【コラム】インドネシアにおける喫煙の現状と健康・経済への影響

世界保健機関(WHO)の2021年のデータによると、世界ではたばこが原因で引き起こされる病気で毎年800万人以上が亡くなっています。

インドネシアはたばこ大国で、2021年のインドネシアにおける男性喫煙者の割合が世界で最も高いことがわかっています。

本コラムでは、インドネシアにおける喫煙の現状と、それが健康、経済に及ぼす影響についてご紹介します。

参考WEBサイト:https://rspj.ihc.id/artikel-detail-395-Tantangan-Serius-Bagi-Kesehatan:-Meningkatnya-Jumlah-Perokok-di-Indonesia.html

目次

インドネシアの年齢別喫煙率

2023年時点で、インドネシアの喫煙者数は約7,000万人に上ります。

以下は、インドネシアにおける年代別の喫煙率です。

出典:Persentase Penduduk Usia 15 Tahun Ke Atas yang Merokok dalam Sebulan Terakhir Menurut Provinsi dan Kelompok Umur, 2023 を基に弊社作成(閲覧日:2025年5月19日) 
https://www.bps.go.id/id/statistics-table/3/ZGxsdU15dEtNWEpNYmpCSUsyVkdaRnBpVkV0dVFUMDkjMyMwMDAw/persentase-penduduk-umur-15-tahun-ke-atas-yang-merokok-dalam-sebulan-terakhir-menurut-provinsi-dan-kelompok-umur.html?year=2023

年齢別人口に対して喫煙率が高いのは、25〜34歳、35〜44歳、45〜54歳の年齢層であることがわかります。

また、15歳〜24歳の若者でも18%もの割合で喫煙をしており、若くして喫煙を行なっていることがわかります。

インドネシアの喫煙と健康への影響

世界保健機関(WHO)のデータによると、インドネシアにおける喫煙が原因の死亡者数は、年間約30万人にのぼると推定されています。

同国は、世界で2番目に多くたばこを消費している国でありながら、喫煙率の上昇を抑えるための抜本的な対策は、いまだ十分に講じられていないのが現状です。

また、インドネシアにおける主要な死因の一つである癌(がん)は、その多くが喫煙によって引き起こされており、たばこが国民の健康に深刻な悪影響を与えていることが明らかになっています。

参考WEBサイト:https://www.jawapos.com/kesehatan/015567015/8-juta-jiwa-meninggal-di-indonesia-akibat-merokok
https://www.siloamhospitals.com/informasi-siloam/artikel/waspada-5-jenis-penyakit-penyebab-kematian-tertinggi-di-indonesia

インドネシアの喫煙と家計への影響

2024年のインドネシア社会経済調査(Susenas)によると、世帯主が喫煙者である世帯では、非喫煙世帯に比べて食費が少なく、摂取カロリーやタンパク質の量も低い傾向にあります。

これは、健康維持のために必要な食材を購入するお金が、たばこ代に充てられていることを示唆しています。特に、貧困層ほどこの傾向が顕著です。

なお、喫煙にかかる一人あたりの平均支出は月額94,476ルピア(約830円)で、これは食料品カテゴリーの中で第3位の支出項目にあたります。

参考WEBサイト:https://www.inilah.com/menakar-ulang-konsumsi-rokok-dalam-agenda-pembangunan-gizi

インドネシアの若者の喫煙状況

インドネシア中央統計局(BPS)の2024年データによると、16歳〜30歳の若者のうち23.08%が喫煙者で、1日平均12本のたばこを消費しています。

さらにそのうちの4.46%は、1日25本以上を吸うヘビースモーカーです。

また、若者の関心を引くため、たばこ製品の広告にはSNSが多く活用されています。

中でもInstagramを通じたプロモーションが最も多く、音楽フェスティバルやスポーツイベントでもブースを設けるなど、積極的な販促活動が行われています。

若年層の喫煙習慣は、将来的な健康リスクを高めるだけでなく、国家全体の福祉や医療費にも影響を与えるため、インドネシア政府は深い懸念を示しています。

参考WEBサイト:https://data.goodstats.id/statistic/23-pemuda-indonesia-merokok-rata-rata-12-batang-per-hari-qCPDM

インドネシア政府による規制

たばこに関する規制は、健康に関する法律第17号2023年の実施規則に関する政府規則(PP)によって定められています。

販売規制

たばこのばら売りが規制されており、21歳未満、妊婦のたばこの購入も禁止されています。

また、販売場所については出入り口付近や人がよく訪れる場所でのたばこ製品の販売が禁止されています。

広告規制

パッケージの前面と背面の上部に、面積の50%を覆う健康警告の画像を含める必要があると規定されています。

また、たばこ製品や電子たばこの広告は、医療施設、教育施設、子どもの遊び場、礼拝所、公共交通機関の禁煙エリアに広告を掲載することが禁止されています。

参考WEBサイト:https://kemkes.go.id/eng/tekan-konsumsi-perokok-anak-dan-remaja#:~:text=Kurangi%20Prevalensi%20Perokok%20Pemula&text=Berdasarkan%20data%20Survei%20Kesehatan%20Indonesia,perokok%20berusia%2010%2D18%20tahun.
https://www.bps.go.id/id/publication/2025/02/27/f5354dd7663cbb541b795a9e/cerita-data-statistik-untuk-indonesia—ketimpangan-gizi-akibat-kebiasaan-merokok-di-berbagai-kelas-ekonomi.html

本コラムでは、インドネシアの喫煙の現状についてご紹介しました。

インドネシアでは喫煙に関する規制は徐々に整備されてきているものの、実態としては若者を中心に喫煙が広がり続けている状況です。

また、家庭の経済状況や栄養状態にまで影響を及ぼしている現実を考えると、より効果的な教育や規制の強化が求められる段階にあると言えるでしょう。

弊社インドネシア総研では、現地市場の動向調査やビジネス展開支援を行っております。ご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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