【コラム】インドネシアのデング熱の発症数や対策について

蚊に刺されることによって発症するデング熱の発生率は、過去20年の間に世界全体で著しく増加しています。温暖な気候のインドネシアにおいて、デング熱の発生数は多くインドネシア政府も感染拡大を危険視しています。

今回のコラムでは、インドネシアの最新のデング熱の発症数やインドネシアでデング熱が多い地域、デング熱の対策などについてご紹介します。

参考WEBサイト:https://www.forth.go.jp/topics/2024/20240110_00001.html#:~:text=%E6%9C%80%E3%82%82%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%80%85%E3%81%8C%E5%A4%9A%E3%81%84,%E3%81%A7%E6%B5%81%E8%A1%8C%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

目次

インドネシアのデング熱の発症数

インドネシアの2024年1月〜4月のデング熱の発症数は88,593人で、死亡者数は621人に達していることがわかっています。

また、2023年の同時期の発症数28,579人と比較すると感染者数が大幅に増加していることがわかります。

増加の原因としては、降雨量の増加とエルニーニョ現象により蚊の繁殖が増えたことが挙げられています。

参考WEBサイト:https://www.cnnindonesia.com/nasional/20240503115028-20-1093478/kemenkes-sebut-ada-621-kematian-akibat-dbd-di-ri-hingga-april-2024

インドネシアのデング熱の感染者数、死亡者数の推移

以下は2019年から2023年の5年間のデング熱の感染者数の推移です。

出典: CNBCKasus DBD di Indonesiaを基に弊社作成(2024年5月13日)
https://www.cnbcindonesia.com/research/20240318105938-128-522803/awas-ancaman-dbd-intai-ri-kasus-kematian-tembus-ratusan-jiwa

新型コロナウイルス パンデミック期の2020年と2021年は、デング熱の感染者数が減少しましたが、2022年には増加していることがわかります。

また、2023年は2022年と比較すると減少しています。

以下は2019年から2023年の5年間のデング熱の死亡者数の推移です。

出典: CNBC Kasus Kematian Karena DBD di Indonesiaを基に弊社作成(2024年5月13日)
https://www.cnbcindonesia.com/research/20240318105938-128-522803/awas-ancaman-dbd-intai-ri-kasus-kematian-tembus-ratusan-jiwa

5年間の推移は概ね感染者数と比例していますが、2023年の死亡者数については大幅に減少していることがわかります。

しかし、前述で記載している2024年の死亡者数(621人)は2023年を現時点で超えており、感染対策の強化が急務であると言えます。

参考WEBサイト:https://www.cnbcindonesia.com/research/20240318105938-128-522803/awas-ancaman-dbd-intai-ri-kasus-kematian-tembus-ratusan-jiwa

インドネシアでデング熱の感染者数が多い地域

以下は、2024年の1月〜4月週目の期間でデング熱の感染者数が多い地域です。

出典:GoodStats  5 kabupaten dan kota dengan kasus DBD tertinggiを基に弊社作成(2024年5月13日)
https://goodstats.id/article/capai-475-korban-ini-kabupaten-kota-dengan-kematian-akibat-dbd-tertinggi-2024-AGwq8

一番感染者が多い地域は、ジャワ島北西部ジャカルタの郊外に位置するタンゲラン県で2,540人となりました。

また、上位5つに入っている地域はすべてジャワ島にある地域であることがわかります。

人口が多い島であるため、感染者数も多いことが考えられます。

インドネシアにおけるデング熱の予防法「3Mplus」

インドネシア保健省は、デング熱の感染を防ぐために「3Mplus」と呼ばれる方法で予防を呼びかけています。

保健省が提唱する「3Mplus」は以下の通りです。

桶の水や浴槽の水を空にする(Menguras tempat penampungan air)

インドネシアの家庭用トイレの多くは全自動水栓ではなく、桶に貯めてある水を汲み便器を流します。そのため、浴槽だけではなく桶に貯めている水も空にし、蚊の繁殖を防ぐよう呼びかけています。

桶や浴槽に蓋をする(Menutup tempat-tempat penampungan air)

水を貯めている場所は蓋をし、蚊の繁殖を防ぐことも予防のひとつと言われています。

デング熱のウイルスをもっている蚊が繁殖するようなものは捨てる・埋める

Mendaur ulang berbagai barang yang memiliki potensi untuk dijadikan tempat berkembang biak nyamuk Aedes aegypti yang membawa virus DBD pada manusia.)

上記の他に、蚊が嫌う植物を植える、蚊除けの薬を使う、蚊帳を使うなどの予防法が示されています。

また、蚊は雨季になると増えるため、毎年雨季の時期になると各所でデング熱の予防を徹底するよう呼びかけられています。

参考WEBサイト:https://ayosehat.kemkes.go.id/pemberantasan-sarang-nyamuk-dengan-3m-plus

インドネシア政府による国家戦略

インドネシアでは、デング熱の感染者数・死者数を減らすために、国家デング熱対策戦略(Strategi Nasional Penanggulangan Dengue-2021-2025)を打ち出しています。

戦略を通して、2024 年までに 90% 以上の地区/都市で人口 10 万人当たりの感染者数を 49 人以下にすることを目標として示しています。

目標達成のため、感染症例の管理、感染状況のリアルタイムな把握、感染拡大前に予防を呼び掛けができるようなシステムを構築などに加え、地域ごとの公衆衛生の管理の重要性も掲げています。

デング熱を予防するためには、国家のシステム強化も重要ですが、地域ごとの公衆衛生を整えることは非常に重要であると言えます。

参考WEBサイト:chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://p2pm.kemkes.go.id/storage/publikasi/media/file_1631494745.pdf

今回のコラムでは、インドネシアのデング熱の症例数や対策についてご紹介しました。

インドネシア政府がデング熱の国家戦略を打ち出すほど、デング熱はインドネシア社会において解決すべき重要な課題であると言えます。

現在、日本の製薬会社「武田薬品」はインドネシアのデング熱対策として、デング熱のワクチンの承認を取得しています。

このように、日本の企業においてもインドネシアのデング熱の解決の手助けをする方法があることがわかります。

武田薬品のように、デング熱対策の手助けをすることは、インドネシア・日本双方にとって良いビジネスになるのではないでしょうか。

また、インドネシアへ出張に行く際は、このような感染症についての状況を把握して渡航するようお気をつけ下さい。

参考WEBサイト:https://www.takeda.com/jp/newsroom/newsreleases/2022/20220823_8345/

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察、出張のサポートを行っております。また、現地にもインドネシア人スタッフが多く在籍しており、インドネシアの最新情報を得ることができます。

インドネシアにおけるビジネスにご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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