【コラム】アジア大会と今後のインドネシア
アジア版オリンピック『アジア大会』の第18回目がインドネシアで開催され、無事に閉幕しました。
開催地はジャカルタとパレンバン。アジア大会では初の2都市開催としても話題になりました。
実際にスタジアムを訪れた弊社の現地スタッフによると、期間中は非常に盛り上がり、自国への誇りを改めて感じる非常に良い機会になったようです。
今回のコラムでは、インドネシアの視点からアジア大会を振り返ってみたいと思います。
壮大な開会式
8月18日に始まったアジア大会は、豪華なオープニングセレモニーでスタートしました。
インドネシアの文化の多様性を反映した演出や、有名アーティストの出演により、会場は大盛況!また、ジョコウィ大統領のバイクでの登場も大きな話題となりました。
大会期間中のジャカルタの渋滞
ジャカルタでは日々ひどい渋滞に悩まされていますが、アジア大会期間中は更にひどくなることが懸念され、開催地周辺の幼稚園や小中高校が一部休校となりました。
実際、渋滞はひどく、閉会に近い8月31日から9月2日の間が特にひどかったようです。
インドネシアチームの成績は?
インドネシアはメダルの獲得数が4位となり、今回のアジア大会で過去最大のメダルを獲得しました。
特に、今回から正式種目となったインドネシアの伝統武術プンチャックシラットでは14個の金メダルを獲得し、大きな盛り上がりを見せました。また、国技ともいわれているバドミントンでも合計8個のメダルを獲得しています。
メダリストの賞金額は
メダリストには賞金が与えられますが、メダルによって金額は異なり、金メダルを獲得した選手には15億ルピア(約1,100万円)、銀メダルには5億ルピア(約370万円)、銅メダルには2億5千万(約190万円)が贈られました。また、金メダル選手には賞金の他にも、家や公務員に優先採用される資格も付与されました。
実はあの方も大会に出場
インドネシアの長者番付でここ数年トップに立っている人物といえば、たばこ会社ジャルム(PT.Djarum)のハルトノ兄弟ですが、なんと兄のバンバン・ハルトノ氏(78)がブリッジ(カードゲームの一種)に出場し、銅メダルを獲得しました。
さらにインドネシア国民の間で話題になっているのは、賞金の「額」と「支払い方法」です。
兄のバンバン・ハルトノ氏は11.5億米ドルもの資産を保有していると言われていますが、「今回手に入れた賞金は一体何に使われるのか?!」というトピックがインドネシア国民の中で話題になっているようです。
また、ハルトノ氏はインドネシア大手銀行のBCA(バンク・セントラル・アジア)の経営権を所有しておりますが、今回の賞金の支払いはBRI(インドネシア国民銀行)からだったそうで、ちょっとした注目を集めているようです。
ボランティアへの報酬
今回のアジア大会には約15,000人のボランティアが参加したそうですが、報酬は交通費と食費込みで、なんと300,000ルピア/日(約2,200円)だったそうです。
ジャカルタの最低賃金が約3.650.000ルピア/月(約27,000円)であることを考えると、この日当はかなり条件が良いと考えられるでしょう。
2032年のオリンピック開催を目指す
ジョコウィ大統領は今回のアジア大会の成功を受け、2032年のオリンピックの開催国立候補に意欲を示しています。もし実現すれば、東南アジアで初めてのオリンピック開催国となります。
無事閉会を迎え、インドネシアの人々が口をそろえて言うことが、「今回の大会でインドネシア国民に一体感が生まれ、自国への誇りを改めて感じる機会となった」ということです。
今回のアジア大会の成功は、インドネシアの人々にとって非常に大きな自信になったと言えるでしょう。さて、2032年のオリンピック開催地争いはいかに?