インドネシア農業の最新統計:主要作物・収入・課題の動向

2023年におけるインドネシアの農業部門がGDPに占める割合は、12.42%と見込まれています。

1960年代には41.03%を占めていたことから、この数十年間で大きく減少傾向にあることがわかります。

本コラムでは、インドネシアの農業分野における事業者数・主要作物・農家の収入など、最新の統計データをもとに現状を解説します。

参考:KOMPAS.com「Sektor Pertanian Harus Tumbuh 4,7 Persen Per Tahun Jika Pertumbuhan PDB RI Ingin Capai 8 Persen」

目次

インドネシアの農業事業者数

2023年時点で、インドネシアで農業に従事している事業者数は2,935万9,594件にのぼります。

農業事業者は以下の3つに分類されます。

  • 個人農業事業者(UTP)
  • 法人農業事業者(UPB)
  • その他の農業事業者(UTL)

このうち、個人農業事業者(UTP)が圧倒的多数を占めています。

分類別の事業者数は以下の通りです。

  • 個人農業事業者(UTP):29,341,033件
  • 法人農業事業者(UPB):5,643件
  • その他の農業事業者(UTL):12,918件

州別にみる個人農業事業者の割合

インドネシアにおける個人農業事業者(UTP)の州別割合は、以下の通りです。

出典:BPS「Statistik 80 Tahun Indonesia Merdeka」を基に弊社作成(閲覧日:2025年11月3日)

州別に見ると、ジャワ島とスマトラ島で全体の約80%を占めていることがわかります。

ジャワ島では、主に米・鶏(放し飼い)・肉用牛・肉用ヤギ・トウモロコシが広く栽培されています。

一方、スマトラ島ではパームヤシ・米・ゴム・鶏(放し飼い)・コーヒーが主要な生産品目です。

このように、両島では栽培作物の構成が異なる点が特徴であり、ジャワ島では食用作物中心、スマトラ島では輸出向けのプランテーション作物中心の傾向が見られます。

農業で広く栽培されている主要作物(2023年)

以下は、個人農業事業者(UTP)が従事している主要農業区分と、その中で栽培・飼育が多い上位5品目です。

(カッコ内の割合は、UTP全体に占める各区分の比率を示します)

作物(53.76%)

  1. 米(39.96%)
  2. トウモロコシ(14.06%) 
  3. キャッサバ(6.97%) 
  4. サツマイモ(2.34%) 
  5. ピーナッツ(2.27%)

園芸(32.79%)

  1. バナナ(11.82%)
  2. 唐辛子(4.18%)
  3. ドリアン(4.11%)
  4. アボカド(2.07%)
  5. カルダモン(1.91%)

プランテーション作物(37.82%)

  1. ココナッツ(10.64%)
  2. パーム油(8.58%)
  3. ゴム(6.64%)
  4. コーヒー(5.41%)
  5. クローブ(3.94%)

畜産(41.55%)

  1. 鶏(放し飼い)(18.51%)
  2. 肉用牛(13.92%) 
  3. 肉用ヤギ(9.32%)
  4. 豚(3.39%)
  5. 肉用羊(2.32%)

漁業(6.45%)

  1. 淡水ティラピア(0.86%)
  2. ナマズ(0.70%)
  3. ティラピア(0.43%)
  4. マス(0.36%)
  5. グラミー(0.35%)

*全て養殖

林業(11.91%)

  1. センゴン(5.06%)
  2. チーク(3.37%)
  3. マホガニー(3.10%)
  4. 竹(1.71%)
  5. アカシア(0.86%)

※区分の()内の割合はUTP全体数における栽培するUTPの数の割合を示す

作物と畜産を生産している農家の割合が高く、特に米を生産が最も広く行われていることがわかります。

農家の規模と収入

インドネシアの農家は小規模農家が中心で、2023年時点で全体の68.1%を占めています。

この割合は2021年から4.09ポイント減少しています。

一方、2024年の小規模農家の年間純収入は590万ルピア(約5万4,470円)で、2021年比で約12.9%増加しました。

収入は改善傾向にあるものの、依然として生活基盤としては脆弱な水準といえます。

農業の持続可能性

2024年時点で、インドネシアの農地のうち33.51%が持続可能な農地とされています。

また、農地所有者(18歳以上)のうち女性の割合は23.9%で、女性の農業参画が一定程度進んでいることがうかがえます。

農業事業者の学歴

個人農業事業者(UTP)の管理者の多くは45歳以上で構成されており、小学校卒業以下の学歴を持つ割合が60.72%を占めます。

このように、教育水準の低さはインドネシア農業の構造的な課題であり、技術導入や生産性向上の面で障壁となっています。

参考:BPS「Statistik 80 Tahun Indonesia Merdeka」

インドネシアの農業における今後の課題

農業部門の成長は、インドネシアの経済発展において欠かせない要素です。

しかし、気候変動の影響による生産量の減少や、小規模農家の所得格差が依然として大きな課題となっています。

特に、全体の6割以上を占める小規模農家では、最新の農業機械や技術を導入する資金的余裕がないため、生産効率の向上が進みにくい状況にあります。

また、金融リテラシーの不足も深刻です。政府が推進する中小企業融資制度(KUR)を十分に活用できず、経営資金を確保できない農家も多く存在します。

これらの課題を解決するためには、政府による技術支援や資金アクセスの拡充、農業教育の強化が重要です。

また、都市部で行われる都市型農業も、食料供給の安定化や地域経済の活性化に寄与する可能性を秘めています。

参考:Universitas Gajah Mada「Kondisi Petani Makin Sulit di Tengah Ancaman Perubahan Iklim dan Persoalan Ketahanan Pangan」
PASKOMNAS「5 Masalah Sektor Tani Indonesia yang Membutuhkan Solusi Efektif」

今回のコラムでは、インドネシアの農業構造や主要作物、そして今後の課題について解説しました。

インドネシアの農業において生産力を高めることは、インドネシア経済の持続的な発展にとっても極めて重要です。

人口増加や都市化の進展に伴い、農業の役割は今後さらに高まっていくと考えられます。

現地の最新情報を正確に把握することは、事業展開や市場参入を検討するうえで非常に重要です。

弊社インドネシア総研では、農業分野をはじめとする現地調査・視察のサポートを行っております。

インドネシア市場でのビジネス展開をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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