インドネシアのラマダン食文化:断食明けの「タクジル」と若者の消費行動

イスラム教徒は、毎年ラマダン(断食)の期間中に、日の出から日没まで飲食を控える断食を行います。

ラマダンはイスラム暦(ヒジュラ暦)によって決められており、2026年のラマダンは2026年2月18日〜3月20日となりました。

ラマダン期間中は、日の出から日没まで飲食を控え、日没を迎えると家族や友人と集まって食事を行います。その食事には、ラマダンならではの食文化が存在します。

本コラムでは、インドネシアにおけるラマダン期間中の食文化についてご紹介します。

目次

ラマダン明け直後の軽食「タクジル(Takjil)」とラマダン明けの食事「イフタール(Iftar)」

イスラム教徒にとって、ラマダン期間中の日没後に食べる軽食や食事は非常に重要な儀式です。

インドネシアでは、日没を知らせるアザーンの後に口にする食事には次のような意味があります。

ラマダン明けの食事「イフタール(Iftal)」

インドネシアでは、ラマダン期間中の日没のアザーン後に食事をすることを「イフタール(Iftar)」、または「ブカ・プアサ(Buka Puasa)」と呼びます。

家族や友人と集まって食事をすることが多く、軽食から本格的な料理まで、さまざまな料理を楽しみます。

ラマダン明け直後の軽食「タクジル(Takjil)」

インドネシアでは、ラマダン期間中の日没のアザーン直後に最初に口にする軽食のことを「タクジル(Takjil)」と呼びます。

「Takjil」という言葉は、もともと断食明けに爽やかな気分になるという意味のアラビア語に由来しています。

しかしインドネシアでは意味が変化し、現在では断食明けに食べる軽食や飲み物を指す言葉として使われています

また、タクジルを探し求めて人々が殺到する様子は「タクジル戦争/タクジル狩り」(Perang Takjil/Takjil War)とも呼ばれ、Z世代やミレニアル世代にとってラマダン特有の文化にもなっています。

参考WEBサイト:
suara公式サイト「イフタールとタクジルとは?」
KOMPAS公式サイト「Z世代におけるラマダンの伝統タクジル狩り」

若者における「タクジル(Takjil)」文化

Populix社が1,000人のZ世代・ミレニアル世代を対象に行った調査によると、断食明けを待つ時間である「ンガブブリット(Ngabuburit)」において最も人気のある行動は、タクジルを探すことであり、回答者の73%が挙げています。

その他の行動としては、SNSの閲覧、イフタール(断食明けの食事)の準備、軽い運動、礼拝

などが挙げられています。

また、タクジルとして人気のメニューは以下の通りです。

  • 甘い飲み物(88%)
  • 揚げ物(70%)
  • 伝統的なお菓子(50%)
  • デーツ(38%)
  • 流行のデザート(33%)
  • 米や麺などの主食(31%)

特に人気が高いのは甘い飲み物です。

断食中は空腹状態が続くため、甘い飲み物や揚げ物を好む若者が多い傾向があります。

また、購入場所としては露店で購入する割合が最も多く、回答者の95%となっています。

その他には、フードデリバリーアプリやSNSを通じて注文するケースも見られます。

このように、タクジルは単なる食事ではなく、ラマダン期間中の娯楽や文化の一つとなっています。

そのため、ラマダン期間は飲食業界にとっても大きなビジネスチャンスとなっています。

参考WEBサイト:katadata公式サイト「Z世代とミレニアル世代は、Takjilを露天で購入することを好む」

ラマダン期間中の公共交通機関における飲食のルール(2026年)

インドネシアの公共交通機関では、通常は飲食が禁止されていますが、ラマダン期間中は断食明けに配慮した特別ルールが設けられています。

KRLコミューターライン(ジャカルタ都市圏内)

許可(断食明け1時間以内)

  • ボトルやタンブラーに入った水を飲む
  • 匂いの強くない果物を食べる
  • パンなどの軽食を食べる

禁止

  • ご飯や副菜を食べる
  • ファストフードを食べる
  • 匂いの強い食べ物
  • コーヒー、ソーダ、ジュース

また、乗客は駅に設置された指定のゴミ箱にゴミを捨てることや列車および構内を清潔に保つように呼びかけています。

マイボトルを持参すれば、無料で利用できる給水所も設置されています。

MRT

許可(断食明け10分以内)

  • ボトルの水を飲む
  • デーツを食べる

禁止

  • ご飯や副菜などの食事
  • スナック菓子、カップラーメン
  • 水以外の飲み物

ジャボデタベックLRT

許可(夕方の礼拝の時間〜午後7時)

  • デーツ
  • パン

禁止

  • ご飯や副菜などの食事
  • 匂いの強い食べ物

駅構内には無料の給水所も設置されています。

ジャカルタLRT

許可(日没直後の礼拝の時間から10分後まで)

  • 軽食

禁止

  • ご飯や副菜などの食事
  • 匂いの強い食べ物・飲み物

トランスジャカルタ

許可(日没直後の礼拝の時間から10分後まで)

  • デーツ
  • 軽食

このように、公共交通機関では通常飲食が禁止されていますが、ラマダン期間中は断食明けに配慮し、水や軽食に限り特別に許可されています。

参考WEBサイト:KOMPAS TV公式サイト「2026年のラマダン期間中の公共交通機関にいけr断食明けの食事に関する規則」

今回のコラムでは、インドネシアにおけるラマダン期間中の食文化についてご紹介しました。

ラマダンは宗教行事であると同時に、断食明けの軽食「タクジル」を楽しむ文化など、消費行動にも大きな影響を与える時期です。

特に若者の間では「タクジル戦争/タクジル狩り」が人気となっており、露店やフードデリバリーなどを通じて飲食関連の需要が高まる傾向があります。

このようにラマダンは、飲食業界や食品関連ビジネスにとって重要な消費シーズンでもあります。

インドネシア市場でビジネスを展開するうえでは、宗教行事や文化的背景を理解することが重要と言えるでしょう。

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