【コラム】インドネシアの貧困状況

近年、経済発展を遂げているインドネシアですが、依然として貧困に苦しむ人々が存在しています。貧困人口が増加すると、犯罪率の上昇や教育水準の低下を招き、国の治安や経済にも悪影響を及ぼします。
今回のコラムでは、インドネシアの貧困状況について紹介します。
インドネシアの貧困ライン
貧困ラインとは、貧困層の割合を把握するために用いられる指標で、生活に最低限必要な収入の基準を示します。
この貧困ラインを下回る収入しか得られない人々が「貧困層」と定義されます。
2024年9月時点のインドネシアの貧困ラインは、一人あたり月あたり Rp595,242(約5,575円) です。
インドネシアの貧困層の割合
インドネシア中央統計局(BPS)によると、2024年9月時点での貧困層の割合は 8.57% であり、2023年9月と比較して 0.79% 減少しました。
また、2024年9月時点の貧困人口は 2,406万人 で、2023年9月と比べて 184万人 減少しています。
参考WEBサイト:https://www.foodbusinessafrica.com/global-cocoa-prices-surge-123-in-2024-amid-supply-deficit/
インドネシアの貧困人口の推移
以下は、2014年から2024年の10年間のインドネシアにおける貧困人口の推移です。

上図より、インドネシアの貧困人口は10年間で減少していることがわかります。
また、2020年は新型コロナウイルスが蔓延したことが原因で、貧困人口が277万人増加しました。
インドネシアの島別の貧困人口と割合
以下は、インドネシアの島別の貧困人口です。

上図から、インドネシアの島別の貧困人口はジャワ島が最も多く、1,262万人で、インドネシア全体の貧困人口の約半数を占めている ことがわかります。
一方で、貧困人口が最も少ないのはカリマンタン島 です。
以下は、インドネシアの島別の貧困人口の割合です。

貧困人口で見ると、島の人口が多いジャワ島が最も多いですが、貧困率で見ると、マルク諸島・パプア諸島が最も高いことがわかります。
また、貧困率が最も低いのはカリマンタン島で、同島は貧困人口・貧困率ともに最も低い島であることがわかります。
インドネシアにおける貧困の原因
以下はインドネシアにおける貧困の原因です。
1. 就職の困難さ
高卒や専門学校卒の人は、大学卒の人との競争において不利になりやすく、安定した職に就くことが難しい状況にあります。
2. 高齢者の労働困難
高齢になると働くことが難しくなり、十分な収入を得られず貧困に陥るケースがあります。
3. 低所得
物価の上昇に対して賃金の伸びが追いつかず、生活が苦しくなる人が増えています。
4. 失業
新型コロナウイルスの影響で多くの人が職を失い、生活が困窮しました。特に観光業やサービス業で顕著でした。
5. 不適切な援助
政府は金銭・食料・衣類などの援助を行っていますが、配布の不公平や不正などが問題となり、必要な人に適切に届かないことがあります。
インドネシアの貧困問題は、就職の難しさや低所得、失業、高齢者の労働困難など、さまざまな要因が影響しています。さらに、政府の援助が十分に機能していないことも、貧困からの脱却を難しくする要因の一つです。
参考WEBサイト:https://jdih.sukoharjokab.go.id/berita/detail/kemiskinan-di-indonesia-yang-tak-kunjung-usai
インドネシア政府による対応
インドネシアのプラボウォ大統領は、貧困問題に対して早期に対策を講じる意向を示しています。
その対策のひとつとして、「MBGプログラム(無料栄養食プログラム)」が実施される予定であり、ており、妊婦や乳幼児、学生を対象に無料の食事が提供される見込みです。
このプログラムには71兆ルピアの予算が割り当てられ、約18万5,000人の労働者が関与するとされています。
スリ・ムルヤニ財務大臣は、このプログラムにより貧困率が0.19%削減される可能性があると述べています。
参考WEBサイト:https://kemensos.go.id/berita-terkini/wakil-menteri-sosial-1/Wamensos:-Presiden-Prabowo-Ingin-Masalah-Kemiskinan-Secepatnya-Selesai
https://voi.id/ekonomi/459056/sri-mulyani-sebut-makan-bergizi-gratis-bisa-kurangi-kemiskinan-0-19-persen
今回のコラムでは、インドネシアの貧困状況についてご紹介しました。
インドネシアへビジネス進出するうえでも、貧困問題の現状を理解し、適切な対応を考えることが重要です。
政府の対策や社会の動向を把握し、貧困層への支援や雇用創出を視野に入れた事業展開も必要になってくると言えるでしょう。
弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察を行っております。
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