【ニュース】インドネシアKPPU(事業競争監視委員会)と会合を行いました
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先日、インドネシア事業競争監視委員会のヒルマン・プジャナ(Hilman Pdjana)氏が弊社東京オフィスにご来社になり、KPPUの役割に関する議論を行う会合を開きました。
インドネシア事業競争監視委員会は、英語ではICC:Indonesia Competition Commission、インドネシア語ではKPPU:Komisi Pengawas Persaingan Usahaと呼ばれています(以下KPPUと表記)。
この会は、企業の合併および買収(M&A)をテーマに、国内最大手の法律事務所である西村あさひ法律事務所にもご参加いただき実施されました。
KPPUの役割と権限
KPPUは、企業競争を監督する政府機関です。独占禁止法の監督機関として、調査や反競争的行為に対する罰則の執行など、法律の執行権限を有しています。
KPPUは、インドネシアの市場経済化の取り組みとして、1999年3月に制定・公布された競争法に基づいて設立されました
インドネシア競争委員会(KPPU)は、独立した機関として、1999年の法律第5号「独占的慣行および不公正な事業競争の禁止法」の実施を監督する役割を担っています。
KPPUの設立については、ビジネスチャンスが社会全体の開発への参加を可能にしておらず、一部の経済セクターでのみ発展している状況から始まりました。この状況は、一方で適切に実施されていないさまざまな形態の政府政策により市場の歪みを引き起こし、他方で民間企業の発展が不健全な競争を大きく反映していることに起因しています。一般的には、政治的エリートに近い企業家が過剰な利益を得ており、これが社会的不平等を引き起こしています。これは、真の企業家精神に裏付けられていない一部の大企業の出現により明らかであり、これが経済の回復力の脆弱性や競争力の欠如に寄与しています。このような状況では、政府がインドネシアのビジネス活動を慎重に検討し、再編成して、健全で適切に発展させる必要があります。そのため、1999年法律第5号が制定され、その実施を監視するために、政府や他の当事者から独立した機関としてKPPUが設立されました。
この機関は、インドネシアの事業競争を健全で競争力のあるものにするために設立され、独占的慣行や不公正な競争を防止することを目的としています。
主な任務と権限
法執行
KPPUは、事業者による不公正な競争の疑いがある事案を調査・審査・決定する権限を持っています。この権限は1999年法律第5号で規定されています。
助言および考察の提供
法執行に桑手、政府の政策が不公正な競争を引き起こす可能性がある場合に助言を提供し、公正なビジネス環境を維持します。これは公正で競争力のあるビジネス・エコシステムを維持することを目的としています。
合併および買収の監督
KPPUは、特定の基準を超える資産価値や売上を伴う合併や買収について通知を受け、評価する権限を持っています。このプロセスの目的は、インドネシアのビジネスにおける競争において悪影響が及ばないようにするためです。
通知義務
1999年法律第5号では、事業体の合併または統合、資産価値および/また売上高が一定額を超える株式の取得は、合併、統合、または買収の日から30日以内にKPPUに通知を行う必要があります。KPPUに通知する義務は、KPPU規則内で具体的に規定されています。この通知義務は、関係する事業主体によって実行される必要があります。通知を提出する義務がある事業主体には、以下が含まれます。
- 合併を受け入れる事業主体
- 合併の結果生じる事業主体
- 株式取得を実行する事業主体
- 資産買収を実行する事業主体
この通知の提出については、事業主体は法定代理人に代理を依頼できます。
通知義務の規定については以下を含みます。
1.資産および売上額の制限
– 合併、統合、または買収による資産額>2.5兆ルピア、または売上額>5兆ルピア
– 銀行部門の場合、資産額>20兆ルピア
2.資産および売上額の計算
– 合併、統合、または買収に関係する各事業主体の資産または売上、または直接的/間接的に管理されるものの合計に基づく
3. 支配権の変更
– 合併、買収、または資産の引継ぎにおいて、ある事業主体から別の事業主体への支配権の以降
4.関連事業主体
– 取引に関連事業主体が関与する場合、取締役や従業員が共通である場合を除き通知は不要
5. インドネシアにおける資産または販売の取引
– 市場支配力を高める資産買収には通知が必要
※但し以下の場合を除く
・取引額が2,500億ルピア未満、または2.5兆ルピア未満の場合
・日常的な取引または関係のない資産
パートナーシップの監督
政府規則2013年第17号および政府規則2021年第7号によって強化された2008年法律第20号を通じて、KPPUは大企業と中小零細企業(MSME)間のパートナーシップの実施を監督する任務も負っています。ここでのパートナーシップ活動とは、相互の必要性、信頼、強化、利益の原則に基づく、直接的および間接的なビジネス連携における協力を指します。パートナーシップには、パートナーシップモデルに従い生産および加工、マーケティング、資金調達、人材、技術のスキルを移転するプロセスなどが含まれます。パートナーシップは、下請け、フランチャイズ、一般貿易、流通及び代理店、サプライチェーンなどの様々なモデル、及び利益分配、運用協力、合弁事業、アウトソーシングなどの形式を通じて実行されます。この監督は、相互に利益のある公平な関係を築くことを目的としています。
ビジネス関係者への影響
この会合では、特に外国企業に対して、M&A活動におけるKPPU規定の重要性を認識し、これに従うことの重要なリマインダーとなりました。これには、資産価値/販売価値、支配権の変更、関連ビジネス関係者が関与しない取引など、確立された条件に従って、KPPUに通知する義務が含まれます。すべての合併や買収活動でKPPUへの通知が必要なわけではないことにも留意が必要です。このような通知は、健全なビジネス競争を促進するだけでなく、透明性と誠実性を重視したビジネス・エコシステム内での企業の立場を強化することにも貢献します。この取り組みを通じて、企業がルールを遵守することの重要性を認識し、インドネシアで公正で競争力のあるビジネス環境を促進することが期待されます。
今回の会合の中では、多くの企業がKPPUの報告規定を遵守できていない理由として、自社の合併または買収の価値が低すぎると見なしている点が挙げられました。しかし、重要なのは、評価基準がインドネシア国内の事業だけでなく、企業の本国における資産や売上も含まれていることです。そのため、上述の通り一定の規模の企業は、資産価値や売上価値に基づきKPPUへの通知が必要となるのです。
KPPUへの訪問
先日、弊社代表のアルビーがインドネシアのKPPU訪問してまいりました。
その際は、日本の企業文化を良く知る専門家として召喚されました。写真は、自分の専門分野だけ述べることを宣誓している場面です。
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私は日本在住20年以上となり、数多くの日本企業様とお付き合いさせていただきましたまた、日本で会社を立ち上げ事業を行っていることから、日本の企業文化についていくつか質問されたことに回答いたしました。
今回会合を行ったヒルマン・プジャナ氏は、弊社代表アルビーの高校の同期生です。
アルビーはインドネシアの特殊な国軍付属高校を卒業しておりますが、現在インドネシア各地で同高校の卒業生たちが活躍しています。
インドネシアで卒業する同高校の卒業生のご紹介については、こちらのコラムもぜひご覧ください。
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弊社は今後もKPPUとの定期的な情報交換を行ってまいります。
インドネシア進出・進出後に関するご相談はお気軽に弊社までご連絡ください。
KPPUの公式WEBサイト:https://eng.kppu.go.id