【コラム】なぜ?約束と違う!大人数で会議に現れるインドネシア人
インドネシアでビジネスをされている皆さんの中には、「会食や会議などの際に、インドネシア人が想定していた以上の大人数で現れて驚いた」というご経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「元々2人だと聞いていたのに、当日打合せ場所に行くと10人近い人がいて戸惑った」というお話は、インドネシア人を相手にお仕事をされている方にとって「あるある」なお話かもしれませんね。
今回は、このような事態が起きた実際のシチュエーションと、インドネシア側の意図するところについてお話します。
戸惑う日本サイド
インドネシアへ出張に行かれた方から、インドネシア人での会議・会食参加者の当日の人数の多さに驚かされたという話を弊社も頻繁に耳にします。下記に例を挙げてみましょう。
例①:日本の投資家がインドネシアの某州政府関係者と会議を行った際のお話
事前確認の際には、インドネシア側は州副知事と秘書の2名だと聞いていたそうです。
しかし、実際に訪れてみると、直接この件に関係のない出席者が約10名も。人数が多すぎたため、日本側が本来話をしたかった2名とはしっかり話ができず、思うような結果を得られないまま解散となってしまいました。
例②:日本企業がインドネシア企業との業務提携に関する契約を進めている状況での会議のお話
実は以前にも「インドネシア側が必要以上の大人数で会議に現れる」という事態が起きていたため、事前に「次回は必要最低限の人数にしてほしい」と頼んでいたそうです。
直接の関係者でない参加者が増えることでの双方のデメリットも、下記の通り説明していました。
・既に説明した内容に対し、新しい参加者がもう一度同じ説明を求めてきた場合、余分な対応時間が発生する
・発言者が増えることで、関係者の意見を聞く時間が減ってしまう
しかし、やはりその次の会議にも、直接の関係者ではない人まで大勢参加していたのでした。
このような状況に対し日本サイドは、
「最小限の人数で必要な話をして物事を進めたいのに、大人数いるせいでうまくいかない」「なんで事前の確認無しに勝手に人数を増やしてしまうんだ」と戸惑ってしまうことが多いです。
それでは、インドネシア側はどんな意図を持っているのでしょうか?
インドネシアサイドの意図
インドネシア人が、約束以上の大人数で会議や会食に参加しようとするのには、以下のような考え方・理由があります。
①まず、その場を「重要な場」であると考えています。
自分たちが重要だと思っているビジネスの場にこそ、多くの人を連れていくことで、「いかに自分たちがその案件に対して本気か、関心があるのかを示したい」と思っています。
②今後のビジネスのことを考えています。
「共通の話題を持つ顔見知りを増やし、人脈を広げることで今回だけでなく今後のビジネスにもつなげたい」と思っています。
③おもてなし
わざわざ来てくれるのだから、複数人で対応することが「おもてなし」だと考えています。
基本的に、インドネシア側としては前向きな理由で、「良かれと思って」していることなのです。
対処方法
インドネシア側が勝手に大人数で現れることに対して戸惑うのは、日本側にとってはもっともなことです。
しかし、上述のように、インドネシア側が「良かれと思って」していること、また、それがインドネシアという国の文化であることを理解し、それを受け入れる姿勢を見せるのも大切なことではないかと思います。
「日本ではこうだから、こうしてください」と押し付けるだけではなく、インドネシアの文化や慣習も受け入れながら、その中で譲れないポイントをしっかりと伝えることが、歩み寄りの第一歩となるのではないでしょうか。
今回ご紹介したケースにおける対処法として、インドネシア側が大人数で参加してしまうことを受け入れるかわりに、会議の時間を長めに設定するということも一つの案です。
また、会議をスムーズに進められるよう、会議冒頭での仕切りをすることもポイントでしょう。
「今日は、特に○○さんと××さん(本来話をしたい、主要人物)に△△の点についての意見をお聞きしたい」と念を押したり、
「今回初めて参加される方のために、簡単に今までの経緯をまとめた資料をご用意しました。まずはこちらをご覧ください」と、初めての参加者への敬意を示してみることなども良い方法かと思います。
現地企業との直接のやり取りの際には、異文化コミュニケーションはつきもの
不安がある場合、インドネシア事情に詳しい企業にあらかじめ同行を依頼しておくことも、一つの手段となるでしょう。
実際に、「関係を構築したい企業ではあったが、日本式のやり方を一方的に押し付けられるやり方では、なかなか難しかった」という声も伺いました。
「なぜインドネシアの人々はこういう行動をするのだろうか?」といった背景を理解し、双方が歩み寄れるポイントを模索することが、ビジネス成功のために非常に重要です。
株式会社インドネシア総合研究所
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