期待されています。

参考WEBサイト:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/92/1/92_45/_pdf/-char/ja
https://www.kompas.com/properti/read/2021/11/23/080000321/mengulas-keunggulan-aspal-karet-yang-ditampiilkan-indonesia-di-dubai?page=all
https://www.borneonews.co.id/berita/211001-pupr-kobar-terus-godok-rencana-penggunaan-aspal-karet


今回のコラムではインドネシアの天然ゴム生産事情や天然ゴムの特性・用途をご紹介いたしました。また、日本は天然ゴムに関してはインドネシアからの輸入への依存度がとても高く、自動車のタイヤなどの産業用部品をはじめとして、医療用のゴム手袋や輪ゴムなどの日用品にもインドネシアの天然ゴムは欠かせない存在です。インドネシアの豊富な天然資源の1つである天然ゴムのインドネシアからの調達にご興味をお持ちの皆様、是非一度弊社インドネシア総合研究所までお問合せ下さいませ。弊社ではその他にもインドネシアの豊富な天然資源や特徴ある特産品の調達のお手伝いさせて頂きます。
皆様からのお問合せをお待ちしています。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-6804-6702

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