【コラム】特定技能外国人ドライバー(運送業)人材とインドネシア人材の活用について

すでに周知の事実の通り、日本の人口減少と労働力不足は非常に深刻です。日本の総人口は減少傾向にあり、2060年には9000万人を下回ると予測されています。また、高齢化が進み、労働力人口の確保が喫緊の課題となっています。
人材面では、2030年問題として、以下の施策が重要視されています。
- 女性の活躍推進
- シニア層の活躍推進
- 生産性向上
- 外国人雇用の促進
では、運送業界における人手不足の状況はどうなっているのでしょうか?
日本のドライバーの年齢層を見ると、若年層と高齢層の割合が低く、中年層が多いのが現状です。物流業界の持続可能性を確保するためには、外国人ドライバーの活用が急務とされています。
現在日本では、外国人労働者が急増しています。在留外国人数は2012年から2023年にかけて約1.5倍に増加(約203万人→約341万人)しており、更に今後は特定技能制度の導入により、外国人雇用の拡大が期待されています。
特定技能制度についてはこちらのコラムをご覧ください。

自動車運送業における外国人雇用
自動車運送業における外国人雇用について、受け入れ可能な職種と見込み採用数は以下のような数字となっています。
職種 | 受け入れ見込み人数 |
トラック運転手 | 15,000人 |
バス運転手 | 3,000人 |
タクシー運転手 | 6,500人 |
運転免許要件は以下の通りです。
- 日本の運転免許(普通免許・二種免許)の取得が必要。
- 外国免許の切替(外免切替)が必須。
- バス・タクシー運転手:N3以上の日本語能力が必要。
- トラック運転手:N4以上の日本語能力が必要。
- 特定活動期間(6か月~1年)内に免許を取得しなければならない。
採用プロセスとしては、以下のようなルートが考えられます。
採用ルート
国内採用
- 技能実習修了者
- 特定技能転職者
- 留学生
- 永住者/配偶者
海外採用
- 技能実習満了帰国者
- 特定技能希望者
特定活動ビザの活用を活用する場合は、以下のような条件となります。
- 運転免許取得期間(最大1年)を特定活動ビザで滞在。
- 免許取得後、特定技能1号に移行し正式に就業。
教育・サポート体制
特定技能のドライバーとして就職するためには、以下のような教育が必要となります。
日本語教育
- ビザ取得のために、日本語能力試験(JLPT)N4以上が必須。
- トラック運転手はN4、バス・タクシー運転手はN3以上が求められる。
- 事故防止・社内コミュニケーションのためにも日本語教育が重要。
安全教育
- 特定技能試験や外免切替試験ではカバーできない日本の交通ルールや標識を学ぶ必要がある。
- 安全教育の未整備は事故リスクを高めるため、入念な研修が必要。
登録支援機関の活用
- 外国人の生活サポート(住居確保、銀行口座開設、行政手続き支援など)を行う。
外免切替の課題
試験の難易度と対策について、以下のような課題があります。
- 外免切替試験の合格率は30%と低い。
- 試験予約が混雑し、2~3か月待ちも発生。
- 外免切替成功のため、事前研修と試験対策が必須。
費用とコスト
受け入れ費用の内訳として、以下のようなものが発生します。
- 人材紹介料
- 免許取得費用
- 渡航費
- ビザ申請費用
- 登録支援機関への委託料
以上の内容を、コスト、即戦力性、人材の集客の観点から表にまとめると以下のようになります。
日本語教育・試験対策費用
採用方法 | コスト | 即戦力性 | 人材の集客 |
国内採用(日本式免許あり) | 高 | 高 | 低 |
国内採用(日本式免許なし) | 中 | 低 | 中 |
国外採用(外国式免許あり) | 低 | 中 | 高 |
国外採用(外国式免許なし) | 低 | 低 | 高 |
企業が準備すべきポイント
以下は、特定技能人材を受け入れる企業側が準備をするべきポイントです。
登録支援機関の選定
- 外国人支援の実績が豊富な機関を選ぶことが重要です。
外国人との共生
文化や宗教の違いを理解し、適切な職場環境を整備する必要があります。特にインドネシア人の受け入れについては、宗教色の強さから少し抵抗を感じる方も多いかもしれませんが、実は信仰度合は個人差があり、また多言語習得に長けているといった特性もあります。
安全・言語対策
- 専門的な翻訳ツールの導入や、安全教育の充実が必要となります。
弊社では、インドネシア人特定技能生の受け入れに当たり、毎月の翻訳・通訳サービスや、アドバイス、受け入れ前の異文化講習なども行っております。詳しくはこちらをご覧ください。


先日、特定技能に自動車運送業が追加されてから初めて行われた試験に、インドネシア人男性が合格したというニュースがありました。
これからますます、外国人材のドライバー採用に注目が集まるでしょう。
インドネシア人材の活用、異文化理解、インドネシアにおける日本語学校の設立などについてご興味がある方はぜひお気軽に弊社までお問合せください。