【アルビー日記】インドネシア人材が「すぐ辞める」本当の理由と育成型採用で定着率を上げる方法

3分でわかる!この記事のポイント

外国人材の採用・定着に課題を抱える企業へ
「採用してもすぐ辞めてしまう」「また一から育て直し」——インドネシア人労働者の転職問題に悩む日本企業の担当者の方に、その根本原因と実践的な解決策を提供します。

「転職の連鎖」は借金問題が引き金
インドネシア人労働者の短期離職は、わがままや忍耐力不足ではありません。渡航前に積み上がった高金利の非公式借金(年利20〜23%)が、来日後の「より高い給与を求めた転職行動」を引き起こす構造的な問題であることを解説します。

「育成型人材確保モデル」で定着率を改善
インドネシア総合研究所が推進する同モデルは、大企業向け「特待生制度」と中小企業向け「奨学金スキーム」を軸に、教育・融資・モニタリングを一体的に提供。「紹介して終わり」の従来型エージェントとは根本的に異なるアプローチです。

企業・労働者の双方にメリット
採用・育成コストの削減と生産性向上を実現しながら、インドネシア人材が借金プレッシャーから解放され、安心してキャリアを積める環境を実現します。

⏱ この記事の読了目安:約5分

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こんにちは。インドネシア総研代表のアルビーです。

近年、日本における外国人材の受け入れは急速に拡大しています。特にインドネシアは、若年層人口が豊富で日本語学習への意欲が高く、日本企業にとって重要な人材供給国となっています。技能実習制度や特定技能制度を通じて、多くのインドネシア人労働者が日本各地の企業で活躍しています。

しかし現場では、多くの日本企業が深刻な悩みを抱えているのも事実です。「せっかく採用・育成した人材が短期間で辞めてしまう」「また新しい人材を一から採用・教育しなければならない」——このような声が、インドネシア人労働者を受け入れる企業から繰り返し聞かれます。

この問題の背景には、単なる「相性の問題」や「文化の違い」だけでは説明しきれない、構造的な課題が存在しています。本コラムでは、インドネシア人材の転職問題が生まれる根本原因と、その解決策としてインドネシア総合研究所が取り組む「育成型人材確保モデル」について詳しく解説します。

目次

インドネシア人労働者が抱える「見えない借金問題」

インドネシアから日本に来る労働者(PMI:Pekerja Migran Indonesia)は、渡航前にLPK(職業訓練機関)での日本語教育や技能訓練を受ける必要があります。この教育・訓練にかかる費用や渡航費用は決して安くなく、多くの場合、候補者本人や家族が資金を工面しなければなりません。

問題は、こうした費用の調達方法にあります。インドネシアでは金融リテラシーの水準が地域によって大きな差があり、農村部や地方出身の候補者の中には、正規の金融機関を利用した借り入れが難しい環境にある方も少なくありません。そのため、家族・親族・知人・近隣住民、さらには非公式の高利貸し(インフォーマル・レンダー)からの借り入れに頼らざるを得ない状況が生まれています。

こうした借金には以下のような問題が生じやすいです。

  • 記録がない・曖昧な借入:複数の知人・親族から少額ずつ借りているケースが多く、借入総額を本人が把握していないことがある
  • 複数の借入先:家族、友人、近所の人、インフォーマルな業者など、多方面から同時に借り入れている
  • 高金利・不透明な条件:非公式の高利貸しからの借入は金利が年20〜23%(フラット)に達することも多く、条件が不透明なまま契約されるケースも存在する

インドネシアにいる段階では、これらの問題はさほど表面化しません。しかし、日本に到着して実際に働き始めると、状況は一変します。

借金問題が引き起こす「転職の連鎖」

日本での勤務が始まると、インドネシアに残った家族のもとに借入先から督促の連絡が届くようになります。なかには、家族が日常的にプレッシャーをかけられたり、非公式の貸金業者からの強引な取り立てに怯えたりするケースもあります。

そうなると、日本で働くインドネシア人労働者は仕事に集中できなくなります。「とにかく今よりも給料の高い職場に移れば、もっと多く仕送りができて問題が解決する」——そのような思考に至るのは、ある意味で自然なことかもしれません。

月に1万円でも給料の高い職場があれば転職を考える、という行動パターンが生まれるのです。しかし、これは多くの場合、本質的な解決にはなりません。

転職先の給与が高くても、生活環境や住居費が変わることで手取りが増えないケースも多々あります。また、新しい職場での人間関係の構築、仕事の習熟、信頼関係の蓄積をゼロからやり直すことになるため、中長期的に見るとキャリア形成に大きなロスが生じます。さらに、転職を繰り返すことで「この人は長続きしない」という評価がつき、日本での就労機会そのものが狭まっていく悪循環に陥る危険性もあります。

インドネシア人材の転職問題は、単なる「わがまま」や「忍耐力不足」ではなく、出発前から積み重なった経済的・心理的なプレッシャーが積み上がった結果として起こっているのです。

悪循環を助長する「一部エージェントの問題」

この構造的な問題に輪をかけているのが、一部の人材紹介エージェントの在り方です。

人材紹介ビジネスの収益は、基本的に「人材を紹介することで得られる紹介手数料」に依存しています。そのため、一部のエージェントは「いかに多くの人材を紹介するか」という思考に偏りがちです。

具体的には、日本企業からすでに紹介手数料を受け取っているにもかかわらず、インドネシア側にも求人情報を高値で「販売」し、二重に収益を上げるケースがあります。さらに問題なのは、そのエージェントが労働者の個人情報データベースを保有しているため、当該労働者が転職を考えたときに再び仲介役として登場し、新たな紹介手数料を得るという構造です。

こうして「人材を送り込む→転職させる→また送り込む→また転職させる」という悪循環が生まれ、本来であれば企業側・労働者側双方にメリットをもたらすべき人材紹介が、特定のエージェントにとっての「リピートビジネス」になってしまっています。

この問題を放置すれば、インドネシア人材に対する日本企業の信頼そのものが損なわれかねません。インドネシアからの労働者採用を持続的・健全なものにするためには、業界全体の構造変革が必要です。

インドネシア総合研究所が提唱する「育成型人材確保モデル」

こうした課題を解決するために、インドネシア総合研究所(以下、インドネシアソケン)は「育成型人材確保モデル」を推進しています。このモデルの核心にあるのは、「紹介して終わり」から「育成して定着させる」という発想の転換です。

■特待生制度(大企業向けモデル)

規模の大きな企業向けには、企業が教育・育成費用を直接負担する「特待生制度」を採用しています。具体的には、採用リクルート・育成費用として60万円、管理費用として20万円(合計80万円)のコストが発生しますが、これには内田クレペリン検査をはじめとした性格・適性検査が含まれており、採用時点での企業と労働者のマッチング精度を高めることができます。

内田クレペリン検査は、仕事に対する集中力・作業の安定性・精神的なタフネスなどを測定する信頼性の高い検査です。面接だけでは見えない労働者の「実際の仕事ぶり」を事前に把握することで、採用後のミスマッチを大幅に減らすことができます。

採用は、インドネシアソケンの連携P3MI(インドネシア人材派遣会社)および有料職業紹介会社を通じて行われ、透明性の高いプロセスで進められます。

■奨学金スキーム(中小企業向けモデル)

特待生制度を導入するほどの規模でない企業向けには、協同組合「SOKEN DAYA UTAMA」を通じた奨学金スキームが用意されています。

現状、インドネシア人労働者候補者(CPMI)向けの融資金利は20〜23%(フラット)が相場となっており、これが候補者の大きな経済的負担となっています。奨学金スキームでは、受け入れ企業がSOKEN DAYA UTAMA協同組合に資金を預け入れ(年利5%程度の運用利回りを得ながら)、協同組合がその資金をCPMIに対して年利13〜15%で融資します。

この仕組みにより、企業は安定した運用収益を確保しつつ、労働者候補者はこれまでの高利借金問題から解放され、透明性の高い一本化された融資先を持つことができます。

「SOKEN SCHOOL」と「SOKEN DAYA UTAMA」による一体型モニタリング

育成型人材確保モデルの大きな特徴のひとつが、教育・融資・モニタリングを一体的に管理する仕組みです。

弊社がインドネシア現地で運営代行を行うSOKEN-SCHOOLは、インドネシア人材への日本語教育を担う教育機関です。インドネシア各地のLPK(職業訓練機関)の教師陣を認定・サポートするとともに、日本語能力の進捗・定着をモニタリングします。教育の質を標準化することで、「面接は上手だが実際の仕事は……」というミスマッチを防ぐことができます。

従来のLPKの中には、面接対策や模擬面接に偏った教育を行うところも多く、候補者が面接時に非常に優秀に見えるよう訓練されていることがあります。しかし実際に職場に入ると、実務スキルやコミュニケーション能力が企業の期待値を下回るケースが生じ、受け入れ企業の失望・不満につながることがありました。SOKEN-SCHOOLでは、面接パフォーマンスではなく実際の業務遂行力を高めることを重視した教育カリキュラムを提供しています。

SOKEN DAYA UTAMA協同組合は、融資の管理と返済モニタリング、そして金融リテラシー教育を担当します。インドネシア人労働者が日本での勤務中も安定して返済を続けられるよう、計画的な返済プランの策定から、万が一の際の相談窓口まで、包括的なサポートを行います。

この協同組合による返済管理は、単なる債権回収ではなく、労働者が「借金と向き合い、計画的に返済し、将来の資産形成を考える」力を養う金融リテラシー教育の一環として位置づけられています。

SOKEN-SCHOOLとSOKEN DAYA UTAMA協同組合が連携してモニタリングを行うことで、日本語能力の向上状況と経済的安定性の両面から、インドネシア人材の定着を支援します。

「定着重視」がもたらすメリット:企業・労働者の双方にとっての価値

育成型人材確保モデルは、インドネシア人労働者にとっても、受け入れ企業にとっても、大きなメリットをもたらします。

企業側のメリット

  • 採用・育成コストの削減:転職による繰り返しの採用・教育が不要になり、長期的なトータルコストが下がる
  • 生産性の向上:定着した人材がスキルと経験を蓄積し、職場全体の生産性が高まる
  • 安定した労働環境の構築:人材の入れ替わりが減ることで、チームワークや職場文化が醸成される
  • 採用時のマッチング精度向上:性格・適性検査の実施により、事前にミスマッチのリスクを低減できる

インドネシア人労働者側のメリット

  • 経済的プレッシャーからの解放:一本化された透明な融資により、非公式借金問題に悩まされることなく安心して仕事に集中できる
  • キャリアの継続的な成長:同じ職場で長く働くことでスキルと評価が積み上がり、昇給・昇進のチャンスが広がる
  • 将来の見通しが立てやすい:返済計画が明確で、日本語能力・スキルの成長が可視化されているため、中長期的なキャリアプランを描きやすい
  • 日本社会への定着:安定した就労環境が、日本での生活そのものの充実にもつながる

インドネシア人材採用の未来:「紹介して終わり」からの脱却

インドネシアは、今後も日本にとって重要な人材供給国であり続けるでしょう。日本の少子高齢化による労働力不足は深刻であり、インドネシアをはじめとした東南アジアからの外国人材受け入れは、日本の産業・社会を支える上で欠かせない要素となっています。

だからこそ、今求められるのは「短期的な人材紹介ビジネス」から「長期的なパートナーシップに基づく人材育成・定着支援」への転換です。

弊社が推進する育成型人材確保モデルは、この転換を実現するための具体的な仕組みです。教育・融資・モニタリング・キャリア開発を一体的に提供することで、インドネシア人材が日本で安心して、そして長く活躍できる環境をつくります。

「インドネシアから良い人材を採用したい」「採用した人材に長く活躍してほしい」——そのようなお考えをお持ちの企業の皆様は、ぜひインドネシア総合研究所にご相談ください。インドネシアでの採用・教育・定着支援について、豊富な知見と実績をもとにご提案いたします。

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