プラボウォ政権が推進する無償給食プログラム(MBG)の最新動向と市場への影響

インドネシア無償給食プログラム(MBG)は、子ども、妊婦、授乳中の母親を対象に、栄養価の高い食事を無料で提供する国家プログラムです。

インドネシアのプラボウォ大統領は、2026年1月6日に行われた新年の記者会見において、同プログラムがすでに約5,500万人の子どもたちに提供されていると明らかにしました。

本コラムでは、インドネシア無償給食プログラムの最新動向と、その影響についてご紹介します。

目次

2026年新年のプラボウォ大統領の会見

インドネシアのプラボウォ大統領は、2026年1月6日(火)に行われた新年の記者会見の中で、無料給食プログラムについて言及をしました。

会見の中で、インドネシアの子供たちの栄養失調の割合が20〜30%を超えていることを明らかにしています。

また、インドネシアでは何千万人もの子供たちが朝食に食べずに学校に行っており、無料給食を通してこれらの栄養不足を解消し、国民の未来を守るため政府の計画的な介入が必要と述べています。

これらの発言から、無償給食プログラムがインドネシア政府にとって重点政策の一つであることが伺えます。

参考WEBサイト:インドネシア共和国官房公式サイト「プラボウォ大統領:無料給食プログラムは、子供の栄養問題に対する国の答えです」

インドネシア無償給食プログラムによる食中毒の問題

約1年間で5,500万人に提供されている無償給食ですが、一方で食中毒の発生が問題となり、保護者や生徒の間で不安の声が上がっています。

インドネシア教育監視ネットワーク(JPPI)によると、2026年1月1日から13日までの間に、無償給食プログラムによる食中毒が疑われるケースは1,242人に達しました。

被害は中部ジャワ州、東ジャワ州、スラウェシ州、バンテン州、東ヌサトゥンガラ州、西ヌサトゥンガラ州など、広範囲に及んでいます。

直近では、2026年1月28日に中部ジャワ州のクドゥス第二公立高校で集団食中毒が発生しました。

同校の記録によると、全校生徒1,178人のうち521人と教師24人が無償給食を摂取し、そのうち52人が入院しています。

当日のメニューは、ご飯、アヤムスウィール(裂いた鶏肉料理)、スープ、茹でもやし、揚げテンペ、リュウガンでしたが、アヤムスウィールに異臭を感じたという声もありました。

無償給食を提供するSPPG(栄養充足サービスユニット)は、今回の事案について謝罪するとともに、再発防止に努めるとしています。

参考WEBサイト:BBC NEWSインドネシア公式サイト「2026年1月中のMBGによる食中毒被害は約2,000人に達しました。なぜ起こったのでしょうか?」

無償給食プログラムによる卵・鶏肉価格への影響

インドネシア中央統計局(BPS)によると、卵の平均価格は基準価格(HAP)を上回っており、2025年11月第2週には前月比で0.32%上昇しました。

価格上昇の要因の一つとして、無償給食プログラムで卵が主要食材として使用されている点が挙げられます。

また、鶏肉価格も上昇傾向にありますが、EVIDENT研究所の経済学者リナタニア氏は、鶏肉価格上昇の主因は飼料価格の上昇であり、無償給食プログラムだけが要因ではないと指摘しています。

ただし、無償給食による需要増加が市場に一定の影響を与えていることも事実であり、卸業者や養鶏農家にとっては追い風となっている側面もあります。

参考WEBサイト:TEMPO公式サイト「MBG需要が卵の価格上昇を引き起こす」
ANTARA公式サイト「経済学者は、MBGが鶏肉価格の上昇を引き起こしたことについて根拠がないと述べている」

インドネシア政府は養鶏場の建設を計画

インドネシア農業省によると、政府は約20兆ルピアを投資し、大規模な養鶏場を開発する計画を進めています。

これは、大手養鶏会社の年間設備投資額(通常2〜3兆ルピア)と比較すると、7〜10年分に相当する規模です。

本政策の主な目的は、無償給食プログラムに不可欠な鶏肉・卵の安定供給確保と、食料安全保障の強化にあります。

無償給食は1日あたり数千万人に提供されており、その規模は世界的ファーストフードチェーンであるマクドナルドの1日あたりの食料供給量を上回るとも言われています。

また、BPSのデータによると、インドネシアにおける鶏肉の年間一人当たり消費量は2023年に約8kgに達し、過去5年間で大きく増加しています。

こうした需要拡大を背景に、養鶏場開発への大規模投資は、インドネシア政府にとって極めて重要な政策と位置付けられています。

参考WEBサイト:CNBC公式サイト「政府は養鶏場の建設を望んでいますが、JPFAとCPINにどのような影響があるのでしょうか」
METROTV公式サイト「プラボウォ氏:MBGは1ヶ月以内にマクドナルドの1日あたりの生産量を上回るだろう」

本コラムでは、インドネシアの無償給食プログラム(MBG)の最新動向と、その市場への影響についてご紹介しました。

同プログラムは、子どもの栄養改善という国家的課題への対応と同時に、食材の安定供給、品質・衛生管理、物流体制の整備といった分野において、新たなビジネス機会を生み出しています。

特に、卵・鶏肉を中心とした需要拡大や、政府による大規模な養鶏場建設計画は、食品、農業、飼料、設備、コールドチェーンにおいて、日本企業の参入余地があるのではないでしょうか。

弊社インドネシア総研では、最新の現地情報の提供から、現地調査・市場レポートの作成まで幅広く対応しております。

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