【コラム】インドネシア人にとってのレバランとは
写真: Kunto Adisuryo
レバラン(Lebaran)とは
イスラム暦の10月1日を「Lebaran(レバラン)」と言います。ムスリムが約90%を占めるインドネシアでは、宗教祭日の一つとなっています。イスラム暦の9月を「ラマダン」、もしくは「断食月」と呼びますが、レバランの日にラマダンが終わったことを盛大に祝います。
1週間程度の休みを与えられることが多く、インドネシア人にとって1年で一番大きな休暇で、楽しみにしている人が多いです。
ムディック(Mudik)とは
インドネシア語で「帰省」を意味し、特にレバラン時の帰省を指します。地元を離れて働いている者たちが故郷に帰り、家族・親戚と集まる大切な時間です。
故郷の家族・親戚の家を訪れるだけではなく、レバラン帰省時にはお墓参りも行います。まるで日本のお盆や年末年始のようです。
レバラン帰省トレンドの変化
運輸省運輸研究開発局のデータによると、この5年間でレバラン期間中の帰省者数に変化が起きています。2016年には帰省者数が減少しましたが、2017年から再び増加しています。2000万人近くの人が大移動しているのがわかりますね。
出典:Kompas(2017年7月7日)、Detik News(2018年6月6日)
帰省時の主要交通手段
交通手段は、バイク、自家用車、長距離バス、鉄道、船、飛行機など様々です。各公共交通機関を利用する帰省者数は、以下のグラフの通りです。
出典:Kompas(2018年6月6日)
多くの交通手段が存在しますが、その中でもバイクはレバラン帰省時に人気の交通手段です。移動のしやすさと費用が比較的安価なことから、バイクは帰省者たちに好まれています。
東京から静岡くらいの距離(約200キロ)ですと、家族と大きな荷物を抱えてバイクで移動するようです。
なお、年々バイク利用者が増加していることは、以下のグラフからも分かります。
出典:IDEAS (2017年6月24日)、Kompas(2018年6月6日)
変化するレバラン帰省の意味
帰省者数が益々増加し、帰省者がレバランボーナスで故郷の家族にお年玉のようなものを渡したり、モノを購入したりすることで、経済活動もますます活発になっています。
また、ユニークな面としては、地元を離れ働いている人々にとって、レバラン帰省は成功した姿を地元の家族や親せき、友人らに披露する場にもなっています。帰省前には服や靴を新調し、帰省時には余裕のある姿、成功した姿を見せられるよう多少の無理をする人も多いです。
そのため、インドネシアにはレバラン帰省に関するこのような有名な言葉があります。
「Mau pulang malu, tak pulang rindu.」=「帰りたいが恥ずかしく、帰らなければ寂しい。」
余裕のない姿を故郷の家族に見せるのは恥ずかしいが、久しぶりの休暇に家族に会いたいという意味であると解釈できます。
「レバラン帰省」の文化は、インドネシアに社会的、経済的、心理的に非常に大きな影響を与えているということが垣間見えます。
インドネシアに進出する場合、インドネシア人を労働者として受け入れる場合、文化・慣習を理解しておくことがとても重要です。
弊社は、インドネシア全土の様々な場所での調査・サポート実績が多数ございます。日本国内での異文化研修なども行っておりますので、ご興味がございましたらお気軽にご相談ください。
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