【ニュース】インドネシア労働省副大臣と日・インドネシア間の運転手人材のジョブマッチング戦略に関する協議を行いました

インドネシアにおけるプロフェッショナルドライバー(運転手)人材のジョブマッチング戦略を強化する目的で、インドネシア労働省のAfriansyah Noor副大臣(Wamenaker RI)と会合を行いました。
この会合では、インドネシアにおける学術界および産業界の関係者を招き、競争力ある運転手人材エコシステムの構築について意見交換を行いました。
本協議には、インドネシアにおける学術分野を代表してSTIAMI大学、国内交通産業を代表してTransJakarta、そして海外産業・国際労働市場を代表して弊社インドネシア総合研究所が参加しました。
さらにインドネシア総合研究所は、日本・三重県に拠点を置くTDG社と連携とも連携をを行っており、西濃運輸、鴻池運輸といった日本の主要物流企業の関係者を招へいし、インドネシア側に対し、日本市場が求める運転手人材像やスキル要件について具体的な知見を共有しました。
交通安全と国家経済への影響
協議の中で弊社インドネシア総合研究所は、STIAMI大学およびTDGと共に、インドネシア運輸省傘下の複数の工科系高等教育機関(ポリテクニック)と覚書(MoU)を締結したことを報告しました。
本連携は、
- 安全運転(Safety Driving)
- 快適運転(Comfort Driving)
- 環境配慮運転(Green Driving)
といった教育モジュールの開発を目的とするものです。
この取り組みの背景には、インドネシアにおける交通事故の多さがあります。各種調査によれば、交通事故による経済損失は年間約2,000兆ルピア(約2兆円)に達すると推計されており、医療費、インフラ損傷、労働生産性の低下、さらには長期的な社会的影響まで含め、国家経済に深刻な影響を及ぼしています。
運転手という職業の戦略的重要性
Afriansyah Noor労働副大臣は、運転手という職業が一部では十分に評価されていない現状を指摘しつつも、実際にはGDP成長の下支え、国家物流の円滑化、大規模な雇用創出において極めて重要な役割を担っていると強調しました。
そのうえで、インドネシア総合研究所が進める、人材育成と職業教育を通じた外国直接投資(FDI)の誘致モデルを高く評価し、都市交通分野の人材育成拠点であるTransJakarta Academyを有するTransJakartaとの、さらなる協力関係の構築を提案しました。
LPK強化と構造化された人材移動ルートの構築
インドネシア総合研究所は、日本向け人材育成において、インドネシア国内での職業訓練機関(LPK)設立を積極的に推進しています。
これにより、
- 採用
- 教育
- 海外就労
までのプロセス間に存在するギャップを最小化し、技術面・文化面・職業倫理のすべてにおいて即戦力となる人材の育成を目指しています。
これと軌を一にして、Afriansyah Noor労働副大臣は、プラボウォ大統領が掲げる、最大50万人規模のインドネシア人労働者(CPMI)海外派遣政策に言及しました。同政策の実現には、受入国から高く評価される人材の質的向上が不可欠であると述べています。
インドネシア政府としても、日本語教育や文化理解教育を中心とした教育予算を確保し、国際社会で通用する労働力の育成を後押ししていく方針が示されました。
協議の締めくくりとして、弊社は、インドネシア市場への進出を検討し現地で持続的かつ実践的な貢献を目指す企業・機関の皆様に対し、戦略立案から実行まで一貫して支援を行っていくことをお伝えいたしました。
GR(Government Relation)支援サービスの種類― インドネシア進出を成功に導く2つのアプローチ ―
海外、特にインドネシアへ進出する日本企業にとって、インドネシア政府との関係構築(Government Relation:GR)は、単なる営業支援や情報収集の延長ではありません。それは、事業の立ち上がり速度、信頼性、そして中長期的な成長を左右する戦略要素です。
インドネシアでは、制度、政策、予算、人材の多くが政府を起点として動いています。そのため、政府との関係性をどのように設計するかによって、同じ商品・同じ技術であっても、事業成果には大きな差が生まれます。
弊社は、GRを大きく二つのタイプに分類し、企業の事業フェーズや業種に応じた最適な設計を行っています。
① 自社サービスに「政府のお墨付き」を与えるGR
■一般消費財 × 教育政策
一見すると民間の一般消費財に分類される分野であっても、公的制度や教育政策と結びついた瞬間に、その社会的評価や普及スピードが大きく変わるケースがあります。
日本においても、過去には公的機関や教育現場での採用を契機として、全国的な普及につながった例が存在します。
このように、公的権威による位置づけや制度的な後押しが、市場形成の起点となることは決して珍しくありません。
インドネシアは現在、2045年の「Indonesia Emas 2045」を見据え、人材育成・人材開発を国家戦略の中核に据えています。そのため、教育政策と親和性を持つ分野については、単なる民間ビジネスとしてではなく、社会的価値や教育的意義の観点から整理することが重要になります。
例えば、
- 子どもの健全な成長や身体発達への配慮
- 物を大切に使う姿勢や生活習慣の形成
- 規律や責任感を育てる考え方
といった要素は、教育政策と親和性の高い価値として整理することが可能です。
デザイン性や機能性だけでなく、教育・人材育成という政策文脈の中で説明することで、初等中等教育を所管する行政機関への政策的な提案が可能になります。
インドネシア総研では、
- 提携大学との産官学シンポジウムの開催
- 政府関係者や教育現場の責任者の招聘
- 同一の政策文脈の中での事業内容の紹介
といった設計を通じて、民間企業単独では到達しにくい信頼形成の場を構築しています。
■人材関連事業・教育訓練分野 × 労働・運輸政策
インドネシアにおいて、
- 特定分野における質の高い人材を安定的に確保したい
- 教育訓練やスキル開発の拠点を構築したい
と考える場合、民間の取り組みだけでは限界が生じることがあります。
特に、労働政策や交通・インフラ政策と密接に関係する分野では、行政機関との連携を通じた制度的な裏付けがなければ、信頼性の高い人材募集や選抜を行うことは困難です。
政府による一定の関与や位置づけが得られることで、
- 求職者や参加者の安心感が高まる
- 質の高い人材が集まりやすくなる
- 中長期的には広告・募集コストの抑制につながる
といった構造的なメリットが生まれます。
② 技術系分野 × 公共事業・大学連携
高度な技術や専門性を要する分野では、民間企業が単独でインドネシアの市場に売り込むよりも、公共部門や学術機関と連携した枠組みを先に構築する方が効果的な場合があります。
公共事業を所管するインドネシアの行政機関や大学と連携し、産官学共同の形で研究・検証を進めることで、技術の有効性や社会的意義を客観的に示すことが可能になります。
インドネシア総研では、
- 大学内での小規模な研究・検証環境の整備
- 実証結果を学術的な場で共有
- 関係する民間事業者や実務者を招いた情報共有の場の設計
といった流れを通じて、「売り込む側」ではなく「第三者から紹介される立場」を構築します。
まとめ
今回のAfriansyah Noor労働省副大臣との意見交換を通じて改めて明らかになったのは、インドネシアにおいて事業を前に進めるためには、単に優れた商品やサービスを持つだけでは不十分であるという現実です。政策の方向性、行政組織の関心、教育・研究機関の役割、そして現場の実情を立体的に捉え、それらを一つの構造として設計することが求められています。
弊社インドネシア総合研究所が提供するGR(Government Relation)支援は、インドネシア政府を「説得する」ことを目的とするものではありません。政府が動きやすく、判断しやすく、説明責任を果たしやすい環境を先に整えること。その結果として、企業の取り組みが政策や制度の流れの中に自然に位置づけられていくことを目指しています。
今回の労働省副大臣との会合で示された産学官連携や人材育成への期待は、まさにその象徴です。短期的な成果を追うのではなく、中長期で信頼が積み重なる関係を構築すること。それこそが、インドネシアで持続的に事業を展開するための、最も現実的で確かな道筋だと言えるでしょう。
詳しくは弊社までお問合せください。



