【コラム】日系企業のインドネシアの土地取得について
インドネシアの土地制度では日本企業を含めた外資系企業が土地の「所有権(Hak Milik)」を直接取得する事はできません。
それではインドネシアにおいてこうした外資系企業は、どの様に土地を取得することができるのでしょうか?
今回のコラムでは外国の企業がインドネシアで不動産を手に入れるにあたっての方法をご紹介致します。
土地上の建設権取得
今月のコラム「インドネシアの土地の権利と制度について」の中で概説致しました土地の「建設権」は土地上に建物を建設してそれを所有する権利です。
この権利は国有地、*管理権の設定された土地、所有権の設定された土地上に設定されます。
またこの権利は法人であっても取得が可能ですが、この法人はインドネシアの法律に則って設立されたPMAである必要があります。
*管理権(Hak Menguasai Negara)=国有地のうち行使権限が権利保持者に委任されている土地
*PMA(Penanaman Modal Asing) =インドネシア法に則って設立された外国資本投資企業。インドネシア国内居住・活動等が要件
インドネシアに設立されたPMAである日系現地法人はこの権利により工場・事務所等の不動産を実質的に支配する事ができます。
しかし、インドネシアでの法人設立には日本円で約8千万円程度の資本投資が必要となります。
また、この様な外国資本の企業がインドネシアで不動産物件を取得する物件には地域毎に最低金額が定められており、その最低金額が最も高い地域は首都ジャカルタで、一戸建てで100億ルピア、アパートで30億ルピアとなっています。
この建設権の期間につきましては最長で80年(契約30年、延長20年、更新30年)です。
参考WEBサイト:http://www.bkpm-jpn.com/ja/
インドネシアでの「建設権」取得の流れと留意点
インドネシアで土地の建設権を取得するにあたっての流れは以下の通りです。
- 物件選定
- 現地確認、土地局への確認
- 関係書類の確認
- 売主との条件交渉
- 土地証書作成官(*PPAT)による土地権利書の確認
- 関連する税金、手数料支払い
- 不動産代金支払い、売買契約書サイン、名義変更
- 建設権取得
*土地証書作成官(PPAT)=土地の権利に関する正式な公的証書作成の権限を与えられている役人
注2)インドネシアの不動産登記制度は日本のそれと異なり一般に公開されていないため、当該土地の所有者に直接確認する事が必要となります。
インドネシアの土地権利の中で「使用権」という権利もあり、この権利はインドネシアのPMAではない外国人にも与えられる権利で、例えば日本企業の「駐在員事務所」が取得する事も可能です。
【土地取得に係わる税金/費用】
◇土地建物取得税・・・・・・・・・・・5%
◇売買契約・・・・・・・・・・・・・・1%
◇弁護士費用・・・・・・・・・・・・・0.5~1.5%
◇登記費用・・・・・・・・・・・・・・0.2%
◇固定資産税・・・・・・・・・・・・・0.1~0.3%
◇不動産仲介者費用・・・・・・・・・・5%
※一般的には売り手負担、買い手負担のケースもありますが両者が支払う事はありません
参考WEBサイト:https//ja.sekaiproperty.com/article/2868/indonesia-property-regulation
その他土地取得の方法について
インドネシアでは土地の所有権(Hak Mili)がインドネシア国籍の個人にしか与えられない事から、外国人がインドネシア人の名義を借りて不動産を購入する事が行われる仕組みがあります。
この場合は、法律事務所を通して名義を借りる名義人との間で別途契約書を作成し、間接的に不動産の所有権を保有する方法です。
しかし、この場合は如何なる書類を作成しても土地の所有権が外国人名義になる事はないので名義を借りる相手との信頼関係が最も重要であり、この相手と如何なる背景のもとで係争する事となってもインドネシアの法律により当該土地の所有権(Hak Milik)を日本人が取得する事が出来ない点が最大の留意点です。
インドネシアでのビジネスにおける不動産の取得には日本では考えられない様な多くの相違点・留意点があります。
インドネシアでの今後のビジネスにおいてこれら不動産取得に関するリスク回避のため、弊社では皆様のインドネシアの最適な不動産関連対応方法について事前に相談を承っています。
是非お気軽にご相談ください。
株式会社インドネシア総合研究所
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