【アルビー日記】インドネシア人材定着の鍵は江戸時代の教えにあり?Soken-School先生ワークショップ潜入レポート

皆様こんにちは、インドネシア総合研究所代表のアルビーです。
弊社がインドネシア現地にて運営代行を行っている「Soken-School」では、日本語や技能の教育だけでなく、日本企業で長く活躍し、定着できるインドネシア人材を育てるための独自の取り組みを続けています。今回のコラムでは、先日Soken-Schoolの先生方に向けて実施した「先生ワークショップ」の様子と、その中でご紹介した、日本の江戸時代にも重んじられていた「八徳」についてお話しさせていただきます。
インドネシアから日本へ渡航する特定技能人材は年々存在感を高めています。その一方で、日本企業からは「せっかく育成し、採用したインドネシア人材が数年で離職してしまう」「より良い条件を求めて転職を繰り返してしまう」といったお悩みをいただくことがあります。日本企業にとって、採用や教育には大きなコストと時間がかかるため、インドネシア人材の定着が進まず、早期離職や転職・ジョブホッピングにつながることは、経営上の大きな課題となり得ます。
この課題に対し、弊社では技術やマナーの教育だけでなく、インドネシア人材が日本企業で働くうえでの「心構え」や「価値観」の部分にまで踏み込んだ教育を行う必要があると考えています。そこで今回、Soken-Schoolで教鞭をとる先生方に向けて、日本の江戸時代の文学や道徳観にも見られる「八徳」の考え方を学ぶワークショップを実施いたしました。
先生方への「江戸の八徳」ワークショップ
このワークショップの目的は、インドネシア人の先生方自身が江戸の八徳の考え方を深く理解し、日々の授業や生徒とのコミュニケーションの中で、自然な形でインドネシア人材に伝えていただくことです。日本語や技能の科目とは別に、道徳の授業として一方的に教え込むのではなく、先生方が各Soken-Schoolで日本企業の文化や起業家精神(アントレプレナーシップ)を教える際の土台として、江戸の八徳の価値観を随所に取り入れていただくことを目指しています。
今回Soken-Schoolの先生に教えたのは江戸の八徳の以下の内容です。
- 仁(じん):他人への思いやり、慈悲の心
- 義(ぎ):人として踏み外してはならない正しい道、正義
- 礼(れい):他者への敬意や思いやりを形にした作法や規律
- 智(ち):物事の善悪を正しく判断する知識と知恵
- 忠(ちゅう):自分の役割や所属する組織に誠実に向き合うこと
- 信(しん):誠実であること、嘘をつかず約束を守ること
- 孝(こう):親を大切にし、敬う心
- 悌(てい):年長者や兄弟姉妹の間で、年上の者を敬い大切にする心
これらは江戸時代からの日本社会における人間関係や仕事に対する姿勢とも深く関わる考え方であり、現代の日本企業文化を理解するうえでも、一つの手がかりになります。
なぜ「江戸の八徳」がジョブホッピング対策・定着支援になるのか
日本企業で働くインドネシア人材の早期離職や転職・ジョブホッピングの背景には、労働条件や待遇面の違いだけでなく、「会社や上司、同僚に対する義理や誠実さをどう捉えるか」という価値観の違いも関係していると私は考えています。
例えば「忠」の考え方は、所属する組織や任された役割に対して誠意を尽くす姿勢につながります。また「義」は、お世話になった会社や上司への義理を大切にする気持ちに通じますし、「信」は、一度交わした雇用契約や約束を守り抜くという誠実さの土台になります。
こうした価値観をインドネシア人材が理解し、自分自身の中に落とし込むことができれば、目先の条件の良さだけで転職を繰り返すのではなく、腰を据えて日本企業で経験を積み、着実にキャリアを築いていく姿勢、つまり企業への定着が育まれると考えています。
先生方が江戸の八徳の考え方を背景として説明できれば、生徒たちは単なるルールとしてではなく、一つの価値観・文化として日本企業の慣習を理解できるようになります。
先生方の反応と今後の展開

今回のワークショップでは、先生方からも「なぜ日本人がここまで礼儀や義理を大切にするのか、これまで感覚的にしか説明できなかったが、江戸の八徳という切り口で整理できて腑に落ちた」といった声が寄せられました。日本人スタッフだけでなく、インドネシア人の先生方にとっても、日本企業文化を体系的に理解し、生徒に説明するための有効な枠組みになったようです。
弊社は今後も、Soken-Schoolの先生方を対象とした教員研修「Soken Teacher Academy」を継続的に実施し、日本語や技能だけでなく、日本企業文化や起業家精神、そして江戸の八徳に代表される価値観教育を体系的に取り入れてまいります。これにより、インドネシア人材の日本企業への定着率向上と、ジョブホッピング問題の緩和に貢献していきたいと考えています。
インドネシアから日本へ渡る人材の教育は、単に日本語能力や技能を身につけさせるだけでは不十分です。日本企業の文化的背景にある価値観まで理解したインドネシア人材を育てることこそが、日本企業とインドネシア人材の双方にとって幸せな長期就労、そして定着につながる道だと弊社は考えています。
弊社インドネシア総合研究所では、こうした教育を通じてインドネシア人材の定着支援を行っております。インドネシア人材の採用や教育、定着にお悩みの企業様は、ぜひ一度弊社までお気軽にご相談ください。




